夜が来る!とは (ヨルガクルとは) [単語記事]

夜が来る! -Square of the Moon-とは、２００１年にALICESOFTが発売したアダルトゲームである。

概要

当時のアリスソフトとしては珍しくボイス、ボーカル曲、アニメＯＰが採用されている。
特殊な能力を持った火者(かしゃ)たちが光狩(ひかり)と呼ばれる人を襲う怪物たちと戦うというストーリー。
スタンダードな現代ファンタジーであり、ほかのアリスソフト作品と比べラブコメ要素が多い。
この作品に影響を受けた作品もあり、二次創作も多く生まれた。

２００６年に廉価版が発売している。

あらすじ

　３年前、大津名市に突如として蒼き月が出現し、月がふたつとなる現象が起きる。人々は誰が言い出したかも知らずその月を『真月』と呼んでいた。
　主人公、羽村亮は私立桜水台学園に通う生徒である。ある日、亮は天文部である七荻鏡花、その天文部の部長である火倉いずみと出会う。いずみは自分たちが真月の影響によって増えてきた怪物『光狩』と戦う『火者』であると話す。そして彼女は告げる…
「一緒に戦って欲しいの」

登場人物

声優はアニメ版のものを記載。ゲーム版では非公開

火者
　光狩と戦う者達の総称。特殊な能力を持ってなけば光狩を見ることは出来ないが、『火の護章』を所持していれば能力を持っていない者でも戦うことが出来る。光狩が作る結界『凍夜』の光に護章をかざすことで、護章は個人に見合った武器に変異する。

・羽村亮(名前変更可能)　声：落合有人(アニメのみ)
　本作の主人公。私立桜水台学園の二年生。鏡花、いずみの誘いによって火者となり、光狩と戦うことになる。
　立ち姿では顔が影で隠れているが、イベントＣＧではしっかりと顔が描かれている。
　自分に痛みが来るところがわかる『重ね』という能力をもっており、武器は形を変える剣『無名の剣』。
　小説版では火者と光狩の間に生まれた紫の一族という設定が付与されている。
　
・火倉いずみ　声：葉月ミカ
　ヒロインのひとり。私立桜水台学園の三年生で、天文部部長。古より光狩と戦ってきた火者の一族の血を引いている。普段はほんわかとした雰囲気ながら、その包容力と責任力で仲間をまとめている。激辛料理が好きであり、キムチやタバスコで料理を辛くしてくるため周りを恐怖させている。この作品でのメインヒロインであり、眼鏡っ娘という珍しい存在であるが、戦闘時やアレのシーンなど外してしまうことも多いため、眼鏡っ娘という印象は薄い。
　能力は他者の傷を癒やす『繕い』、武器は大きな鎌である『界離(カイリ)』。

・七荻鏡花　声：小田朋美
　ヒロインのひとり。私立桜水台学園の二年生。かつては芸能人としてモデルやＣＭに出ていたが現在は休職中。ノリがいい自信家で、強気な性格だが、寂しがり屋でもある。３年前からいずみと共に光狩と戦っているが、そのころからの半年ほどの記憶が無く、そのことに不安を持っている。アニメではとあることで記憶がなくなったことへの不安を主人公で埋めようとする行為がある。
　能力は人の心を読むことが出来る『サトリ』、武器は光狩を改造した白蛇『チロ』(声：水野麻美)

・三輪坂真言美　声：柏木ひろみ
　ヒロインのひとり。私立桜水台学園の一年生。感情豊かな元気いっぱい少女で演劇台本を読んでいるところに主人公たちと出会う。ウォーレンジャーといった特撮やアニメが大好きであるが、そのことにコンプレックスを持っている。ヒロインの中では最も一般人に近く、戦いに恐怖することもあるが、主人公のサポートによってそれを克服する。彼女の貴重な能力から敵にさらわれてしまうこともあった。アニメでは出会った時点で自分の能力を自覚しており、能力でカップルをケンカさせたりといったことをしており、その部分で負い目を持っている描写がある。
　能力は言葉に力を乗せる『言霊』。武器は呪文が吹き込まれた『ＭＤ』を魔術書として使用している。

