半沢直樹 単語


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半沢直樹

やられたらやり返す
倍返しだ!!

半沢直樹』とは、『オレたちバブル入行組』をはじめとする池井戸潤の小説シリーズの主人公、および、TBS系列のテレビドラマ『日曜劇場 半沢直樹』のタイトルである。これらは『半沢直樹シリーズ』と纏められている。

本記事では、テレビドラマ版を中心に説明する。

さっきから都合のいいことばかり書いてんじゃねーぞ!概要!

半沢直樹シリーズ
ジャンル 経済小説
小説
著者 池井戸潤
発行元 文藝春秋・文春文庫(第2作まで)
ダイヤモンド社(第3作以降)
刊行期間 2004年12月5日 -
巻数 既刊4巻
テレビドラマ
放送局 TBS
放送時間 日曜日 21:00 - 21:54
放送期間 2013年7月7日 - 9月22日
話数 全10話

バブル期に入行した銀行員の葛藤と苦悩に満ちた戦いを描いた、企業エンターテインメント作品。筆者の池井戸は銀行員を経験しており、本作の他にも銀行や企業を舞台にした著作がある。

第1作『オレたちバブル入行組』および第2作『オレたち花のバブル組』は共に『別冊文藝春秋』で連載されたのち、単行本化された。
そして2013年7月7日から9月22日まで、これらを原作としたテレビドラマ『日曜劇場 半沢直樹』が放映された。

第3作『ロスジェネの逆襲』は『週刊ダイヤモンド』に連載を移し、のちに単行本化。さらに、第4作『銀翼のイカロス』も同じく『週刊ダイヤモンド』で連載ののち、単行本化された。これら2作について、永らくテレビドラマ化は未定であった。

そんな中、続編が2020年4月の日曜劇場にて放送開始が告知。それに先駆け2020年1月3日にてオリジナルドラマの放映と「週刊モーニング」にてコミカライズが連載開始。

日曜劇場 半沢直樹

テレビドラマ版は全10話構成で、第1話~5話が第1部・大阪西支店編(オレたちバブル入行組)、第6話~10話が第2部・東京本部編(オレたち花のバブル組)となる。原作と異なる設定が多々あり、見比べるのも面白い。

キャッチコピーは「クソ上司め、覚えていやがれ!」。また、半沢の「倍返し」発言が本作を象徴する台詞として流行し、様々な媒体で使用された。

理不尽な仕打ちに対する「倍返し」に、「見終わった後、スカッとした」と感想を述べる視聴者が多い。
堺雅人(半沢直樹役)や香川照之(大和田常務役)の緊迫感ある演技や、一度見たら忘れられないであろう片岡愛之助(黒崎国税局統括官役)や緋田康人(小木曽人事部次長役)の熱演ぶりが視聴者に強烈なインパクトを与えており、高視聴率を記録している。

2011年に日本テレビ系列で放送された『家政婦のミタ』以来の大ヒット作として、視聴率の伸び具合が注目されていたが、最終的には『ミタ』をも完全に上回るペースで推移し、最終話の視聴率は関東で42.2%(瞬間最高視聴率46.7%)、関西で45.5%(同50.4%)を記録した。これは、視聴率調査を開始した歴史上、関東では歴代4位(平成の民放連続ドラマでは1位)、関西では歴代1位である。(数字はいずれもビデオリサーチより)

どういうストーリーか、説明してもらおうじゃありませんか!

(第1部 大阪編 第1話~5話)

バブル期崩壊後、大手都市銀行である産業中央銀行は多額の不良債権を抱え、2002年に東京第一銀行と合併。世界第三位のメガバンク「東京中央銀行」として新生した――

旧産業中央銀行出身の主人公・半沢直樹は、東京中央銀行大阪西支店の融資課長として優秀な勤務実績を上げていた。そんな最中、半沢は「西大阪スチール」社において、5億円もの融資事故[1]を起こしてしまう。

しかし、その実態は支店長・浅野による融資実行のゴリ押しであり、半沢に融資決定事項を精査する十分な時間が与えられなかったことが原因であった。当初は融資に関して「全責任を持つ」と発言していた浅野であったが、西大阪スチールの債権が焦げ付いた後は態度が一転。半沢に全責任を負わせ、人事権を行使して「担当者」である半沢を出向[2]させ、切り捨てようする。

