我輩はタコである。理由は未だ無い。

なぜこうなったか頓（とん）と見当がつかぬ。何でも細長いうねうねした足をいあいあと崇められて居た事丈は記憶して居る。吾輩はここで始めて動画というものを見た。然（しか）もあとで聞くとそれはニコニコという人間中で一番獰悪（どうあく）な娯楽であったそうだ。此ニコニコというのは時々我々を捕（つかま）えてネタにして遊ぶという話である。然し其当時は何という考（かんがえ）もなかったから別段恐しいと も思わなかった。但（ただ）ネットに載せられてスーと持ち上げられた時何だかぽっぴっぽした感じが有った許（ばか）りである。掌の上で少し落ち付いてニコニコの動画を見たのが所謂（いはゆる）たこルカというものの見始（みはじめ）であらう。此時妙なものだと思った感じが今でも残って居る。第一髪の毛を以て装飾されるべき筈の顔が何でたこの触手になってんだよ（怒）。其後派生動画にも大分逢ったがこんな元凶 には一度も出会（でく）はした事がない。加之（のみならず）顔の真下が余りにのっぺりして居る。そうして其穴の中心から時々くるくると回りだす。どうにも目が回り弱った。是で以て空を飛べるという事は漸く此頃（このごろ）知った。