・祁答院マコト　声：吉田夏
　ヒロインのひとり。光狩を追って私立桜水台学園の二年へと転校し、主人公の隣の部屋に越してきた。いずみと同じ火者の里の出身で、彼女を嬢と呼んている。普段は無口だが、静かな情熱と仲間への優しさを持つ。キララと一緒に旅をしており、彼女を大切に思っている。
　実は彼女は能力を持っておらず、憑依が進んだ光狩をよりしろごと殺す火者とは違う暗殺者『火群』として育てられた。キララは彼女が初任務で殺したターゲットの娘である。
　武器は火薬が仕込まれた手甲『雷穿甲』

・新開健人　声：仲居淳一
　天文部に所属している火者で私立桜水台学園の三年生。将来の夢はプロレスラーであり、日々の鍛錬に余念がない。面倒見のいい性格だが、やや脳筋ぎみ。火者として思いは世界の平和といずみの笑顔を護ること。
　ストーリー終盤で仲間から離脱、再び仲間にすることも出来る。
　能力と武器は常人では出せない力を発揮し、その己の肉体を最大限に発揮する『金剛力』。

・星川翼　声：新田哲
　天文部に所属している火者で私立桜水台学園の二年生。自称二枚目なナルシスト。だが冗談とも本気ともつかぬ口調や女性をすぐ口説こうとするなど、実際は二枚目半から三枚目といったところ。光狩であるミズキと出会うことで惹かれ合い、自分が戦う意味、アニメではいずみの記憶を消去する行動などに疑問を持ち始める。
　次回作である大悪司にもゲストキャラクターとして参戦している。
　能力は人並み外れた動体視力と物体の破砕点を見極める『貫目』。武器はレイピア『サンテグジュペリ』。

・百瀬壮一　声：相川充
　とある事件にて主人公たちと出会い、光狩と戦うことを決めた少年。私立桜水台学園の一年生。火者として能力は持っていないが気合と根性、そしていずみへの想いで光狩と戦う。初登場時は金髪だが、仲間になったあと黒髪にしている。口は悪いが根は真面目。ゲームとアニメで仲間になる経緯がそれぞれ異なる。小説では登場しない。
　武器は武器に装着することで光狩への攻撃が可能となる『燐光帯』。

光狩
　古より人を欲望へと誘い、心を蝕む異形の怪物。初めによりしろに憑依し、よりしろの願いを叶えることで力を蓄える。凍夜という結界を作ることができ、その中では火者以外はあらゆるものが凍ったように停止してしまう。また人間から光狩になるものも存在する。

・洸夜(コウヤ)　声：土屋英雄
　光狩グループのリーダー。青年のような姿をしているが、グループの中では唯一純粋なる光狩。夜の女王復活のために暗躍する。

・ソウジ　声：神崎茂
　本名：火倉総司。いずみの兄であり、真月を復活させた張本人。元は火者であるが光狩になっている。七荻美里とは家庭教師時代の教え子であり、恋人。眠ったままの彼女を覚醒させるために事件を起こす。
　武器は直刃の剣。

・サカキ　声：杉谷耕司
　婚約者を殺され、世の中への恨みから光狩となった青年。冗談が通じない真面目な性格でミズキのことを気遣っている。媒体ごとに扱いが異なるキャラクターである。
　武器は二丁拳銃。ゲーム内では２回戦うがいずれもイベント戦闘であるため、勝つことは不可能である。

・ミズキ　声：中嶋花
　光狩の少女で自らの身体を使用して男たちを光狩憑きにする能力を持つ。星川と親密な関係になり、自分の立場に疑問を持つようになる。過去にイジメられおり、飛び降り自殺を図り、光狩となった。彼女が別世界で生きたいという思いから本当の彼女と光狩の彼女とでは姿が大きく異なる。

