緊急地震速報とは、大きな地震が予測される時に、強い揺れの到達に可能な限り先んじて気象庁から伝えられる地震動予報・警報である。
英語では「Earthquake Early Warning」。EEWと省略されることもある。
感知した揺れを元に発せられる速報で、地震予報・地震予知といったものとは無関係である。
原理については、下記の「原理」の項目参照。
緊急地震速報は一般向け(警報)・高度利用者向け(予報)の2種類が発表される。
緊急地震速報を見聞きした場合の正しい対処法については、「気象庁:緊急地震速報を見聞きしたときは」 を参照しパニックに陥らぬよう、各自であらかじめ心構えをしておくことが望ましい。
新幹線に関しては緊急地震速報とは別の独自システムを採用している。詳細 → 「ユレダス」 早期地震警報システム (Wikipedia 地震警報システム)
一般に目に(耳に)するのは「一般向け(警報)」と呼ばれるものであり、最大震度が5弱以上と予測された場合に、予測震度4以上の地域が発表され、テレビのテロップやラジオの速報音声、携帯電話などで伝えられる。
放送局や通知の設定などにより、伝えられる条件が異なる場合もある。
最大震度が3以上、もしくはマグニチュード3.5以上と予測された場合に発表され、第一報、第二報といったように新しい揺れの情報を追加し、随時情報をより正確なものにしていく。
基本的に一般向けより多少早く、しかし誤差が多い。
落雷・工事の振動を感知してしまったときなど、誤りの場合はキャンセル報が発せられる場合もある。
この情報を元に、走行中の列車やエレベーターを停止させるといったシステムも徐々に整備されている。こういった利用には高度利用者向けの情報が使用されることが多いようだ。
あなたは、夜寝ていると突然目が覚めてその数秒後に地震が来た経験はないだろうか。地震の来る前に目が覚めたことから、『俺って地震の予知能力でもあるんじゃね?』と思ったことがある人もいるだろう。
残念ながらそれは間違いである。地震の揺れには、速く伝わる弱いP波、伝わるのが遅く強いS波という2種類がある。あなたは、早くて弱い揺れP波を感じたので目が覚めたのだ。
緊急地震速報はこれと同じ原理で、日本各地無数に設置された地震系で検知したP波の情報から、震源の位置、後に来るS波がどれだけの規模かを瞬時に把握、S波が到達する前の各地域に通知する仕組みである。
原理上P波とS波がほぼ同時に到達するタイプの地震、例えば震源が近い場合、都市直下型地震では間に合わず、ある程度離れた地域の揺れを警告するのがシステム上の限界である。
こういった仕組みのため、揺れ始めてから通知され、役立たず呼ばわりされることもある。
地震予想ではないので原理上やむを得ないケースもあるが、精度と速報性の向上が課題である。
ウェザーニューズ社の番組SOLiVE24における、「高度利用者向け」の情報受信の様子を保存した動画がYoutubeに公式にアップロードされている。
SOLiVE24 2011-03-11 13:49:09〜 東北地方太平洋沖地震発生時
高度利用者向けは速度を重視するため、震源地不明・最大震度不明といった情報が届いたり、第一報以降の更新で規模や震源、震度が更新されることがよくある。また最終的なデータも実際の数値とは異なることがあり、速報性を極めて優先させていることがうかがえる。
東北地方太平洋沖地震の被害により、観測所が破損、あるいは津波で機能しなくなる、データを送る通信網が寸断される、などの問題が発生した。
このため2011年3月11日以降、残った観測所を頼りに緊急地震速報を出すことになり、誤差がかなり大きくなっている。
他にも地震が頻発したために複数の別の地震を1つの地震として計算してしまうといった問題により誤差が拡大した。
5か月後の8月11日にソフトウェアの更新が行われ、問題は概ね解決した。
しかし身を守る事は安全につながるため、緊急地震速報が出たときは注意すべきである、とされている。
NHK緊急地震速報 チャイム音
テレビ放送では緊急地震速報をテロップや音として通知している。
NHK緊急地震速報 チャイム音:要Windows Media Player
デジタル放送における緊急地震速報のうち、映像信号および音声信号によって伝送されるものは送出局と中継局の処理(MPEG2エンコードなど)およびテレビの内部処理(MPEG2デコードなど)の関係で現在も一部の地域で行われているアナログ放送より遅れることが確認されている。このため、2010年8月23日以降の地上デジタル放送は一部の地域および局において遅延がほとんどない字幕放送信号による伝送を併用している。
衛星放送(BSなど)ではアナログ時代から、人工衛星を経由するため遅延が大きかったがデジタル化でさらに遅延が大きくなっている。
この信号を受信すると、対応機器では
![]()
