禰衡(デイコウ、ネイコウ)とは、中国・後漢末期の人物(173年-199年)である。
字は正平。平原の人。
非常に恵まれた才能の持ち主で、どんな事でも難なくこなす。その為、とても傲慢不遜で、他人を馬鹿にし、鼻にかけたような振舞いをする為、多くの人に嫌われていた。数少ない友人である孔融が曹操に推挙した際は「世の中はこんなに広いのに、どうしてマトモな人間が居ないのだろう」と言って、曹操とその配下達を馬鹿にした。具体的には以下の通り。
武将たちは怒り心頭、傍から見ている孔融は汗だくだく。才ある者を愛す曹操であるが、流石にイラっと来て、禰衡にひと泡吹かせてやろうと画策。しかし天才・禰衡はひるまず、無理難題をあっさり解決していく。面倒くさくなった曹操は、禰衡を劉表の所へ送る。この辺は、「民衆に反動者として指示されている者を真面目に処刑するなんて出来ようか」という裏事情もあったりする。
送別会を開いた際、曹操配下の面々は「あいつが何をやっても、寝たふりをしてしシカトしよう」と示し合わせた。そこに現れた禰衡はワンワン泣き喚き「棺桶と死体が沢山あるよ! 気持ち悪いよ!」と皮肉った。
劉表の元では比較的下手に出たものの、その配下に対しては傲慢だった。劉表が禰衡に対して、孫策に送る手紙を見せた所、「この文章は孫策の部下が読むものですか? それとも張昭にでも見せるんですか?」と一笑に付したという。
その後、なんやかんやで劉表からも遠ざけられた禰衡は、次に黄射という男と仲良くなる。彼の仲介で、彼の父親・黄祖と出会い、高く評価された。しかし、そこでも禰衡は傲慢になって行き、最終的には
「あなたは神様だ! 供え物を貰うだけ貰って、供えてくれた人には、何の利益も与えていない!」
と、黄祖に毒を吐き捨て、ぶちキレた黄祖に切り捨てられる。禰衡の死を聞いた曹操は、ニヤニヤ笑っていたという。
以上の逸話は、演義で脚色された部分が多いが、禰衡自体は実在の人物。実際に曹操の前で素っ裸になったり、怒らせたりしている。黄祖に毒を吐いた後に処刑されたが、死ぬ直前まで、黄祖へ罵詈雑言を浴びせ続けた。後に黄祖は、彼を殺した事を悔いたという。
作中の禰衡は、親友の孔融と楊修を『マシな者』として一定の評価をしているが、この二人はどちらも問題を起こして曹操に処刑されている。
キワモノ的な存在として、コーエーが出版する『三国志本』では、度々プッシュされている。一方、曹操嫌いの甚だしい中国では、曹操を真正面から罵倒した人物として、かなり人気が高い。
禰衡は名作「鸚鵡賦」の作者としても知られる。黄射が開いた宴会でオウムが献上され、黄射に命じられた禰衡は、一字の修正もなく一気にこの賦を書き上げたという(「鸚鵡賦」は『文選』に収録され現在に伝わる)。
なおかつて江夏にあった中洲「鸚鵡洲」(明代に消失)は、禰衡が「鸚鵡賦」を書いた土地であるとも、黄祖に殺された土地であるとも言われる。鸚鵡洲は後世、李白をはじめ多くの詩人の漢詩に詠まれるようになった。
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最終更新:2025/12/06(土) 16:00
最終更新:2025/12/06(土) 15:00
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