粉飾決算による計画倒産をし、5億円を騙し取った西大阪スチール社長・東田。半沢の警告を無視し融資を強引に行った挙げ句、自分に汚名を着せ責任逃れをしようとする支店長・浅野。半沢は融資額5億円を回収せんと奔走しつつ、彼ら2人の罪過に対して倍返しをすると心に誓う。

果たして半沢は、5億もの金を回収し、倍返しを成すことが出来るのか――

第2部 東京編 (第5話~10話)

東京中央銀行の大手取引先である、伊勢島ホテルが株の運用失敗により120億円以上の損失を犯していることが発覚。時を同じくして、金融庁から金融庁検査[3]実施の一報が入る。

金融庁検査の直前、東京中央銀行は、伊勢島ホテルに200億円の融資を実行していた。金融庁から伊勢島ホテルが実質破綻先と認定されれば、銀行は「巨額損失を出している不当な企業に融資をしていた」と判断され、概算1500億という莫大な引当金[4] 積立を命令される。
そうなれば東京中央銀行の信頼は失墜。株価は暴落し、東京中央銀行の存続事態が危機に瀕する。

そんな折、東京中央銀行営業第二部に次長として栄転した半沢は、頭取の勅命により、金融庁検査担当者に任命される。伊勢島ホテルの再建案を模索、運用損失120億円を補填し、金融庁検査を乗り切ろうと奔走する半沢。
だが、伊勢島ホテルへの200億融資実行の陰には、権謀術数渦巻く、大きな「闇」が蠢いていた。

半沢は、東京中央銀行の危機を救い、巨大な陰謀を討ち祓うことができるのか――

主な登場人物(役者)

半沢直樹 -Naoki Hanzawa- (堺雅人)

主人公。旧産業中央銀行出身、現東京中央銀行のバンカー(銀行員)。第1部では大阪の四大支店の一つである、大阪西支店で融資課長を、第2部では東京本社の営業第二部で次長を務める。優秀な行員であり、融資先の会社とは、社長や社員と真っ正面から向き合うという人間くささを持ち合わせる。

そのため、どんな小さな会社でも、どれ程の経営赤字を出している零細企業でも、そこで働く人たちが真摯である限り、再建のため融資を行う。その一方で、会社建て直しのためにありとあらゆる手段を用いる、一種の冷酷さを見せることも。情と非情を併せ持つ希有のバンカーである。

生い立ち

金沢の零細企業・ネジ工場「半沢ネジ」のひとり息子として生まれ、小さな工場で、小さくとも軽くて丈夫なネジを作る父親の背中を見て育つ。「人と人とのつながりを大切にしろ。ロボットのような人間にはなるな」と教え諭す父に、大きな影響を受ける。

しかし、半沢が中学生の時、半沢ネジは倒産の危機に瀕する。銀行の担当者は、土下座して融資継続を嘆願する半沢の父親をないがしろにし、融資を取り上げた。自社の倒産だけでなく、取引先が潰れてしまうという責任感に押し潰され、父親は自殺。その死の現場を、中学生の半沢は目撃してしまう。
銀行が父を殺した……。

しかし、半沢は、父親を自殺にまで追い込んだ融資元・産業中央銀行に就職する。彼が敢えて産業中央銀行に就職した経緯は、劇中にて語られる。

性格

“責任の所在”を非常に重視する。責任逃れをしようとする人物に対しては、上司であろうと激しく糾弾する勇猛さを有する。同時に、自分に直接の非がなくとも、銀行が責任を負っていた場合は、最敬礼で詫びる正義漢。

相手が己の責任を軽視・転嫁したり、侮蔑的な態度を取ったが最後、常務レベルの役職者はおろか、国家権力であっても絶対に許さない強い執念深さも持つ。「やられたらやりかえす。倍返し」が流儀。ただ、半沢自身は「人の善意は信じる」と語る通り清廉な性格なので、主にその信条は悪者や敵役に対して発揮される。

一方、自らに厚意的な部下や同僚、同期には優しくかつ寛大。自分が危機的状況なのに同期を気遣ったり、立場上協力ができない、証言ができない部下がいても、その事情を汲み、責任を咎めることは一切しない。そのため、半沢に対する部下の信頼は非常に厚い。信賞必罰。