放送に先んじてこのような表示が出る。
NHKでは、発生地域にかかわらずすべての速報を放送している。これは、気象業務法第15条によって
気象庁は、第十三条第一項、第十四条第一項又は前条第一項から第三項までの規定により、気象、地象、津波、高潮、波浪及び洪水の警報をしたときは、政令の定めるところにより、直ちにその警報事項を警察庁、国土交通省、海上保安庁、都道府県、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社又は日本放送協会の機関に通知しなければならない。地震動の警報以外の警報をした場合において、警戒の必要がなくなつたときも同様とする。
2-5 略
6 第一項の通知を受けた日本放送協会の機関は、直ちにその通知された事項の放送をしなければならない。
と規定されているからである。
チャイムはNHKの依頼によって東京大学先端科学技術研究センターの伊福部達教授(作曲家・伊福部昭の甥でポアロの伊福部崇のおじでもある)が作曲したもの。そのネタ元は伊福部昭作曲の「ゴジラ」からとも「シンフォニア・タプカーラ 第3楽章」ともいわれている。また、チャイムのあとに入る「緊急地震速報です。強い揺れに警戒して下さい」の自動音声は末田正雄アナウンサーが担当している。
民放の放送エリアは原則として都道府県ごと(県域放送)であるため、放送エリア内で発生した速報、かつエリア内で震度5が発生すると予測された場合について放送をするという姿勢を取っている放送局が多い。
当初は各社それぞれのチャイム音(ニュース速報と同じ場合が多い)を利用していたが、近年は気象庁が統一を強く推奨していることもあってNHK作成のチャイムがほとんどである。
AM/FMラジオ局でも対応が進んでおり、緊急地震速報を放送している局がある。
アナログで放送されているAM/FMなどのラジオでは技術的な遅延はほぼ無い。
NHKはテレビと同じ基準で放送する。全国放送であるため、関係のない地域の速報も流れる。
民放は「局がある」と記述した通り、ラジオ局により対応が異なる。
例えば在京・中京・関西・福岡圏の民放ラジオでは、気象庁が発表する予測最大震度5弱ではなく、震度5強以上の揺れが予測された場合のみ放送する(これらの地域では震度5弱では人的・建物被害はほとんどなく、却ってドライバーなどがパニックに陥るなどの危険が見込まれるため)。一方、北海道・東北・新潟の民放ラジオでは(対応している場合は)福島を除いて気象庁の基準である震度5弱が採用されている。(福島は震度5強以上)
特にFMは対応・非対応が局により異なるので緊急地震速報の対応状態を確認しておく必要があるだろう。参考ページ
遅延の無さや受信の容易さなどから、ラジオの緊急地震速報を感知しその内容を大音量で流し警告する機器が開発され、他の速報システムと比べると比較的低価格で販売されている。これらを利用すれば、常にラジオを付けっぱなしにしなくとも、緊急地震速報をラジオから知ることができる。
ラジオを使用するメリットとして、ラジオが受信できる場所ならどこにでも設置できること、地震で停電しても電池で動作を続けられること、電池がテレビやパソコンと比較し長持ちすることなどが挙げられる。
例: アイリスオーヤマ緊急地震速報機 または市場参照
携帯電話を利用した緊急地震速報の通知サービスが一部で提供されている。
これは既存の通信網、あるいはそれを拡張した物を利用し、緊急の情報を伝えるものである。
メリットとしては、一般的に皆が常に持ち歩く可能性が高い端末で、警告を聞き逃しにくいこと、電池で単独動作するため停電しても受信が可能であり、通知システムの一部である基地局も停電後数時間はバッテリーで動作できるため、完全では無いにしろ有力な受信手段になっている。
docomo、au、ソフトバンク※の対応端末で提供されている。対応端末でも、デフォルトが「通知しない」となっている場合もある。受信しないよ!という人は一度設定を確認してみよう。
基本的な仕組みは、気象庁発表の揺れると予想されたエリアにある基地局から、その電波を受信している端末へ一斉に情報を送信し、即座に受信・警告する。通信網混雑時の遅延など、通常のパケット通信の制限は受けない仕組みになっている。
ただし、通話中や通信中、受信状態の悪いときなど緊急地震速報の情報を受信できないときは、通知されないケースもある。
NTT docomoの対応端末は、エリアメールとして受信し、強制的に本文がディスプレイに表示される。iモードメールの受信トレイでも受信した内容を確認することが出来る。auの対応端末は、Cメールとして受信する。
スマートフォンは非対応の機種が多かったが、2011年ごろからauのIS03をはじめとして対応端末が発売されている。
非対応の端末でも、通常の通信網を使って緊急地震速報を通知するソフトウェアが開発されている。一例: ゆれくるコール・なまず速報β 通信網の混雑時には通知されない可能性がある。
