花代さんは嘘つきだとは、TVアニメ「selector infected WIXOSS」のキャラクター、紅林遊月(cv佐倉綾音)の言葉である。
転じて、夢限少女システムの救いの無さに衝撃を受けた視聴者の罵倒絶望である。
以下、ネタバレ注意
カードゲーム「WIXOSS」が巷で流行している世界。双子の弟・紅林香月の影響で始めたWIXOSSのルリグ・花代から、無茶な願いや夢を可能にする自分になれる「夢限少女」の存在を聞かされた紅林遊月は、幼い頃から押さえ込んできた弟・香月への思いを叶えるため、夢限少女を目指してセレクターとして戦うことを決意する。
対戦相手のセレクターを探す過程で友人となった小湊るう子、植村一衣とともに夢限少女になることを目指して共に行動するが、一衣が3回負けたことで夢限少女システムの負の側面を知ってしまう。
それは、3回負けてセレクターとしての資格を失うと、願いや夢が叶うどころかマイナスの状態になる、という過酷なものであった。(実際、一衣は「友達が欲しい」と願ってセレクターになったが、3敗した結果これまでの友人の記憶をなくし、友人としての因子を持つ人物から触れられるだけで激痛が走るというハイパーボッチと化し引きこもってしまった。)
このことを知った遊月は、なぜ先に教えなかったのかと花代を責めるものの、香月への思いを断ち切ることもできない。この葛藤から、「花代さんは嘘つきだ。でも香月を誰かに盗られるくらいなら・・・」と再びセレクターとして夢限少女となることを目指し、対戦相手を探して街を彷徨うのであった。
すべては、決して結ばれることのできない、自分と弟との幸せな未来を夢見て。
そしていよいよ3回目の勝利を手にした遊月と花代。夢限少女として生まれ変わった遊月は・・・遊月の体に花代が入れ替わり、遊月は新たなルリグとなって店で売られることになった。そのカードは前述の事情で引きこもっていた一衣へ、WIXOSSをしていた頃のように戻ってもらいたいと考えた母親からプレゼントされることになる。
花代が夢限少女についてどのように説明したのか、次のとおり
花代「ただこれだけは忘れちゃいけない。バトルに3回負ければ。セレクターとしての資格を失うんだ。3回負けた時点で私らは消える。あんたらの願いは叶えられることなく、夢限る少女の座を賭けたWIXOSSの世界は閉じる」
負けた際のペナルティーについて圧倒的に情報量が不足しているが、嘘はついていない。(8話でルリグを再び入手できれば夢限少女に再挑戦することが判明したが、セレクターになれる確率がそれほど高くないことを考えれば、一衣のケースは初の事例か、ルリグの世界でも知られていないことなのかもしれない。花代が知らなかったのであれば、この件について嘘をついたとは言えない。)
遊月「バトルに勝てば、セレクターは理想の自分になれる。その姿こそが夢幻少女」
花代「厳密に言やぁちょいと違うね。無茶な願いや夢を可能にする自分になれるってことさ」
「自分」の解釈次第ではあるが、「肉体」と解釈すれば嘘はついていない。自分とは、精神を指すのか肉体を指すのか議論が分かれるところだが、議論が分かれる時点で統一した解釈は無いことになる。ここで遊月と花代の間で認識が異なっていたとしても、確認をしていないのであれば嘘をついたとまでは言えない。
しかしながら、5話で3回負けた際のペナルティーが明らかになると、ペナルティーを事前に説明しておかなかったルリグたちを非難する声が数多く上がった。(この際に最も非難されたのは、所有者である一衣が2敗していたにも関わらず事前に説明しなかったため、避けられたバトルをみすみす開始させ、しかも負け直前で打ち明けた緑子であった。)
また、8話で勝ち抜けたにもかかわらず、自ら望んだであろう形とまったく異なる形で願いを叶えた遊月が描かれると、ルリグたちは基より夢限少女システム自体に多くの非難が寄せられることになる。
「QBの方マシなレベル」「girl→Lrig→girl→Lrig→girl→Lrig→(ry)これが無限少女」「勝っても負けても罰ゲーム」
花代は自らのため遊月に十分な情報を与えず、夢限少女を誤解させたまま肉体を乗っ取ったとも言える。だが、こうした理不尽なルールでルリグになった人間の少女が、再び自らの肉体を得ようとすることを責められるだろうか?現時点では、ルリグが肉体を得るための手段は、セレクターを夢限少女にすることしか示されていない。
また、明確に描写されていないものの、ルリグの間では夢限少女システムの詳細をセレクターに話すことはタブーとされている模様。そうした中で、「カードの廃棄」や「バトルの封印」をセレクターに促したピルルクや緑子の行為は、自らの身を犠牲にしてセレクターを救うためのものであったと解釈できる。
同様に花代も遊月に破棄を促したり、最後に再度、夢限少女になりたいのか問い直したりしている点から、花代自身にも深い葛藤があったことが容易に推察される。
なお、夢限少女システムにおける構造の複雑さ、つまり加害者と被害者の螺旋構造(被害者が自発的に加害者となる構造)が見て取れるが、これは現実におけるネズミ講などの詐欺技法でよく見られる構造であり、関連者のほとんどが被害者である為、ほほすべての事例で抜本的、かつ現実的な救済が非常に困難になってしまう。
以上のことから「花代さんは嘘つきだ」という遊月の言葉に対して、花代さんは目に付く嘘は今のところ発言していないようだが、自身の置かれたルリグという立場から本当のことを洗いざらい話してもいないと結論付けることができる。
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最終更新:2025/12/08(月) 17:00
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