択捉(艦これ)とは (エトロフとは) [単語記事]

「もっと精進を重ね、みなさんの海を守れるよう、頑張ります！」

択捉（えとろふ）とは、大日本帝国海軍所属の択捉型海防艦1番艦〈択捉〉をモチーフとした、ブラウザゲーム『艦隊これくしょん～艦これ～』に登場する艦娘（かんむす）である。
ＣＶ：首藤志奈　イラストレーター：赤坂ゆづ

司令、なんでしょう？船団護衛ですか？海峡警備？

海防艦娘「択捉」は、2017年5月に行われたイベント『出撃！北東方面第五艦隊』の4面目および5面目のボスドロップとして実装された。このイベントで初めて実装された艦種「海防艦」の3人のうちの1人。ちなみに択捉型海防艦は史実では14隻就役しているので、14人姉妹の長女となる。

占守型姉妹の2人とは違い、白と青のセーラー服に水色のスカーフタイ、そして同じく白と青のベレー帽を頭に乗せている。三つ編みにした緋色の髪が印象的。そしてペドい。ちなみにイラストを担当した赤坂ゆづ氏は、これまで艦これでは家具のデザインを担当していたとのことで、艦娘のデザインはこれが初である。
性格は長女らしく割と生真面目。

性能としては燃費が非常にいいことと対潜攻撃に特化していることが挙げられる。対潜特化は他の海防艦と同じだが、最大の特徴は初期対潜が35で、Lv3になると36になるという点である。海防艦は対潜先制爆雷攻撃の条件が対潜60以上であるため、択捉は四式ソナーを2つ装備することでなんとLv3で対潜先制爆雷攻撃できてしまうのである。

第百四戦隊択捉、出撃します！みなさん、行きましょう！

太平洋戦争を迎えるにあたって、日本の生命線とも言うべき、南洋経由の輸送経路の護衛任務をこなせる艦が圧倒的に不足していることに気付いた海軍は、長大な航続距離を持っていた占守型海防艦を急遽量産することを決めた。

……新型の護衛艦を設計・建造するのではなく、北方の漁場で活動するために建造されていた占守型をそのまま南方の輸送護衛に投入するあたりが、いかに日本海軍が輸送を軽視していたかを物語っているのだが、それはさておき、こうして建造されることになったのが、択捉型である。ちなみに択捉型の艦種は最初から"軍艦"ではなく"艦艇"で、菊の御紋は装備していない（"軍艦"として御紋を装備していたのは占守型のみである）。
前述の通り、ほとんど占守型からの変更はなく、暖房設備もそのままだったりする。あと、製造の難しさも占守型から受け継いでしまい、量産には難しい海防艦であった。なんでこれを14隻も造ったのだろうか？　ちなみに海軍省の公式類別では占守型とその改良である択捉型は「甲型海防艦占守型」としてまとめられており、〈択捉〉も「占守型5番艦」となっている。

そのネームシップである1番艦〈択捉〉は日立造船桜島造船所（大坂、現在のUSJのある場所）にて、1942年3月23日に起工、1943年1月29日に進水、1943年5月15日に竣工した。「占守型海防艦」から続く島名からの命名となる艦名は、千島列島の択捉島より。竣工後は、第一海上護衛総隊に配属となり、主に台湾と内地との間の輸送護衛任務を行っていた。

1943年7月29日、シンガポールに向かう輸送船団の「ヒ03」船団を護衛していた〈択捉〉。その船団の前に、見慣れぬ明らかに日本のものではない潜水艦が姿を現し、船団は慌てて攻撃を開始するが、様子がおかしい。幸い、発砲したのは先頭にいたタンカーだけでどちらにも被害のないうちに、その潜水艦が味方であることが判明し、〈択捉〉が臨検を行った後、お互いに別れ、潜水艦は去って行った。
その潜水艦こそが、ドイツからはるばる日本に向かう途中だった〈U-511〉、後の〈呂500〉だったりする。

その後、米軍がフィリピン攻略に乗り出してからは、日本-シンガポール航路は危険度が急上昇。最初は潜水艦による輸送船狩り、仕舞いには機動艦隊が輸送艦隊を襲うような状況になっていく。〈択捉〉も例に漏れず、1944年11月の往路「ヒ81」船団では3隻の潜水艦に襲われて、フィリピンに向かうため同行していた陸軍揚陸艦〈あきつ丸〉が〈クイーンフィッシュ〉に、そして特設空母〈神鷹〉（元ドイツ商船〈シャルンホルスト〉）が〈スペードフィッシュ〉に撃沈され、他のタンカーも次々と被害に遭い、シンガポールに到着できたのは半数に過ぎなかった。復路となる「ヒ82」船団でもタンカーをさらに次々と沈められ、日本に戻れたのは1隻のみという散々な結果だった。

這々の体で日本に戻った〈択捉〉は、その後北方に活動の場を移し、そして稚内にて終戦を迎えた。なんと、護衛任務とはいえ激戦の中を生き抜いたのみならず、無傷・戦死者ゼロという偉業を達成している（ﾏﾓﾚﾅｶｯﾀ…のはまぁ、誰がやっても無理ゲーだと思う）。

戦後は復員船として従事した後、アメリカに賠償艦として引き渡されたが、向こうも使い道が無かったのか、アメリカ本土に渡ることなく、日本の播磨造船所呉船渠（元の呉海軍工廠）で解体された。1947年10月13日、解体完了。