宇宙海兵隊ギガースは今野敏/著、深野洋一/イラストのSF小説。たぶん。
講談社ノベルスより単行本を刊行中、現在5巻。講談社文庫より既刊3巻。
22世紀。人類が宇宙に旅立ち、早100年が過ぎた時代。木星圏にまでも恒久的拠点を築き、長き繁栄が約束されていた時代――
地球連合はほぼ強制的に木星圏へと移住を行い、資源基地を開設した。そこでもたらされる莫大な資源によって地球は更なる拡大を推し進めるはずだった。しかし木星圏は人類が生存するには過酷な場所に過ぎた。
木星圏、衛星カリスト周回軌道。地球に対し独立を宣言したジュピタリアンを鎮圧するために派遣された連合軍は、人類史上はじめての宇宙戦争を経験する。この戦いで連合海軍はニューヨーク級強襲母艦ザオウを喪失。たった4隻しかないうちの1隻はカリストへと沈み、連合軍は成す術もなく木星圏から撤退した。
ジュピタリアンの先制攻撃によって半壊した地球連合軍は火星で再編成を行うも、地球圏にまで侵入してくる敵を前に疲弊していく。その膠着状態を打破すべく、海軍情報部が最新兵器を携えて宇宙海兵隊へとやってくるのであった。え?
今作は最新兵器ギガースを運用する美少女パイロットのリーナ・ショーン・ミズキ海兵隊少尉率いる前線部隊と、ジュピタリアンとの戦争を理由に国家統制を強めようとする連合政府をどうにかしてやろうという反政府活動家の2つの舞台で描かれている。
物理に縛られた軌道戦闘が地味すぎて、最果ての地の独立戦争の謎を追う方がややメインになっているところが推理作家の今野さんらしくもある。すごいふんいき小説。
この作品は1990年に徳間書店から発売された「宇宙海兵隊」とその続編「ジュピターシンドローム」のリメイク作品である。両作品は当時の時勢をよく表していて、今よりもかなり左寄りの世界観が特徴的だった。また遠い宇宙の先のジュピタリアンは狂気的に描かれていた。
本シリーズ自体も10年前の2001年から刊行されているものの、20年前のものに比べてかなりマイルドになった。美少女パイロットとか煽り文句に出てくるし。木星圏からやってきた工作員も某イギリスのスパイみたいなイケメンになってたり。
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最終更新:2025/12/09(火) 02:00
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