その他特徴等

並外れた洞察力を持ち、ほんの一瞬の光景や、わずかな一言から、重大な情報を引き出すことができる。その観察眼は、国家国税局をも出し抜くほど鋭い。また、生まれ育った環境もあり、町工場の技術力を正確に見抜く筋金入りの目利き。
行動力も桁外れで、時には脱法(すれすれの)行為も行う。ただし、それはあくまで悪を成敗する必要があるがゆえ行うものであり、半沢自身の利益欲から来るものではない。半沢自身、「世の中にはカネで買えないものがある」という揺るぎない信条を劇中、幾度も口にしている(この「世の中にはカネで買えないものがある」という言葉は、このドラマのひとつのキーワードでもある)。

名刀・長曾弥虎徹並の啖呵を切る。たとえどんな苦境に立たされても、その鋭利な啖呵を切って危機的状況を乗り越える。逆に、一度追い詰めた相手には、恫喝でひるませ、巧みな弁舌でぐうの音も出ないほどかっ捌く。倍返しここに極めれり。

大学時代には、近藤直弼と同じく体育会剣道部に所属。近藤とは同大学、同期の“竹刃の友”であり、道場で汗だくになるまで手合わせする場面も。有段者であり、暴力で抵抗する敵には、剣道をもって迎え撃つ。

と、ここまで来ればかなり怖い人ではあるが、妻・花の前では頭が上がらない。銀行での迫力はどこへやら、家庭ではまったりしている。良き夫であり、良き父である。花ちゃ~ん。

半沢花 -Hana Hanzawa- (上戸彩)

直樹の妻。明るく聡明な性格で、過酷な状況に向き合う夫・直樹を陰で支える良妻賢母。
彼女の言動や行動が、様々な面で半沢を救うことも多い。凄まじいファインプレーを見せることも多々。
とあるエピソードで、「この夫ありてこの妻あり」とつくづく感じさせるシーンがある。

花は「(直樹と)昔はよく喧嘩してたよね」と語るが、啖呵が切れ雄弁な二人の喧嘩は、さぞ迫力あるものであったろう。

渡真利忍 -Shinobu Tomari- (及川光博)

東京中央銀行 東京本部 融資部勤務。

半沢の同期で親友。容貌は二枚目、性格は三枚目。シリアスな展開の多いこのドラマで、比較的コメディタッチで描かれている数少ない癒やし系キャラ。とはいえ、半沢同様に頭がキレる頼もしいバンカーであり、銀行の内部情報にも良く精通している。

第1部~2部を通して登場。特に第2部では半沢が同じ東京本社勤務になったことで、より間近で半沢のサポートをする。1部以上にその実力を発揮し、ジェバンニクラスの働きを見せるが、中身はやっぱり三枚目。交渉成立!!

近藤直弼 -Naosuke Kondo- (滝藤賢一)

東京中央銀行 大阪本店システム課勤務を経て、タミヤ電機に出向。

半沢の大学時代の剣道仲間で、半沢の同期。有能なバンカーであったが、鳴り物入りで入った新規店で思うような結果を出せず、さらに人事部次長・小木曾の過剰なパワーハラスメントにより、ストレス性の統合失調症に罹患。
休職を余儀なくされた上、出向の憂き目に遭う。

2部・東京編では、出向先のタミヤ電機にて、深く半沢の物語に絡むことになる。
半沢、渡真利とともに、「バブル最後の入行組」として、会社や銀行という組織のどす黒い不条理に刃を向けるが、物語終盤、その志と、家族への愛情との間で、彼の心は大きく揺らぐことになる。ょよろしく……お願いします……。

黒崎駿一 -Shunichi Kurosaki- (片岡愛之助)

銀行を敵視する、中央省庁に奉公するキャリア。強引な手業で銀行を一行破綻に追いやった辣腕の手前。

一言で言うと、オカマ。一人称は「アタシ」。部下(♂)の不始末には股間をぎゅっと鷲づかみ。
特技はエアそろばん。数字は正確に、ね?

