全ての人を納得させる難しさとは、2人の老夫婦とロバが登場する、「何をやっても全員を納得させることは難しい」ということを表す4コマ漫画である。
この漫画の作者はナイジェリアの風刺漫画家 EB Asukwo (Mike Etim Bassey Asukwo)で、氏のFacebookアカウントで2012年6月に投稿されている。 → (この投稿)
コピーライト表記はナイジェリアの英字新聞BusinessDayのものなので、元々はそちらへ掲載するために作られたものだろう。Asukwo氏は他にも多数の風刺漫画をこの新聞に寄稿している。
元々の台詞は英語だが、後述するように各国語に訳されたものが多数存在する。
漫画の元ネタと思われる寓話が「ろばを売りに行く親子[1]」として伝わっている。こちらの話では登場人物は老夫婦ではなく、老人とその息子。日本ではこの話が小学校3・4年の道徳教材に使用されている。
そして、この漫画の下には「全ての人を納得させる難しさ。」と大きく書かれている。
もとの英語文章では「THE PROBLEM WITH GIVING IN TO THE URGE TO PLEASE EVERYBODY (全ての人を喜ばそうという衝動に屈してしまうことに関する問題点)」となっている。
英語では「This is our society!」と呼ばれるなど、様々な言語に翻訳されてインターネット上に掲載されている。日本では2015年3月から、上記のツイートをきっかけとしてTwitterを中心に広まった。
ポッジョ・ブラッチョリーニの「笑話集/Facetiae」に収められている[2]。これは1438年から1452年にかけてラテン語で執筆され、作者の死後の1470年頃に刊行された。
教皇庁の秘書官がドイツで読んだ寓話(絵物語だったらしい)として紹介されている [3]。
ウルリヒ・マルツォルフとリシャルト・ファン・レーウェンの「千夜一夜物語百科事典 (上巻)」によれば[4]、同様のストーリーで現存する最古の話は13世紀アンダルスの歴史学者イブン・サイード・マグリビーが書き記したもの。
この寓話が実際にいつ頃成立したのかはわかっていない。
原典の話では漫画とは左上と右下のコマが逆で、最初は2人とも歩いている状態だった。「元気な若者が楽をするな」「子供を歩かせるのはかわいそうだ」など、登場人物が親子であるためセリフに若干の違いもある。
漫画では省略されているが、原典にはその後の結末もある。「2人を乗せたロバがかわいそうだから、獲物を運ぶように、棒にロバの足をくくりつけて運んだらどうか」と言われた親子はその通りに運んだ。しかし、不自然な姿勢を嫌がったロバが暴れ、橋を渡っているときに縄がほどけて川に落ちてしまった。
この話が日本に伝わり、「ロバ」が「馬」になって掲載された『伊曽保物語』の「人の心さだまらぬ事」ではまた展開が異なる。通行人が「馬を持つより、皮だけをはいで運んだ方が軽くなるだろう」と言った結果、親子が実際に馬からはいだ皮を運び始めた。しかし、目や口が開けられないほどハエがたかって運べなくなってしまう。周りの人に笑われ、腹を立てた親は皮を捨てて帰ってしまった。
「人の意見をいちいち気にするな」「周りの人の意見に流されすぎるな」という意図で使われることがあり、道徳教育でも「周囲の意見に流されない、自主や自律の大切さ」「節度や節制」をテーマに教えられることが多い。
一方で、周りの人の意見の方が本質を捉えていることもあるので、「周囲の意見を一切聞くな」ということでもない。周囲の意見に加え、自分の今までの経験や、これからの目的などを踏まえて、最後には自分で考えることが必要である。
また、「全ての人を納得させる難しさ」という言葉から、「全員を満足させる完璧な方法は存在しない」という意図で使われる場合もある。ただし大抵の場合、「その上でどうするか」を考えなければならない。
さらに、漫画の通行人たちが全て同じ人物として描かれていることから、「何をやっても批判することを目的にした人たちは批判する」という意図で使われる場合もある。
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最終更新:2025/12/15(月) 08:00
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