世宗大王級駆逐艦とは (セジョンデワンキュウクチクカンとは) [単語記事]

＜ヽ｀∀´＞世宗大王級駆逐艦とは、韓国海軍が誇る世界最大・最強のイージス艦ニダ！　嘘は言ってないニダ！（※後述）

とりあえず性能諸元

全長	165.9メートル
全幅	21.4メートル
排水量	基準（非公開）満載10,290トン
乗員	300名以上
武装	Mk.45 mod.4 62口径5インチ単装砲^[1]　1基ゴールキーパー30mm機関砲（CIWS）　1基 Mk.49　21連装対空ミサイルランチャー　1基（装填弾）RAM近接艦対空ミサイル Mk41 VLS（垂直発射装置）　前部48セル・後部32セル（装填弾）スタンダード対空ミサイル（SM-2）国産VLS48セル（装填弾） “天竜”艦対地ミサイル “紅鮫”対潜水艦ミサイル “海星”艦対艦ミサイル4連装発射筒　4基 3連装短魚雷発射管　2基
レーダー	AN/SPY-1D多機能レーダー ※対水上レーダー、航海用レーダーは不明
ソナー	DSQS-21 バウソナー CAPTAS 曳航ソナー
ECM/ESM	SLQ-200
速力	最大30kt
主機	COGAG方式 4基2軸出力10万馬力 LM2500ガスタービンエンジン 2万5000馬力 4基
搭載機	スーパーリンクス対潜ヘリコプター　２機

概要

韓国初のイージス艦。ちなみに所有したのは5カ国目（アメリカ→日本→スペイン→ノルウェー→韓国の順）。
本当は『李舜臣^[2]』と名づけたかったけど、当時アメリカと仲が悪くイージスシステムを売ってくれるか微妙だったので先にできた第2世代DDGの1番艦にその名をつけたんだって。→忠武公李舜臣級駆逐艦
イージスシステムのベースライン（バージョン）は7。
満載時の排水量10,290トンはなんとアメリカのタイコンデロガ級イージス艦（巡洋艦！）よりでかい。現在判明している限り世界最大の『駆逐艦』^[3]であり、世界最大のイージス艦である。
ミサイル発射用VLS128セル、対艦ミサイル（SSM）16発はめちゃくちゃ多い。アーレイ・バーク&こんごう&あたご（96セル+SSM8発）やタイコンデロガ級（122セル+SSM8発）と比較してみてください。
近接対空システムは「本家アーレイ・バーク級のファランクスCIWSなんて豆鉄砲ニダ！」^[4]と言うことでオランダのゴールキーパー30mm機関砲とRAM対空ミサイルを採用。
ということで火力だけならイージス艦としては現在世界最強と言う事ができる。巡航ミサイルやらSSMをバカバカ撃つであろうその姿はまさに『弾幕はパワーだぜ』。あなたはどこの霧雨魔理沙ですか。

実際のところどうよ

たぶんハリボテ。

本来のシステムではない兵器をいろいろ組み込みまくったせいできちんと動くかどうか疑問視されている。日本のこんごう型でも主砲を対空が不安だったためオート・メララ製127mm砲に取り替えたらシステムのすりあわせでえらい苦労したとのこと。
特にソナーはアメリカが純正品のSQS-53を売ってくれなかったため^[5]ドイツ製&フランス製ソナーを導入しており、イージスシステムの肝であるはずの『対空・対艦・対潜のどれが一番脅威かを判別して順番に対処する』ができないと言われている。
せっかく最新のデータリンクシステム『リンク16』を積んだのに対応できる艦を韓国は2012年現在同じ世宗大王級（３隻）と最新の仁川級フリゲート（１隻）しか持ってない。あとF-15Kと早期警戒機。
対潜ミサイル『紅鮫』は試射に失敗。韓国内部でも「これ失敗作だろ」と言うことで早くも次の開発に取り掛かっているとか。詳しくはアスロックの記事にて。
そもそも巡航ミサイルと対潜ミサイルを専用VLSに積む意味がわからない。一説にはMk41VLSで打てるミサイルの開発に失敗したとかなんとか。
実はゴールキーパーCIWSも対艦ミサイル迎撃に効果があるか疑問視されている。確かに30mmで火力が大きいのはわかるが、発射速度が遅いので超音速で飛んでくる中露の対艦ミサイルに当たるかどうか不明である。大体ゴールキーパーとイージスシステムがきちんと連動してくれるかすら疑問だし。
あまりにも詰め込みすぎたせいで原型のアーレイ・バーグ級や原型と船体サイズが同じあたご型に比べトップヘビーで構造に余裕がなく、維持整備や運用面での問題が指摘されている。
沿岸から艦砲攻撃する場合、逆に北朝鮮側の沿岸砲台からアウトレンジ攻撃（射程4～50km。世宗大王の主砲の射程は20km強）されると言われる。
大体仮想敵国であるはずの北朝鮮とやりあうにしてはあまりにもオーバースペック。イージス艦の本領である『対艦ミサイルによる飽和攻撃への対処』なんて状況まず起きません。大体そんなことができるほど対艦ミサイル抱えてる国は日・米・露・中ぐらいですがな。絶対仮想敵国を北朝鮮と考えてないだろ。