と、一見イロモノキャラに見えるのだが、強引な捜査や痛烈な科白、憤怒に満ちた表情とオカマな容貌のギャップにより、圧倒的な存在感を醸し出している。その実力も相当なもので、半沢に一本取られたと思いきや逆に取り返す、急転した事態に対し即対策を打つ、一手先を読んで半沢の退路を断とうとする……といった、怜悧狡猾な対敵である。

1部では東田満の脱税事件を追う、大阪国税局査察部統括官・通称「マルサ」のオカマルサとして登壇。黒崎側は「(脱税容疑のかかった)東田の資産を差し押さえる」、半沢は「(融資金額回収のために)東田の資産を差し押さえる」という点で、半沢と対立。激しく敵視する。

第2部では金融庁検査局主任検査官に戻り再び舞台に上がる。オカマルサではなくなったが、オカマ検査官として半沢と再度対峙。金融庁検査において、半沢を刎頸せんと復讐心を燃やす。

第1部~2部を通してオカマだが、最後の最後で驚愕のバイ返しを見せる。

相模 -Sagami- (石黒英雄)

黒崎に仕える国税局査察官。

第1部でずっと、黒崎の八つ当たりで大切な部分を握り締められる可哀想な人。

東田満 -Mitsuru Higashida- (宇梶剛士)

第1部・大阪編のボスキャラである、西大阪スチール社長。

粉飾決算により、東京中央銀行から5億円の融資を騙し取り、行方をくらます。
性格は傲慢で横暴。見た目通りジャイアニズムの塊のような悪党だが、脱税や粉飾決算、計画倒産に資産隠蔽等々、奸計に長けた詐術家でもある。

彼の目的はカネそのものではなく、巻き上げたカネで、再び一旗上げること。再び、権力を手に入れることである。

藤沢美樹 -Miki Fujisawa- (壇蜜)

東田の色。西大阪スチールの計画倒産後も、東田に付き添う。刹那に見せる冷淡な視線の先に彼女が見据えるものは、大阪編の終盤で明らかになる。

竹下清彦 -Kiyohiko Takeshita- (赤井英和)

第1部で半沢のパートナーとなる、中小企業の竹下金属社長。

西大阪スチールが主要取引先だったため、自社が連鎖倒産。その責任を取ろうと自殺しようとしていたところを半沢に助けられる。半沢が知り合いの零細企業を融資して救っていたことと、「東田に倍返しする」という半沢の心意気に打たれ、「東田をギャフンと言わせたる」と鼻息も荒く、半沢とともに奔走する。

見た目はただのオッサンだが、彼の助力により、様々な事実が明るみに出ることになる。物語の筋が比較的難解な本ドラマにあって、「今何が起きているか」を分かりやすく視聴者に教えてくれるというメタ的な役回りも持つキャラクター。

小木曽忠生 -Tadao Ogiso- (緋田康人)

東京中央銀行 東京本部 人事部次長。

顔に比例して(?)陰湿な性格。机を一定の間隔でバンバン叩いて強烈なストレスを与え、近藤直弼を精神的に崩壊させた。また、旧産業中央銀行派閥であり、大阪西支店支店長・浅野匡の命令により、前々から敵視していた半沢を出向させようと謀略を巡らす。 

第1話から登場し、3話にて大活躍。優良なMAD素材になった。

浅野匡 -Tadasu Asano- (石丸幹二)

第1部・大阪編の主舞台である、東京中央銀行 大阪西支店 支店長。旧産業中央銀行出身。

常務・大和田暁曰く「『部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任』、銀行に伝わるその名言に、そのまま服を着させたような、そんな男」。

西大阪スチールへの融資をまともな稟議もせず決定し、その結果として起きた融資事故の責任を半沢に押しつけ、東京中央銀行東京本部に根回しをしてまで遠方に出向させようと企てる。その執拗なまでの行動の裏には、「バンカーとして決してやってはならないこと」を隠匿するという目的が……

福山啓次郎 -Keijiro Fukuyama- (山田純大)

東京中央銀行 融資部次長。旧産業中央銀行出身。

大和田派閥であり、第2部で半沢に送り込まれた刺客。
データや数字を重視し、効率性を第一に考慮する、半沢と対照をなすバンカー。金融庁検査担当、半沢の後任候補として大和田常務に推され、模擬金融庁検査で半沢と一騎打ちをする。弱点はシアーハートアタック。
国内“証拠を見せろ→ありました”大会最速のトップランカー。 

岸川慎吾 -Shingo Kishikawa- (森田順平)

東京中央銀行 業務統括部長 取締役。旧産業中央銀行出身。

大和田の懐刀。旧産業中央銀行出身者で、大和田と同じく、旧産業中央銀行派閥の復権を目論んでいる。大和田ほどの外道ではないが、彼もまた、目的のためには手段を選ばないという点で、非道なバンカーである。