※docomoは2007年11月、auは2008年1月の発売された端末すべてに緊急地震速報通知機能が搭載されている。ソフトバンクでは2010年8月に発売の1機種のみ対応(それも一部地域のみの対応)。
通信規格 3GPP の CBS (エリアメールを使用) で情報を受信する。より高速な ETWS を今後採用予定。
スマートフォンも対応端末がある。
古い物を除き、販売中の携帯電話ほとんど全てが対応している。
通信規格 3GPP2 の ブロードキャストSMS(Cメールを使用) で情報を受信する。
W61x シリーズ以降のほぼ全ての機種が対応している。
スマートフォンも対応端末がある。
通信規格 3GPP の CBS で情報を受信する。
2011年4月現在、対応端末は 831N 1機種のみである。
2011年度上期発売のほとんどの機種、2011年度下期以降発売の全ての機種を緊急地震速報対応とすると発表している。
パソコンとインターネット回線を利用し緊急地震速報を受信することができるシステムやソフトウェアがある。ここでは比較的容易に利用できるソフトウェアを紹介する。
パソコンを使うメリットとして、新しいハードウェアの購入無く高度利用者向けの情報が利用できる気軽さがある。(※全てのソフトが高度利用者向けの情報を受信できるとは限らない)
しかしデメリットとして、停電すると受信できないケースがある事、これはノートパソコンなどでパソコンの動作が維持できても、モデムやルーター、ネット回線の物理的な切断などが考えられるためで、他にもインターネットやサーバーの混雑による受信困難・遅延も考えられる。
画面の電源が切れている、スピーカーの電源が切れている、ミュートしている、といった状態では受信できなかったり通知できないケースがある。
Twitterのeew_jpに投稿される緊急地震速報を画面にポップアップするフリーソフト。Twitterの利用が必要。
住んでいる場所などの指定はできないため、日本中の情報が表示される。
緊急地震速報を扱う機器などを販売する同社が一般向けに SignalNowExpress という無料ソフトウェアを提供。ダウンロードにメールアドレスの登録が必要。
緊急地震速報の高度利用者向けの情報を提供する。
指定した条件に一致する地震が発生すると、音と画面で知らせる。画面では予想最大震度や現在のS波の推定位置がリアルタイムに示される。
無料のためか一部機能(現在地点を経度で指定する機能など)が使用できない。
サービス開始時は東北地方太平洋沖地震の影響で利用者が急増しサーバーが一時利用できなくなるといった事態があったが、現在は安定して運用されている模様。
アイコンの絵柄から「カエル」と呼ばれる事がある。
同社の有料気象情報サービス(315円/月)への加入、または315円/月の支払いで利用できる緊急地震速報の高度利用者向け情報提供サービスである。
指定した条件に一致する地震が発生すると、音と画面で通知する。
画面では予想最大震度や現在のS波の推定位置がリアルタイムに示される。
新幹線には独自システムがあるため利用されていないが(詳細:ユレダス)、鉄道各社では、緊急地震速報を利用し列車を安全に停止させるシステムを随時導入している。
導入していない鉄道会社もあるようだが、対応・非対応の情報ははっきり公開されていない。
他、随時追加
大型ショッピングモールなどの施設が独自に緊急地震速報を館内アナウンスするシステムを導入するといったケースがあり、その他にも多数の手段で、迅速に通知するシステムが広がっている。
音が怖くてトラウマになる人も多い。(携帯用の地震速報メールも)
| 説明 | 音 | 画像・文章 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 緊急地震速報 (テレビ・ラジオなど) (声はNHKで使われているもの) |
![]() |
この様式はNHKで使われているものであり、民放局では表示が異なることがあります。 | |
| 緊急地震速報 (地デジ字幕放送) | この様式はNHKで使われているものであり、民放局では表示が異なることがあります。また、BS、ワンセグ、簡易チューナ及び一部のレコーダーでは表示されません。 | ||
| 緊急地震速報 (携帯電話) |
緊急地震速報 |
対応機種については、携帯電話各社のHPを参照してください。 ドコモ , au , ソフトバンク |
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/08(月) 15:00
最終更新:2025/12/08(月) 15:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。