消費税 単語


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消費税とは、消費一般に対して課税する税金である。

消費税は大きく直接消費税と間接消費税に分けられる。また、間接消費税は個別消費税と一般消費税に分けられる。全ての物品にかけられる一般消費税は、課税の中立性原則の観点から一番望ましい税制であるといわれている (のだが、「消費税 中立性」でググると中立性と公平性を取り違えたBAが上位にくる。現実は非情である)。

日本の消費税の概要

日本の消費税は所得税、法人税と並んで代表的な国税の一つであり、平成20年度の税収は10.0兆円である。これは租税及び印紙収入の22.5%を占める。

日本の消費税は間接税、つまり税金を負担する者と税金を納める者が異なる税金である。一般に税金を負担するのは消費者で、税金を納めるのは事業者となる。

消費税の税率は4%である。一般的には消費税の税率は5%と認識されているが、これは地方税である地方消費税の税率1%を加えたものであり、正確には消費税等(消費税と地方消費税を合わせたもの)の税率である。なお、消費税のうち、29.5%は地方交付税として地方公共団体に配分されるので、国の財源に使われるのは2.84%分、消費税等全体の56.4%である。

経緯

日本では消費税導入の前に物品税が適用されていた。
これは、商品の生活での重要度をもとに税率を適用するもので、食料品や生活必需品の税率は低く、高価で贅沢なものには高い税率を課していた。
しかし、実際にその商品にどれだけの税率をかけるかでの判定が困難なものが頻出し、たびたび納税時でのトラブルが発生した。というのも、新たに開発された商品というものは最初は数が少なく売価も高いことから「高価で贅沢なもの」と認識されやすいのだが、その商品がヒットするとその後急速に「低価格化・大衆化する」といった性質を持っているからである。これに法がついていけないことがしばしば起こり、「コーヒーは課税で紅茶は非課税」「ストーブは課税でコタツは非課税」など、今聞くと「?」と思えるような課税判定が実際に起こっていたのである。また、個々の人間の主観の違いもあるため、いつの時点を以って「贅沢品ではなくなった」とはっきりした線引を行うことも困難であるという問題もあった。これを解消するために、すべての商品に一律な税率をかける消費税への移行が提議されるようになった。

1970年代にヨーロッパなどで導入が始まると日本でも消費税の導入が表立つようになったが、食料品などの値上がりにつながるとして、市民やマスコミは反対の声を上げ、なかなか導入には至らなかった。
しかし1988年に消費税法が成立し、翌年4月から物品税が廃止されて消費税が導入された。

  • 1978年:第一次大平内閣で消費税導入が表立つようになった。
    →1979年の衆院選で過半数割れを起こしたことで、導入は取り下げられた。
  • 1986年:第三次中曽根内閣で「売上税」の構想を立てる
  • 1988年:竹下内閣で消費税法が成立
  • 1989年:4月より税率3%で施行
  • 1997年:4月より税率を5%に引き上げ(うち1%を地方消費税として施行)
  • 2014年:4月より税率を8%に引き上げ予定(景気の動向による)
  • 2015年:10月より税率を10%に引き上げ予定(同上) 

納税義務者

消費税の納税義務者は国内で課税取引(後で説明する)を行った事業者と海外から輸入をした者である。事業者とは法人と事業を行う個人のことである。法人には営利企業だけでなく、財団法人や宗教法人といった公益法人のほか、国や地方公共団体も含まれる。なお、輸入の場合には事業者に限定しないのでいわゆる個人輸入を行った場合でも納税義務者となる。

納税義務者は課税期間という一定の期間ごとに税額を計算し、課税期間の終了した日から2ヶ月以内に申告書を提出して納税しなければならない。課税期間は原則として個人の場合は暦年(1月1日から12月31日の1年間)、法人の場合は事業年度である。

ただし、基準期間の課税取引の売上高が1000万円以下ならば納税義務は免除される。基準期間とは個人の場合は課税期間の前々年、法人の場合は課税期間の前々事業年度のことである。たとえば、個人の場合、平成20年の課税取引の売上高が1000万円以下ならば平成22年の消費税は納付する必要はない。
ただし資本金が1千万円以上の法人についてはこの納税義務の免除規定は適用されず、最初の事業年度からいきなり消費税を納める義務が生じる
これは、会社を設立してから2年経たないうちにその会社を精算し(つまり会社を自ら潰して)、そしてすぐさま別の新しい会社を設立する、これを延々と繰り返すことにより消費税の納税義務を半永久的に逃れるという脱法行為(租税回避行為)を行う者が少なからず居たことが問題視されたことにも一因があり、平成22年4月以降設立の法人に対して免除規定が廃止されている。

取引の分類

消費税では取引を課税取引非課税取引免税取引不課税取引の4つに分類する。課税取引以外は消費税が課税対象とならない取引であり、わざわざ区分する必要はないように思われるが、消費税の計算においてこの区分が重要になってくることがある。

