宇宙海兵隊ギガースは今野敏/著、深野洋一/イラストのSF小説。
講談社ノベルスより単行本を刊行、全6巻。講談社文庫より同じく全6巻。
22世紀。人類が宇宙に旅立ち、早100年が過ぎた時代。木星圏にまでも恒久的拠点を築き、長き繁栄が約束されていた時代――
地球連合はほぼ強制的に木星圏へと移住を行い、資源基地を開設した。そこでもたらされる莫大な資源によって地球は更なる拡大を推し進めるはずだった。しかし木星圏は人類が生存するには過酷な場所に過ぎた。
木星圏、衛星カリスト周回軌道。地球に対し独立を宣言したジュピタリアンを鎮圧するために派遣された連合軍は、人類史上はじめての宇宙戦争を経験する。この戦いで連合海軍はニューヨーク級強襲母艦ザオウを喪失。たった4隻しかないうちの1隻はカリストへと沈み、連合軍は成す術もなく木星圏から撤退した。
ジュピタリアンの先制攻撃によって半壊した地球連合軍は火星で再編成を行うも、地球圏にまで侵入してくる敵を前に疲弊していく。その膠着状態を打破すべく、海軍情報部が最新兵器を携えて宇宙海兵隊へとやってくるのであった。
最新兵器ギガースを運用する美少女パイロットのリーナ・ショーン・ミズキ海兵隊少尉率いる前線部隊と、ジュピタリアンとの戦争を理由に国家統制を強めようとする連合政府をどうにかしてやろうという反政府活動家の2つの舞台で描かれている。
巨大ロボットや美少女がイラスト付きで登場するが、作風は今野敏の他の警察小説とあまり変わらず、物語の半分は政治闘争がメイン。言うなればナデシコとダグラムを足して2で割ったような作品で、色んなロボット物と被っているようで、実際にはどの作品とも違った魅力があり、ラノベやロボットアニメから今野敏に入る人にオススメできると言える。
軌道戦闘の描写は物理法則に則っていて良くも悪くも地味だが、裏を返せばリアリティーを加味した緊張感が本作の魅力たり得る。また、最果ての地の独立戦争の謎を追う方がややメインになっているところが推理作家の今野氏らしくもある。
この作品は1990年に徳間書店から発売された「宇宙海兵隊」とその続編「ジュピターシンドローム」のリメイク作品である。両作品は当時の時勢をよく表していて、現在よりもかなり左寄りの世界観が特徴的だった。また遠い宇宙の先のジュピタリアンは狂気的に描かれていた。
本シリーズ自体も10年前の2001年から刊行されているものの、20年前のものに比べ、煽り文句に美少女パイロットが登場したり、木星圏からやってきた工作員のデザインが某イギリスのスパイのようなイケメンであるなど、かなりマイルドになっている。
掲示板
4 ななしのよっしん
2016/07/30(土) 13:13:45 ID: Ohr9FW4wnl
この概要だと何なんだかわからない
作者の記事の方にあった
7 : ななしのよっしん :2014/07/12(土) 00:58:41 ID: FPv5UWfdl1 宇宙海兵隊ギガースはラノベやロボットアニメから今野敏に入る人にオススメしたい作品。巨大ロボットや美少女がイラスト付きで出てくるけど、作風は他の警察小説とあまり変わらず、作品の半分は政治闘争がメイン。
言うなればナデシコとダグラムを足して二で割ったような作品で、色んなロボット物と被っているようで、実際にはどの作品とも違った魅力がある。もっと知られて欲しい
ぶっちゃけこっちのほうが分かりやすかった
5 ななしのよっしん
2016/09/06(火) 01:15:47 ID: JZQ4a8Rbf3
>>両作品は当時の時勢をよく表していて、今よりもかなり左寄りの世界観が特徴的だった。
今野先生はかつて、反原発政党の候補として都議会議員か何かに立候補してた過去があったみたい。ただ、その後の作風とか見てると、決して偏向した思想を持ってる作家ではないってはっきり分かるんだね
あと、本作の戦闘描写が地味と書かれてるけど、軌道を外れて宇宙の迷子になってしまう恐怖とか、むしろその辺のリアリティーを加味した緊張感が、本作の真骨頂なんじゃないかと思ってみたりする。最終巻は戦闘シーンがあっさりしすぎてて、長編シリーズのカタルシスも何もあったもんじゃない内容だったのは残念だったけどな
6 ななしのよっしん
2019/06/16(日) 23:53:45 ID: 1pHI0W4TXb
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最終更新:2024/04/20(土) 08:00
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