よいとまけとは (ヨイトマケとは) [単語記事]

よいとまけは、北海道苫小牧市の銘菓。ハスカップのジャムを全体に塗り付けたロールケーキであり、「日本一食べづらいお菓子」をキャッチコピーとする。

商品説明と歴史

苫小牧市に本社を置く製菓会社「三星(みつぼし)」の看板商品。1953年販売開始。たっぷりのハスカップジャムの酸味が特徴のロールケーキで、ぶっちゃけ相当甘いが、牛乳や紅茶などとよく合う。

苫小牧を象徴するような菓子をと考案されたもので、近くの勇払原野で多く収穫できたハスカップの実をジャムにし、ロールケーキの内外に塗り付けて作った。商品の形は、苫小牧を代表する産業である製紙工場の外に積まれた原料の丸太を表している。みんなよいとまけは持ったな!!
また「よいとまけ」とは、当時労働者たちが丸太にロープを掛けて数人がかりで積み下ろし作業を行っていた際の「ヨイッと巻け」というかけ声に由来する。(美輪明宏の代表曲のひとつ「ヨイトマケの唄」と同等の由来。)

外側まで塗られたジャムが剥落するのを防ぐためにオブラートが巻かれてはいるものの、手で食べると指にジャムが付くのは避けられない。また、1本もののよいとまけには家庭で切り分けるためのプラスチック製のノコギリが付属していたが、オブラートが引っかかるわジャムがべったりつくわでなかなかきれいに切れなかった。こうした性質から「日本一食べづらいお菓子」とも評される。

「ジャムはロールの内側に入れてくれ」「最初から切り分けて販売してくれ」「『よいとまけ』は労働者を揶揄するのにも使われる語彙だがその商品名はどうなのか」といった要望や意見も多かったようだが、商品開発者である当時の社長は「苫小牧の果物を使い、苫小牧の産業を形で表現し、働く人を応援する意味を込めたものだから、この形状と商品名しかあり得ない」と改変を加えることはなかった。結果的に、食べづらいお菓子がキャッチコピーとして定着したので、ブランディングは成功だったと言えるだろう。

現在では、ハスカップが不作の年にジャムを代用したことから始まった「よいとまけいちご」などの味変商品も存在する。また、技術発展で工場に超音波カッターが導入されたことであらかじめロールケーキに切れ目を入れた状態で販売することが可能になり、このカットタイプが主流になった。ロール1切れずつ袋に小分けした「よいとまけひと切れ」も販売されている。
お蔭で現在ではそんなに食べづらいお菓子でもなくなったのだが、それは言わない約束だ。
とはいえ、「指と口の周りをジャムでベッタベタに汚しながら味わってこそ、よいとまけの醍醐味である」というファンもおり、旧来の1本もののロールもたまに復刻販売されている。

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 https://twitter.com/yoitomakekun/status/1747131848294379776

ちなみに、1898年(明治31年)創業当初の三星は小樽でパン屋を営んでおり、開拓初期から街に根付いていたキリスト教会から、「信仰・希望・愛」の教えにあやかって「三星」の屋号をもらったという。また創業者の甥っ子に、後に作家となり『蟹工船』で知られる小林多喜二がおり、当時小樽の高校生だった多喜二はパン屋に下宿して店を手伝いながら学業に励んでいたそうだ。

『ウマ娘プリティーダービー』での登場

苫小牧市の企業の社長が馬主であり、街の背後にそびえる火山・樽前山より命名された競走馬ホッコータルマエは、2013年～2016年にかけGⅠ級競走を計10勝しダートの帝王と讃えられた優駿であり、その活躍によって馬でありながら苫小牧市より正式に「とまこまい観光大使」に任命されている。

競走馬の擬人化・美少女化コンテンツ『ウマ娘プリティーダービー』に登場するホッコータルマエ(ウマ娘)(2022年 7月登場発表)も、モデル馬と同じく「とまこまい観光大使」を務める苫小牧出身^[1]のローカルアイドルとキャラ設定されており、郷里・苫小牧のPRに余念がない。
また「仕送りには、必ず苫小牧銘菓が入っている」という設定があり、ゲーム中の「ハスカップのロールケーキです！食べ方にコツが要るけどおいしい苫小牧銘菓ですよ♪」というセリフや、公式 X(Twitter)掲載のイラストに明らかにそれとわかるロールケーキが描かれているなど、「よいとまけ」推しであることは登場初期から各所で暗示されていた。