私が料理をするのがそれほど意外か?とは、機動戦士Gundam GQuuuuuuXの登場人物 キシリア・ザビの台詞である。
キシリア・ザビはそもそも機動戦士ガンダムに登場する女性である。主人公 アムロ・レイと戦いを繰り広げるジオン公国を牛耳るザビ家の一角であり、ライバルキャラ シャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクンの上官であるとともに彼の復讐の対象でもあるという、作中におけるまごうことなき敵キャラクターであった。
作中ではシャアの正体を見抜いていながらも利用したり、決戦時には兄ギレン・ザビを殺害したり、THE ORIGINでは幼少期のキャスバルに容赦なく脅しをかけるなど、手段を選ばない人物として描かれていた。衣装も変なヘルメットを被り口元を紫のマスクで多い、さらに全身紫の服を纏うという、昭和アニメの悪の女幹部といった服装。性格も見た目も悪役のそれであり、冷徹や女傑という言葉の似合う女性であった。
サイド6のイズマコロニーで暮らす主人公 アマテ・ユズリハ(マチュ)と難民の少女 ニャアンはジオンの新型ガンダム GQuuuuuuXを駆り、赤いガンダムを操る謎の少年 シュウジ・イトウと一緒に違法賭け試合クランバトルに参加し、その賞金で地球に行くことを夢見ていた。しかし懸賞金が賭けられていた赤いガンダム(とシュウジ)の潜伏先がバレてしまい、マチュとニャアンはシュウジと赤いガンダムを連れて逃亡することを計画する。一方キシリアは会談のためイズマコロニーを訪れており、キシリア暗殺を目論む地球連邦軍のバスク・オムはイズマコロニーにサイコガンダムとハンブラビを送り込んだ。サイコガンダムによってイズマは大混乱に陥り、その最中謎の現象ゼクノヴァが発生しシュウジと赤いガンダムは消息不明になってしまい、混乱したニャアンはGQuuuuuuXを乗り捨てて逃亡した。そんなニャアンの前に、GQuuuuuuXの本来のパイロット エグザべ・オリベが現れる。彼はGQuuuuuuXのΩサイコミュを起動させたニャアンの資質─NT能力を高く評価し、上官であるキシリアにニャアンを紹介。ニャアンはキシリア派閥に身を寄せることになるのだった。
第8話は、Aパートで一年戦争終盤の話が展開され、Bパートから再び元の時系列に戻るという構成になっている。だが、Bパートが始まるや否や
私が料理をするのがそれほど意外か?
とキシリアが問いかけながらニャアンに美味しそうなアップルパイを振る舞うという衝撃的なシーンが繰り広げられ、視聴者の度肝を抜いた。
困惑するニャアンに労いの言葉をかけながら、キシリアはニャアンの事情を聞いたり、ニャアンを迎え入れた目的を話すなど会話を始めるのだった。
ギャグ作品など一部の媒体を除いて、キシリアは上述の通り冷徹、女傑、油断のならない相手...そういったイメージのキャラクターであった。だが機動戦士Gundam GQuuuuuuXはシャアが白いガンダムを強奪するという出来事を皮切りに、キシリアたちジオン公国側のキャラクターに焦点が当たることのが多い作品となっている。例えばキシリアの場合、シャアの正体を知りながらも彼にジオンの命運を託したり、いつもの変な衣装ではなくビシッとスーツを着て会談に出席したり、コロニー内をMSで飛び回る軍警を見て呆れるなど、これまでのイメージとは違った一面が描写されている。それでもなお、手作りアップルパイを振る舞い、難民の少女と穏やかな雰囲気で会話するキシリアというシチュエーションは衝撃的だったのだ。国のトップを担う存在が実は料理が得意という意外な一面、ある種のギャップ萌えのようなインパクトがあった。
もっとも、ニャアンを懐柔するために警戒心を解こうという目論んでいたのかもしれないし、手料理するのもスパイに毒を仕込まれることを恐れているからではないかといった考察もある。
ニャアンはGQuuuuuuX 2号機 GFredの3人目のパイロット候補に抜擢される。前任の2人はパイロット候補に任命された直後に心臓発作で亡くなってしまったという。だがそれはエグザべの同期ミゲルがパイロット候補に毒入りケーキを振る舞っていたためであり、事前にキシリアからアップルパイでもてなされていたニャアンは、同様にケーキをご馳走してくれたミゲルの言動に違和感を抱き、危機を回避することができたのだった。
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最終更新:2025/12/06(土) 22:00
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