第1部では半沢に興味を示す場面も見られたが、第2部では明確な敵として認識。半沢を窮追するために、卑劣な妨害を仕掛けてくる。
一方で、良き父親であり、ひとり娘を気にかける一面も持つ。 

大和田暁 -Akira Ohwada- (香川照之)

東京中央銀行 常務 取締役(→大和田常務)。旧産業中央銀行出身。
最年少で常務の座に就任した野心家で、東京中央銀行頭取の座を虎視眈々と狙っている悪代官。

「お主も悪よのう」とは絶対に言わず、「お主“は”悪よのう」という具合に、絶対に己の行為に責任は取らない。
特技は無礼討ち[5]。保身のためなら、ためらいもなく部下を切り捨てる。行員の危機を笑いながら観覧する男。まさに外道。

半沢の父親が経営する「半沢ネジ」の融資を取り止め、自殺に追いやった張本人でもある。融資継続を土下座して求める半沢の父親のことなどすっかり忘れ、「私の前で土下座した奴は無能ばかりだった」とのたまう。まさに外道。

1部・大阪編で、5億の融資事故を起こして回収に奔走する半沢に興味を持ち、裁量臨店[6]で窮地に立たされる半沢に助け船を出してくれるかと思いきや、発したセリフは「徹底的にやって彼が乗り切れるか見てみたい」。まさに外道。

第2部では半沢の最大の障害として立ちはだかる。他人を陥れ、そのことに何一つ良心の呵責を覚えない外道は、半沢をバンカーとして亡き者にせんと、笑いながらあらゆる悪事を働く。はい、よく分かりました(棒)。

内藤寛 -Hiroshi Naito- (吉田鋼太郎)

第2部より登場。東京中央銀行本店 第2営業部部長。

半沢の上長であり、まともな上役が皆無なこのドラマで、唯一と言っていい良心。半沢の人柄や能力を信頼しており、時には励まし、時には大和田含む役員に噛みついてまで半沢を守ろうとする。役柄上、表に出ることは少ないが、行内に敵の多い半沢にとって後ろ盾となっている重要な人物。

中野渡謙 -Ken Nakanowatari- (北大路欣也)

東京中央銀行 頭取。旧東京第一銀行出身。
旧産業中央銀行と東京第一銀行の派閥争いが絶えないメガバンクにおいて、両派閥を取りまとめようとしている。

東京中央銀行の頂点に立つ将軍。第1部では姿を見せることはほぼ無かったが、第2部・金融庁検査にて金融庁検査官・黒崎駿一を軽く圧倒する程の凄味を見せ、黒崎をも凌駕する存在感を露わにする。

常務・大和田暁とは信条を異にしており、「カネ」ではなく、「人」を重視する。
……彼が重視する「人」の意味は、常人が考えるよりも遙かに深く、厚い。

湯浅威 -Takeshi Yuasa- (駿河太郎)

創業100年以上の歴史を持つ老舗であり、第2部の渦中にある伊勢島ホテルの若き社長。

誠実かつ有能な経営者であり、先代である父親のワンマン経営から業績不振に陥った伊勢島ホテルを立て直そうと奮闘する。しかし、その努力も常務・羽根夏子の横槍により奏功せず、さらに120億円の損失が発覚したことにより、伊勢島ホテルは一気に破綻の瀬戸際に立たされる。

同族経営の悪習を絶ち切り、瀕死の巨象となった伊勢島ホテルを救う為、激しい苦悶に晒されながらも半沢の箴言を信じて、断腸の思いで改革の大鉈を振るう。第2部・東京編のキーパーソン。 

――百年以上続いたこのホテルの命運を、一日ちょっとで決めなければならないのか……

羽根夏子 -Natsuko Hane- (倍賞美津子) 

伊勢島ホテル専務。先代から長年に渡って伊勢島ホテルに勤める。

大和田暁と同じく強烈な野心家。現社長の湯浅威を「お坊ちゃん」と呼び、誰よりも伊勢島のことを知っている自分こそ、社長に相応しいと豪語する女傑である。一族経営というしきたりから、苦労なく社長に就いた湯浅を見下しているが、彼女自身、自他共に認める一流のホテルパーソンでもある。

