所得税 単語


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所得税とは、個人の所得に対する税金である。

概要

所得税は代表的な税の一つで、平成27年度における税収は16.4兆円。消費税が17.1兆円、法人税が10.9兆円であるため二番に大きい税収項となっている。

所得税は原則として個人に対する税金であるが、法人に対して所得税が課される場合もある。

課税対は所得である。所得の厳密な定義には諸説あるが、経済活動により得た利益と考えておけば良い。なお、法人の所得に対する税金法人税である。

所得税は直接税、つまり税金を負担する者と税金を納める者が一致する税金である。ただし、後で記述するように徴収という制度があり、この場合は納税義務者と税金負担者が異なる。税額に占める割合ではむしろ徴収による所得税(所得税)の方が多い。

また、所得税は累進課税制度を採用している。これは所得が多い者ほど税率が高くなるというもので、たとえば現在の税率では最高税率は45なのに対して最低税率は5である。かつては最高税率が75の時もあったが引き下げられた。

一方で金融所得税は定率課税の20であり、著しく優遇されている。
このため「一億円の」と呼ばれる金融所得の多い高所得者への優遇が発生している。
逆に103万円から所得税が発生することから、手取りが減ってしまうことを考慮して働き控えをして調整する「年収の」(社会保障費の130万も同様)が、人生設計や労働効率の面で問題となっている。
インフレデフレ最低賃金といったことも含め、これらを考慮して税制の改正も検討されている。

ちなみに、法人税では原則として同一税率である。

簡単な計算例

説明の都合上、厳密でない不正確な記述をしている場合があります。実際に申告を行う方は税務署が発行をしている手引き等を参照するか、専門に相談してください。

実際に簡単な例について税額を計算してみよう。

次のような場合に平成22年の所得税額を計算する。

年収600万円のサラリーマン(45歳)で妻(40歳)と子(12歳)を持つ。
妻と子は他に収入はない。
平成22年に支払った社会保険料の額は84万円。
他に所得税の計算にをあたえるような事柄はない。

1. まずは所得を計算する

所得税の課税対となる所得を計算する。所得税では所得を10種類に分類しており、サラリーマンの給料は「給与所得」に該当する。給与所得は次の計算式によりめられる。

給与所得の金額=給料の金額-給与所得控除の金額

給与所得控除はサラリーマンの必要経費相当額として給料の金額から引かれる金額であり、給料の金額が決まれば自動的に決まる。給料の金額が600万円の場合には給与所得控除は174万円である。(計算してめることもできるが、給与所得控除の表を使うと速い)

これらより給与所得の金額=600万円-174万円=426万円となる。

2. 次に課税所得を求める

所得を合計したものが合計所得金額である。今回は給与所得しかないので合計所得金額は給与所得の金額と同じ426万円である。税所はこの合計所得金額から所得控除を引いて計算される。つまり、

税所得金額=合計所得金額-所得控除の金額の合計

となる。(正確には課税所得金額は右辺の額の1,000円未満の端数を切り捨てた金額)

 

所得控除は様々な理由により所得から引くことができる金額で、14種類ある。今回は配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、基礎控除が対になる。

配偶者控除は配偶者(妻や夫のこと)がいて、その配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合に対になる。控除できる金額は通常38万円。

扶養控除は子やを養っていて、その子等の合計所得金額が38万円以下の場合が対になる。控除できる金額は年齢等にもよるが、今回は38万円。

社会保険料控除社会保険料を支払っていた場合に対となる。控除できる金額は支払った社会保険料の額で、今回は84万円。

基礎控除はすべての人が対になり、控除できる金額は38万円。

よって課税所得金額=426万円-(38万円+38万円+84万円+38万円)=228万円

3. 最後に税額を求める

税所得金額に対して一定の税率をかけて税所得金額に対応する税額める。具体的には次の表により計算する。

税所得金額 税所得金額に対応する税額
195万円以下 税所得金額×5
195万円330万円以下 税所得金額×10-97,500円
330万円695万円以下 税所得金額×20-427,500円
695万円900万円以下 税所得金額×23-636,000円
900万円1,800万円以下 税所得金額×33-1,536,000円
1,800万円4,000万円以下 税所得金額×40-2,796,000円
4,000万円 税所得金額×45-4,796,000円

税所得金額は228万円だから課税所得金額に対応する税額=228万円×10-97,500円130,500円になる。

最後に課税所得金額に対応する税額から税額控除を引いて100円未満の端数を切り捨てると最終的な所得税の金額(年税額)になるが、今回は税額控除はないので、所得税の金額はそのまま130,500円になる。

 

ね、簡単でしょう?

納付方法

給与所得者の場合、この金額を一度に納税するわけではない。徴収という制度があって、会社が給料を支払うときに一定の金額を所得税として引きして本人の代わりにに納付することになっている。

たとえば、上記サラリーマンについて給が50万円、毎社会保険料が7万円でボーナスがなしと仮定する。この時、毎所得税の金額は所得税額税額表で調べると12,230円であることがわかる。

この所得税の金額はおおまかなものであるので、12かの合計額は上で計算した年税額と一致しない。そのため、12月の給料が支払われる時には年末調整という制度により、会社が上記と同様な計算を行うことにより、年税額をめて精算を行う。具体的には1月から11月までに引きされた金額は12,230円×11=134,530円で、上でめた年税額より多いので差額の134,530円-12,230円を給料に加算してサラリーマンに返す。ただし、年末調整を行うのは、給与等の金額が2000万円以下の場合のみであり、それをえる場合は、年末調整自体を行わない。

給与所得者以外の者は自分で税額を計算して確定申告を行い、自分で税金を納める。給与所得者で給与所得以外の所得がある者や医療費を多く払った場合や、給与等の金額が多く年末調整が行われなかった場合等にも確定申告を行う。この場合には年税額から徴収により払った金額を引いた金額を納税する。年税額より徴収された金額の方が多いこともあり、その場合は税務署から税金が返ってくる。これを税金還付という。

制度の詳細

所得の種類と計算

所得税では、社会政策などの観点から所得税を課さない非課税所が存在する。なものは次のとおりである。なお、それぞれ非課税所得になるための一定の条件があるから注意。

非課税所得以外の所得については次の10種類に分類されている。

種類 具体例 所得の計算の概略
利子所得 預貯金の利子社債の利子 収入金額がそのまま所得になる
配当所得 が受ける配当 収入金額-元本購入のための借金の利子
不動産所得 土地や建物などの賃料 収入金額-必要経費
事業所得 事業活動による利益 収入金額-必要経費
給与所得 給料、賃金 収入金額-給与所得控除額(上記参照)
退職所得 退職金 (収入金額-退職所得控除額)×1/2
(退職所得控除額は勤務年数などで決まる)
所得 に生えた木の売却による利益 収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)
譲渡所得 土地や建物などの売却による利益 収入金額-取得費-譲渡費用-特別控除額(最高50万円)
一時所得 生命保険の一時金、競馬の払戻金 収入金額-収入を得るための費用-特別控除額(最高50万円)
雑所得 年金、他の所得に入らないもの 収入金額-必要経費
年金の場合は収入金額-年金等控除額(収入と年齢で決定)

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