なお、輸入取引の場合は課税対象と非課税取引の2つしかない。

課税取引

課税取引とは以下の条件をみたすものである(輸入取引を覗く)。

  1. 国内で行った取引であること
  2. 事業者が行った取引であること
  3. 対価を得ていること
  4. 取引が資産の譲渡(売買など)、資産の貸付、役務(サービスなど)の提供のどれかであること
  5. 非課税取引でないこと
  6. 免税取引でないこと

なお、譲渡とは売買などのことをいい、役務とはサービスなどのことをいう。

つまり、国内で商売として物を売ったり、物を貸したり、サービスの提供をした場合、非課税や免税の場合を除けば課税取引になる。たとえば、プレミアム会員の会費(月額525円、90日1,680円)もサービスの提供に対する対価だから課税取引である。

輸入取引の場合は非課税取引以外は全て課税取引になる。

非課税取引

非課税取引は消費税の性格になじまない取引や社会政策として課税対象から除外されている取引で、次のようなものがある。

  1. 土地の譲渡や貸付
  2. 有価証券や支払手段(紙幣や小切手など)の譲渡
  3. 貸付金の利子や保険料を対価とする取引
  4. 郵便切手、印紙、商品券等などの譲渡
  5. 国や地方公共団体の手数料で法律で定められているもの
  6. 社会保険の対象となる医療
  7. 介護保険法に規定された介護サービス、社会福祉法に規定された福祉サービス
  8. 医師などによる助産
  9. 火葬・埋葬
  10. 身体障害者用物品の譲渡や貸付
  11. 学校の入学金や授業料
  12. 教科書の譲渡
  13. 住宅の貸付

輸入取引についても有価証券、郵便切手、身体障害者用物品、教科書の輸入は非課税取引となる。

免税取引

免税取引とは輸出取引や輸出に類似する取引(国際郵便や国際通信など)、免税ショップでの取引(一定の条件を満たすもの)のことである。

不課税取引

不課税取引とは課税取引のところに書いた条件のうち1から4の条件のどれかを満たさない取引である。

たとえば、海外での物の売買、サラリーマンの給料、贈与や給付、保険金や株式の配当の受領などがある。

安定財源としての側面

消費税は税の特性として安定して収入の見込める税項目である。
その額面は景気変動に左右されず、純粋な国内総生産額に比例するといわれる。
1%増あたり2兆円を確保できるというもの過去のデータと国内総生産の数字によって導かれている。
現在。日本国におけるGDPの9割以上が国内消費である為、消費にかける税というのは確実に課税対象として理にはかなっていともいえる。

その為、国家として生存しているかぎりどうしても掛かる社会保障の維持の財源として最適だとされる。

消費税について指摘されている諸問題

以下の内容について税構造上の問題が指摘されている。

景気悪化要因
税負担が増えるということは景気に対して悪影響の出ることである。
理論上、税収増によって民間部門、消費部門から国家部門に所得(利益)が移動するに等しい為、悪化は必ず起こりえることであり、消費税を引き上げる際には悪影響をどれだけ低く抑えるかが重要となる。
逆進性
消費税が広く浅く均等に課税される税金である。
現在だと食料や医療などすべてに課税されているため、低所得の人ほど税負担に対して負担感が大きいといわれる。
輸出差益
消費税は国内消費に掛かる税である為、輸出品目にか掛からない。
その為、たとえば自動車などを組み立てて海外に輸出した場合には部品に掛かっていた消費税の還付請求が可能となる。
その一方で消費税は財務省の意向により内税表記が原則とされており、国内のパーツメイカーは消費税を含んだ提示価格で、税のかからない海外のパーツメイカーとの競争を強いられる例が多々あるとされる。事実、仕入消費税分の原価下げを部品メーカーが要求される場合も発生している。それも禁止する為、消費税転嫁対策特別措置法がわざわざ法制されている。(所管は中小企業庁)
本来であれば原価での比較とすべきところだが、あえてそれをしていないのはメーカーの怠慢といわれている。
そもそも、輸出戻し税還付対象が輸出メーカーの海外販売分であり、平均して年間3兆円が輸出企業に対して還付されているとも言われる。
これは消費税の抱える制度欠損であり消費税導入時から指摘されてきたが、今でも問題を抱えたまま税率だけが上がっていっている。
これらの問題を総称して輸出戻し税問題といわれ、識者からは対策としてインボイス方式の活用などが提案されることもある。一方でインボイス方式は事務手続きが爆発的に増えるという側面を持つため財務省は実施は不可能だとしている。財務省はこの問題について「所管ではない(中小企業庁メーカーの問題だ)、適正に正しく還付されている。同様にインボイス方式はごく一部の見解として聞いている」としている。

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関連項目

  • 所得税
  • 法人税
  • 1円
  • 税金の一覧
  • 財務省
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