悪魔の手毬唄

悪魔の手毬唄（あくまのてまりうた）とは、横溝正史の小説、及びそれを原作とする映画・テレビドラマ。金田一耕助シリーズの一作。

あらすじ

昭和30年、金田一耕助は一ヵ月ばかり辺鄙な田舎で静養しようと、岡山県の鬼首村を訪れる。村では、村出身の人気歌手・大空ゆかりの里帰りの噂で持ちきりとなっていた。

村の温泉宿に滞在する耕助は、親しくなった庄屋の末裔・多々羅放庵の頼みで、放庵の元妻・おりん宛に復縁を受け入れる手紙を代筆する。しばらく経って、耕助は山向こうの総社の町に向かう途中、おりんを名乗る老婆とすれ違うが、総社の町でおりんは既に死んでいると告げられる。驚いて村に戻った耕助を待ち受けていたのは、異様で凄惨な連続殺人事件だった……。

概要

推理小説誌「宝石」に1957年から59年にかけて連載された長編。なお連載完結後は単行本化されず、初めて本になったのは1971年、角川文庫でのことである。現在もその角川文庫で入手可能。

金田一耕助シリーズの長編第15作。ヴァン＝ダイン『僧正殺人事件』に感動した横溝は、童謡殺人（見立て殺人）というテーマを自分でも扱おうと『獄門島』を書いたが、こちらでは改めて本格的に手毬唄を創作し、それに見立てた連続殺人が起こる。日本の童謡殺人ものを代表する一作である。

発表当時、横溝正史は謎解きよりもインパクトを重視した通俗長編を多く手掛けていたが、この作品は『獄門島』の系譜に連なる本格推理の色が濃く、横溝正史の代表作のひとつにも数えられる一作。

これまで2度映画化、5度テレビドラマ化されているが、最も有名なのは1977年の市川崑による映画版だろう。『犬神家の一族』（76年）『八つ墓村』（77年）とともに、空前の横溝ブームを起こした名作である。直近の映像化は2009年のテレビドラマ版（稲垣吾郎主演）。

ちなみに鬼首村は『夜歩く』でも舞台になっているが、どうやら同じ名前の別の村であるらしい。

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関連項目

• 小説作品一覧
• 横溝正史
• 金田一耕助