必殺仕置人とは、朝日放送(現・ABC)が制作し、1973年4月21日~10月13日までTBS系列で放送された時代劇・必殺シリーズ第2弾である。全26話。
概要
オープニングナレーション
のさばる悪をなんとする
天の裁きは待ってはおれぬ
この世の正義もあてにはならぬ
闇に裁いて仕置する
南無阿弥陀仏
ナレーター:芥川隆行
仕置人誕生
ある日、「闇の御前」とよばれる悪党が処刑された。
刑場でその悪党の首を見た娘お咲は、それが自分の父親だと確信する。
直後に襲われるお咲だったが、「観音長屋」に住む棺桶の錠に助けられ、そしてお咲は錠の家に集まった念仏の鉄、おひろめの半次、鉄砲玉のおきんらにこの事を話すが、「闇の御前」が娘の父親で百姓であることに大笑いしてしまう。
だが、事情を詳しく聞くうちにきな臭いものを感じた鉄は、知り合いの北町奉行所同心・中村主水に相談。主水は牢名主で「闇の御前」の最期に不審を抱いていた天神の小六に協力を求め探索した。その結果、浜田屋が実は「闇の御前」であり、奉行と結託して顔がそっくりな娘の父親を身代わりに立てていたことが分かり、鉄たちの怒りが爆発。主水も最初は奉行が盗賊と結託していることなど信じたくはなかったが、奉行達に制裁を加えることを決め、お咲が用意するという大金を仕置料として、奉行そして「闇の御前」の一味の仕置を決行した。
後日、錠の家に集まり「仕置料」を分ける鉄たち。その金が実はお咲が身を売った金だと知った錠は飛び出していくが、時既に遅かった。錠が帰ってきた時、鉄と主水は「これからもこういう事を続けていく」ことや「向こうがワルならこちらはそれを上回るワルになる」ことを決め、他の3人も同意したため、5人の「仕置人」チームがこうして誕生した。
必殺シリーズ第2弾
好評だった『必殺仕掛人』の後を受けて放送されたシリーズ第2弾。
前作よりも直情的でワイルドな描写が多く、悪党に対する「怒り」を原動力に恨みを晴らすという点も前作とは違う。
彼らは成り行きでお上が目こぼしする様な悪党に制裁を加えるために組んだ寄せ集めの集団であり、前作の藤枝梅安ら「仕掛人」のようなプロの殺し屋ではない。仕置人を束ねる元締も存在せず、皆が自由気ままな存在だった。
だが、それが裏目に出て奉行所に捕まったり、強敵に出くわしてピンチに陥るということもままあった。
なお、本作は仕置の表現方法として「レントゲン」が登場。さらに、のちに本作を含めて全シリーズのうち約半数の作品に出演することになる同心・中村主水の初登場作品でもある。
登場人物(仕置人)
- 念仏の鉄(ねんぶつのてつ)
- 演:山崎努
- 元々は僧侶だったが、密通の罪で佐渡へ島送りとなり、五年間、金を掘り続ける作業をさせられていた。その時に中村主水と出会って今に至っている。骨接ぎの技術は、罪人時代に作業で疲れ傷ついた他の罪人を助けるために見よう見まねで憶えたらしい。江戸へ戻ってからは、その技術を活かして「観音長屋」で骨接ぎの仕事をしており、患者からも評判がよい。一方では女好きで金遣いも荒い面があり、表・裏の仕事で得たお金は全て女遊びで使ってしまうこともある。
仕置技は三本の指(親指・人差し指・中指)を使って標的の骨を外してしまう「骨はずし」で、単に殺すだけではなく、相手の自由を奪って心中の片割れに仕立て上げたりすることもある。
最終回では主水以外の仕置人の面が割れたために解散を決意し、そして江戸から去っていくが、のちにあることが原因で主水と再会することになる…。
- 棺桶の錠(かんおけのじょう)
- 演:沖雅也
- 「観音長屋」で棺桶作りの仕事をしている琉球出身の寡黙な青年。
女嫌いで猫の子一匹すら寄せ付けないが、事件で関わってしまった女性には親身になって解決しようとする面も
ある。また、直情的で口が悪く、同心である主水に対しても反感を抱いている部分があり、ある事件で捕まった時
には、主水が裏切ったのではないかと疑念を抱くことすらあった。
組み立て式の金属製の手槍で、自身が得意とする空手と組み合わせて荒々しく相手の急所を刺す仕置技を持っている(この手槍はのちに鍛冶屋の政が同様のものを使用)。
解散後は江戸から去って消息不明となっていたが、のちに長崎で仕事人・三味線屋の勇次を助けたことがきっかけで仕事人に加勢、直接会う場面は無かったものの久しぶりに主水と組んで仕事し、そして日本から去っていった。
- おひろめの半次(おひろめのはんじ)
- 演:津坂匡章(現・秋野太作)
- 「観音長屋」で瓦版屋の仕事をしている、口から先に生まれたようなお調子者。
府中の生まれだが、若い頃に継母が原因で家を飛び出して江戸へたどり着く。そして、瓦版屋に弟子入りして修業したあとに独立、「おひろめ」もそれ以後に名乗るようになった。
仕置人の情報収集担当であり、殺しは行わない。
解散後はおきんと共に長崎へ逃げていたが、のちに幕末の江戸で主水と再会し、新チームを結成することになる。
- 鉄砲玉のおきん(てっぽうだまのおきん)
- 演:野川由美子
- 「観音長屋」の住人でスリをしている女性。
壬生川村の出身だが、物心ついたときから父親の顔を知らず、幼い頃に母親と死に別れたため、それ以後はスリとして生活するようになった。金への執着心が強いが、それ以上に被害者への哀れみの方が強い。
半次と共に仕置人の情報収集担当であり、やはり殺しは行わない。
解散後は半次と共に長崎へ逃げていたが、のちに幕末の江戸で主水と再会し、新チームを結成することになる。
- 中村主水(なかむらもんど)
- 演:藤田まこと
- 北町奉行所同心で、普段は昼行灯を決め込んでいる三十過ぎの男。通称「八丁堀」。
元々は北大路家の人間だったが、同心株ほしさに中村家の婿養子となり、それが元で今でも嫁のりつや姑のせんには頭が上がらない。過去には佐渡で金山奉行所の同心もやっており、そこで念仏の鉄と出会う。江戸へ来た後は鉄と再会してつるむようになり、やがて鉄、錠、半次、おきんと共に「仕置人」として悪を制裁していく。
仕置技は長刀や脇差しを使って標的を叩き斬るものだが(のちのシリーズでおなじみの床下からのセコ突きも一回だけ行っている)、本作では実行部隊というよりも知恵袋的存在で、殺しを行わない回があるばかりでなく登場すらしない回もあるほどである。
- 解散後は一人だけ江戸に残っていたが、のちに好奇心から「助け人」と呼ばれる口入屋に興味を抱き、そして棟梁の清兵衛の口車に乗せられて(?)彼らに協力し、手柄を立てた。
エンディングナレーション
仕置…
法によって処刑することを江戸時代そう呼んだ
しかし、ここにいう仕置人とは
法の網をくぐってはびこる悪を裁く
闇の処刑人のことである
ただし、この存在を証明する記録
古文書の類は一切残っていない
ナレーター:芥川隆行
主題歌
- やがて愛の日が
- 作詞:茜まさお 作曲:平尾昌晃 編曲:竜崎孝路 歌唱:三井由美子
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関連項目
- 必殺シリーズ
- 必殺仕掛人(前作)
- 助け人走る(次作)