腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁とは、腹圧をかけるとおこる尿失禁である。

概要

　尿失禁は真性尿失禁と仮性尿失禁の2つに大分される。
　真性尿失禁は尿路異常による尿失禁で尿道外尿失禁とも言う。
　仮性尿失禁は尿路事態に異常はないが、尿路の周辺臓器の異常による尿失禁である。
　仮性尿失禁には、腹圧性尿失禁、溢流性尿失禁、切迫性尿失禁、反射性尿失禁、機能性尿失禁がある。

• 腹圧性尿失禁の原因

　尿道の外傷、神経の損傷などで膀胱や尿道のしまりが悪くなり、尿道を閉じる尿道括約筋などがうまくはたらかないことや、前立腺や子宮などの骨盤内手術、妊娠や出産、子宮脱、膀胱脱、加齢などで膀胱を支える骨盤底筋が弱くなっていることが原因。

• 腹圧性尿失禁の症状

　日常の排尿は自分の意志で出来るが、くしゃみ、大笑い、重いものを持ち上げるときなど、通常より力がかかったとき（腹圧がかかった時）に尿が漏れる。

• 腹圧性尿失禁の統計

35歳以上の女性に多くみられるが、10代や20代の若い女性でも珍しくない。

• 腹圧性尿失禁の治療

　軽症から中等症の腹圧性尿失禁では保存的治療を行う。
　ケーゲル体操という弱くなった骨盤底筋を強化し尿道を閉じる機構を強化する骨盤底筋訓練が腹圧性尿失禁に効果があるとされている。骨盤底筋強化のため電気刺激によって必要な筋肉を収縮させる電気刺激療法もある。また、腟内コーンという器具を腟内に１５分程度、１日２回ほど保持し、それを徐々に重たいものに変えていくことで骨盤底筋を強化する方法もある。いずれも腹圧性尿失禁を軽減するのに有効。
　薬物による治療としては、尿道括約筋を緊張させる作用のある交感神経刺激薬や、閉経後の女性に対しては女性ホルモン薬などがある。
　重症の場合や希望の強い場合などには、手術による治療が行われる。尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていないが、人工括約筋埋め込み術などがある。
　また、膀胱や尿道の機能を改善させるための治療として、前腟壁整形術、経腟的膀胱頸部挙上術、恥骨後式膀胱頸部挙上術などがある。

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