120億円の損失を出した張本人でありながら、半沢の説得にもまったくブレない胆を持つ。
その損失のせいで、金融庁検査で伊勢島ホテルが実破(実質破綻先)に分類される危機にあること、分類されればホテルそのものが潰れるということを知りながら、半沢の伊勢島ホテル再建を妨害するという、不自然な行動を取る。

――伊勢島ホテルは、わたくしが、守ります。

田宮基紀 -Motonori Tamiya- (前川泰之)

近藤直弼の出向先、タミヤ電機の若き社長。

大手電機メーカーに勤めていたが、父である創業社長が他界したため、タミヤ電機の社長業を継ぐ。チャラい風貌にキザでやる気のない言動が目立つ。一族の会社を継いだ同族経営者であるという点で、伊勢島ホテルの湯浅威と対照される人物。

経営が苦しいタミヤ電機を立て直そうとする近藤直弼を殊の外厄介視する。その感情の裏には、最終的に半沢直樹に繋がってゆく、一本の線がある。

あんた執筆者のくせに豆知識を知る術がなかったようだな

  • 明確な主題歌が無く、音楽はボーカル無しの重厚なオーケストラによるメインテーマを筆頭に緊迫感ある劇伴が随所で印象的に使用されている。
  • 堺主演によるヒット作は、過去にも『ジョーカー 許されざる捜査官』『リーガル・ハイ』が代表作として挙げられていたが、初回からそれら2作を遥かに凌ぐ人気と視聴率を記録した。前者からは勧善懲悪要素が、後者からは切れ者の完全主義者という部分がそれぞれ半沢のキャラに反映されているので、本作で堺に興味が沸いた視聴者は是非観賞してみよう。
  • 主演である堺雅人は、脚本から時代劇風の要素を読み取り、剣道の要素を意識して役に臨んでいる。「父を死に追いやった大和田」という主人公に対立する絶対悪という構図も堺の提案により造られた。なお、堺は元々時代劇で名が売れた俳優でもあり、過去に大河ドラマ『新選組!』で山南敬助という剣士を実際に演じているほか、『武士の家計簿』という映画で半沢の先祖とも言える「算盤で闘う武士役」で主演経験がある。但し、実際には計算がかなり苦手とのこと。
  • 一方、敵役である大和田常務役・香川照之は堺雅人の演技を見て、「おそらく剣道をやっているところをイメージして演じている」と(堺のインタビュー内容を知らないのに)語っている。「静」の半沢と対照させる為、大和田演じる際は色々な動きをつけている。
  • さらに、堺は香川を「本当にどんなものが出てきてもおかしくないくらい引出しが多いんです。どんなお芝居が出てきても僕はもう驚かない」と評している。劇中の半沢と大和田と同様に、堺と香川も演劇の対決をしているのである。
  • 黒崎駿一役、片岡愛之助は、歌舞伎役者らしい「にらみ」を劇中で披露しているが、それは意識してそうしている訳ではないとのこと。身についた演技が自然に出ているだけのようだ。
  • 愛之助という本職の女形が演じるオカマルサは、視聴者だけでなく原作者にも強烈な印象を与えた。原作者である池井戸潤は黒崎の存在を忘れていたが、ドラマを見て、急遽新作『銀翼のイカロス』に黒崎を再登場させた。
  • 全体的に男臭いシーンなので、スタッフは上戸彩のシーンを楽しみにしていたという。
  • 花(上戸彩)の手料理はジャイさん(福澤監督)の手作り。「人に喜んでもらう」という意味で、料理と番組作りは繋がるところがあるとのこと。
  • 撮影前、監督はプロデューサーと「最終回は(視聴率)15%」目指しましょう!と意気込んでいた。筋も難解、話題のタレントも出ていない、徹底して男社会のドラマ……。テレビの常識ではヒットなどしない作品。「数字が取れるわけがない」と嘲笑っていたTBS職員もいただろう。そんな彼らに半沢は最終話、42.2%という脅威の視聴率を叩き付け、きっちり2.8倍返しを完了した。(視聴率を)取られたら取り返す。それが私の流儀なんでね……
  • なお、このドラマの最終回は自社の番宣に留まらず、列車内広告や雑誌紙面、果ては無関係番組のテレビ欄に縦読みを仕込むなど並々ならぬ気合が込められていた。
  • 尚、続編は「どうなっているのか。。。。? プロデューサーの腹ひとつ???? やるのかやらないのか テレビでやるのか映画でやるのか。。。。! 誰にもわからない?!」らしい。(鬼軍曹日記vol.102より)
  • ドラマ終了後、2013年9月28日放送の「オールスター感謝祭」で安田大サーカス団長が「大和田」に扮し、土下座から「やれるものなら、やってみなっ!」などのモノマネを披露した。
  • 半沢の父(笑福亭鶴瓶)と湯浅威(駿河太郎)の両者が出演していることから「親子共演」とも言われている。しかし、同じカットでの共演シーンは全く存在しない。
  • 半沢の父が首吊り自殺をするシーンでは、スタッフの手違いにより一瞬本当に首が締まりかけたらしい(鶴瓶が某トークライブイベントで暴露していた)。
  • 黒崎は第1部では国税局査察部の統括官(国税局課長級=税務署副署長級)という役であるが、実際のキャリア組の異動は35歳前後に小規模の税務署の署長に任命された後再び財務省など各省庁へと異動し、その数年後~十数年後に再び国税局の部長職以上の役職に就くというルートを辿るのが通常である。
    現実では国税局の統括官は50歳代のノンキャリア出世組、いわゆる「叩き上げ」のベテラン職員が座るポストであり、このドラマのように若手のキャリア組が座るポストではない。
  • 分け目をどうするかを問われた際に「弁護士(古美門研介)は左わけ」とスタイリストに教えたところ、右わけとして髪形をセットされたらしい。ちなみに、「リーガル・ハイ」にはある場面で「東京中央銀行」が僅かに登場している。
  • 最終回の長回し会議シーンは台本のページが20ページ近くあり、その分厚さには出演者も驚いた。しかし、それ以上に大和田役の香川が劇中同様になかなか土下座しようとせず、数十回のリテイクを経てようやく完成したのがあの緊迫感ある会議だった。半沢の涙はある意味演者の気持ちそのものだったのかもしれない。
  • このドラマの次クールに放送されたフジテレビ『リーガルハイ』第2シリーズでは初期に本作をコケにしたかのようなパロディが幾つか見られた。また、リーガル放送中には『倍返し』が2013年の流行語大賞を受賞、最後の笑っていいとも!特大号でもウキウキWatchingの歌詞内に「いろいろ流行ったもの」の中に登場した。

