小惑星探査機「はやぶさ2」とは、工学実験探査機「はやぶさ」の後継機として開発された日本の小惑星探査機である。
概要
2014年12月3日(水)13時22分04秒(日本標準時)、種子島宇宙センターからH-IIAロケット26号機で打ち上げられた(天候不良により、11月30日(日)13時24分48秒(日本標準時)から2回延期した)。
2018年に目標「小惑星1999 JU3」に到着してサンプルを採取し、2020年に地球帰還、というスケジュールを想定している。
所属と運用は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月・惑星探査プログラムグループ(JSPEC)、プロジェクトマネージャーは國中均(ISAS/JAXA教授)、主たる開発元は探査機「はやぶさ」・金星探査機「あかつき」でもおなじみNEC。
なお、旅の同行者として三つ子の3機の「MINERVA-II」(ミネルヴァ2)とドイツ・イタリアチームが開発した「MASCOT」(マスコット)が搭載され、初代ミネルヴァが果たせなかった小惑星への着陸探査に再挑戦する。
また、相乗り衛星として、超小型深宇宙探査機「PROCYON」(東京大学)、深宇宙彫刻「ARTSAT2-DESPATCH」(多摩美術大学)、深宇宙通信実験機「しんえん2」(九州工業大学)も飛び立った。
目的
小惑星からのサンプルリターン。
イトカワと違って、有機物質や水が含まれている可能性が強いC型小惑星「1999 JU3」を目標としており、もし、有機物が確認されれば、地球の生命起源の研究に大きく貢献すると期待されている。
はやぶさとの主な違い(一例)
- 位置づけ
- はやぶさ:厳密には「工学実験探査機」。「イトカワ」からのサンプル採取は予行演習。
- はやぶさ2:本当の意味での「小惑星探査機」。サンプル採取本番。
- 名前
- はやぶさ:正式名称は「第20号科学衛星」。開発名「MUSES-C」(Mu Space Engineering Satelite-C)。
- はやぶさ2:「はやぶさ2」が正式名称。コードネームは無い。
- 目標
- はやぶさ:S型小惑星 「25143 Itokawa」(通称:イトカワ) Si:ケイ素
- はやぶさ2:C型小惑星 「(162173) 1999 JU3」 C:炭素
- サンプルの採取方法
- はやぶさ:小惑星の表面のサンプル採取。
- はやぶさ2:小惑星の表面を爆破させ、内部のサンプル採取を試みる。なお、採取は3回行われる予定。
- サンプル採取の確認
- はやぶさ:データのみで確認。
- はやぶさ2:データに加え、魚眼レンズカメラを搭載して目視確認を行い、同時に光学観測を行う。
- 高利得アンテナ
- はやぶさ:パラボラアンテ1基(Xバンド)
- はやぶさ2:アレイアンテナ2基(Xバンド Kaバンド)
- 運用
- はやぶさ:ドラマチックとか奇跡とか感動とか魂があるとか満身創痍とかとにかくてんこ盛り。
- はやぶさ2:着実にミッションをこなす。[1]
その他、イオンエンジンやリアクションホイールの改良、化学燃料スラスタの配管変更やサンプルの採取方法の複数化など、初代はやぶさの仕様がいくつも変更されている。あの伝説の「ニコイチ運用」は、今回は標準装備の模様。
はやぶさ2を応援しよう!(募集終了)
その他
- 探査機・衛星の打ち上げで恒例となったライブ中継は、今回もニコニコ動画やユーストリームなどインターネットを通じて行われ、地上波ではTBSが中継をした。また、JSPECの本拠地ISAS相模原キャンパスなど各JAXA施設を筆頭に、日本全国の研究教育機関や公的施設等でパブリックビューイングも行われた。なお、ライブは二部構成に別れ、第一部では打ち上げまで、第二部はH2Aロケットからの分離までが放映された。
- 打ち上げライブ中継のナビゲーターは、宇宙輸送ミッション本部宇宙輸送系要素技術開発センターの嶋根愛理(しまね えり)研究員が担当した。ニコ動では「えりちゃーん」「おねーさん」「かわいい」「教育テレビのナレーターみたい」等のコメントが流れた。
- あかつきチーム(金星探査機「あかつき」)やイカロス君からは、ツイッターを通じて、「はや1君」という愛称で呼ばれている。
- 2012年現在、はやぶさ2プロジェクトの後継計画が白紙状態であり、このままだと、はやぶさシリーズで蓄積された技術と経験が散逸してしまうリスクがある。これは、宇宙開発では「国防」と「産業振興」が優先され、宇宙探査や科学技術分野など「研究分野」の地位が低いためである。お願い、助けて!
関連ニュース
打ち上げまでの流れ(探査機「はやぶさ」記事からの転載を含む)
- 2010年8月
- 文部科学省・宇宙開発委員会で研究開発フェーズへの移行が承認され、文部科学省も140億円の総開発費のうち30億円を概算要求することを決定。
(この間、事業仕分けやJAXA内部の問題等で、ピンチを迎える><)
- 2011年5月12日
- JAXAは2014年に正式打ち上げをすることを発表した。
- 初代はやぶさ2プロジェクトマネージャーである吉川真(ISAS/JAXA准教授)は、「技術的には、はやぶさのようにドラマチックにならないよう、当たり前のように行って戻ってくることを目指したい」と述べている。
- また、初代はやぶさに関わった研究者や技術者、外部のメーカーも開発・運用への参加に意欲を見せており、開発の着手を待っているという。
- 2012年1月25日
- 宇宙開発委員会において「はやぶさ2」の本格的な開発移行が承認される。
- 2012年9月13日
- 新プロジェクトマネージャーとして「こんなこともあろうかと」の真田さんこと國中均(ISAS/JAXA教授)が就任。
打ち上げ以降
- 2014年9月30日
- 2014年12月3日
- 2015年12月
- 2018年6月
- 2019年12月
- 1999 JU3から離脱、地球への帰還を開始 (予定)
- 2020年12月
- 地球へ帰還。カプセルを投下して次のミッションへ(予定)
(随時追加と更新をお願いします)
関連動画
関連商品
随時追加予定
関連コミュニティ

関連項目
- 宇宙/科学
- 技術立国日本
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)/宇宙科学研究所(ISAS)
- 探査機「はやぶさ」
- 小惑星探査ロボット「ミネルバ」
- 種子島宇宙センター
- 臼田さん(アンテナ)
外部リンク
公式サイト
有志によるサイト
脚注
- *既に我々はその先を見据えて走り出しています。「はやぶさ」の数多くの失敗点を肝に銘じつつ、次こそは波乱万丈とは無縁の航海となるように、もうこの手で探査機本体を再突入させずに済むように、新たな地平に向けて全力を尽くします。引き続き、見守って頂ければ幸いです。→https://twitter.com/Hayabusa_JAXA/status/80316726457278464。