・ハイジ　声：中野雄
　本名：拝島ツトム。ビジュアルバンド「Ｏ.Ｔ.Ｏ」のヴォーカリスト。行方不明になっていたが主人公たちの前に光狩となって現れる。上の３人とは違い、私利私欲で光狩となったため、女を犯したり、アニメではバンド仲間の腕を潰すなど残虐な性格。
　一度目の戦闘にてマコトに瀕死されたため、アニメとマコトルートにて復讐を行なうも、亮達によって倒される。

サブキャラクター
・キララ　声：久保ちづる
　マコトと一緒に生活する少女。関西弁をしゃべる少女で、勝ち気な性格。主人公たちに容赦無いツッコミを入れるマスコット的存在。マコトが料理下手なので、食事は彼女の担当。光一というボーイフレンドがいて彼の前では標準語で喋る。
　過去に光狩に憑依された母が父を殺し、マコトが母を殺したことは記憶を消されている。

・高月光一　声：笹野葉月
　キララのボーイフレンドで、大津名市の市長の息子。
　その正体は洸夜

・七荻美里　声：岬ゆうか
　鏡花の姉でソウジの恋人。彼女はソウジとともに暮らしているが現在は眠り続けている。鏡花とは正反対の性格をしている。その姿は髪を下ろした鏡花そっくりである。
　鏡花が自分になりすましてソウジに迫った事実を知り、彼女に殺意を向けたため、彼女は眠り続けることになる。

システム

　アリスソフトおなじみのダンジョン探索型。
　基本は主人公のスケジュールを決め、月曜日から金曜日まで自主訓練、土曜日に仲間との共同訓練、日曜日に狭間というランダムダンジョンでの鍛錬となっている。自主訓練では訓練値を使用し、一定数数値が貯まると能力値が上がる。仲間との共同訓練は行なうだけで仲間に決められた能力値が上昇するも共同訓練の効果を受けられるのは１周目のみ。
　狭間では制限時間が決められており、時間内でダンジョンを探索することで経験点や訓練点、お金の概念である月片やアイテムを集めることが出来る。
　主人公の武器は能力値や石によって変化して強化していくが、仲間は特定の能力値によって武器が強化されていく。
　特定の日にちにイベントが起き、ダンジョン探索や戦闘が発生する。この時のダンジョン探索は一部固定マップ、制限時間は設けられていない。

アニメ

　２００２年にグリーンバニーよりＶＨＳ・ＤＶＤが全４巻発売されている。(１８禁)
　１巻ごとにヒロインが変わり、ストーリーは終盤部分に重点を置かれている。
　オープニングや一部アクションシーンは評価が高いが、一部作画の低さや内容などから全体の評価は低い。そのため予定されていた映像特典が削除されるなどが行なわれた。

小説

　ワニブックスより小説が上・下巻で発売されている。
　基本的にゲーム版のいずみルートにそった内容であるが、亮といずみとの関わりが大幅に増えている反面、百瀬の存在や星川とミズキとの恋愛要素など削除されている展開も多い。また亮に特殊な設定が大幅に追加されている。

　ファミ通文庫でも小説が発売されている。
　里から逃げてきたいずみの幼なじみ、有賀貴世とそこから起こる事件を取扱う外伝ストーリーとなっている。

小説のみの登場人物
・有賀貴世
　いずみのいた火者の里から任務に耐えかねて逃げてきた少年。火者として能力を持たず、マコトと同じく暗殺者として育てられた。毒針と使う業をもつが、もともと気が弱く、自分を落ちこぼれと思っている。いずみを頼りに大津名市へとやってきた。
　光狩憑きで身体が変化するまでに憑依が進んでおり、いずみを自分のものにするために暗躍していた。毒のスペシャリストで護章の力を一時的に奪う毒などを使用する