スタッフの手柄はスタッフのもの、スタッフの失敗は視聴者の責任

脚本

八津弘幸(第1期)
丑尾健太郎 金沢知樹(第2期)

脚本協力 坪田文(第1期)
槌谷健 李正美 谷口純一郎(第2期)
音楽 服部隆之
主題歌 なし
演出 福澤克雄 田中健太
棚澤孝義(第1期のみ)
松木彩(第2期のみ)
プロデューサー 伊與田英徳
飯田和孝(第1期のみ)
川嶋龍太郎 青山貴洋(第2期のみ)
製作著作 TBS

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原作

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巻数 タイトル 初版発行日 商品
第1作 オレたちバブル入行組 2004年12月5日
第2作 オレたち花のバブル組 2008年6月15日
第3作 ロスジェネの逆襲 2012年6月29日
第4作 銀翼のイカロス 2014年8月1日

ドラマ

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漫画

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外部リンク


100倍返しが現れた!

記事はもう、終わりだ。

脚注

  1. *融資した会社が倒産・破綻し、銀行が貸したお金を回収できなくなること。
  2. *籍を残したまま関連企業へ従事すること。本作における「出向」は追放、目障りな人物を隔離する意味合いで使われる。一般の「出向」が全てそうであるわけではない。
  3. *金融庁の検査官が正当な融資を銀行が行っているかどうか判断すること。万一、経営体制の悪い会社に融資を実行していた場合、銀行はペナルティを課せられる。なお、正確には「金融庁が行う検査」であり、「金融庁検査」という名称は略語。
  4. *将来発生するであろう、特定の支出に対して準備される費用のこと。伊勢島ホテルの場合、東京中央銀行は大手取引先として伊勢島ホテルに多額のカネを貸している。そこから返済が受けられなくなることから、回収できないであろう費用が計上された結果、引当金が千数百億に上っている。
  5. *主人が不都合をしでかした家来を斬ること。
  6. *(東京中央銀行)本部の監査セクションから検査役が来て、きちんとした会社に融資しているか審査されること。成績評価のようなもの。

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