どうしてこうなった

　まず何故にここまで重武装化されたかというと、韓国の国力的に何隻も大型艦艇を配備、運用することが難しいからである。となれば量より質の方向で一隻にたっぷり盛り込むこととなった。しかしイージス艦は本来艦隊防空を主眼に置いた防空艦であり、はっきり言っていろんな役割を一隻に詰め込むよりある程度役割分担したほうが効率や運用面で都合はいい。また、上で述べたとおりイージス艦の癖にイージスシステムとちゃんと連動できるのか怪しい構成であり、イージスシステムの利点が生かされているかは不明確である。

　まぁ、北朝鮮を相手として考えた場合韓国のすぐご近所でありすぐ戻ってこれるので運用上の問題は多少チャラにできるし。おまけに北朝鮮の対艦能力は高いといえないので陸上支援を念頭におけば大量の弾薬を投入できる支援艦として役に立つかもしれない。もっとも、そのような運用をするのならばイージス艦である必要がまったくないのである。つまり、無駄に高価な買い物であると言い切っちゃっていい。

　結局のところ、日本も配備している最新のイージス艦を自分たちも持っていると見栄を張りたかっただけなんじゃないかなぁ。

　イージス艦は確かに高度な戦闘能力を持った艦ではあるが、一騎当千の艦艇ではなく個別に役割を与えられた艦艇のうちの一種類に過ぎない。また、イージス艦を持ったからといってそれをいかににモノにして運用するかは一朝一夕にいくものではないし、他の艦艇と連携あってこそである。多分運用経験をもっと積んで竹島独島級や次期主力艦である仁川級フリゲートの数がそろったら本当の意味でのイージス艦運用国になれると思うけど、それまで国が持つのかなぁ。

脚注

*韓国・三星テックウイン社によるライセンス生産。
*文禄・慶長の役（いわゆる豊臣秀吉による朝鮮出兵）で日本の水軍と戦い戦死したが補給線の遮断に成功し当時の李氏朝鮮を救ったとされる救国の英雄。韓国版ネルソンみたいな人。
*ただし、でかいのは排水量であって船体のサイズ自体はあたご型とほぼ同じであり、あたご級が満載排水量を公開していないため実はあたご級の方が大きい可能性がある。なおアメリカで建造中のズムウォルト級（16000トン）が完成すると抜かれる予定。
*韓国の名誉のためにいっておくがこれはある意味正しい。現代の中国・ロシアの対艦ミサイルはCIWSに対抗するための装甲が施されているとされ、ファランクスの20mmでは効果が疑問視されているのである。ちなみにアメリカではESSMでRAM並みの近接対空能力が期待できると言うことで最新のアーレイ・バーク級ではファランクスすら積んでないとのこと。
*韓国の(ry、SQS-53は当時アメリカの最新鋭対潜システムであって日本にすら売ってくれなかった代物である。但し日本では同等品であるOQS-102を自主開発してこんごう型に搭載、その性能にアメリカが目を剥いてあたご級ではSQS-53を売ってくれたというエピソードがあるとか。