装輪装甲車(改) 単語


ニコニコ動画で装輪装甲車(改)の動画を見に行く

ソウリンソウコウシャカイ

2.3千文字の記事
これはリビジョン 2986811 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

装輪装甲車(改)とは防衛省、防衛装備庁の発注に伴い小松製作所が主体となり開発されていた8輪大型装甲車である。

概要

96式装輪装甲車の後継として2014年度から開発を開始し、2017年に試作車が防衛装備庁に納入されていた。その後、2017年12月に防衛装備庁は防弾板などに不具合があるとして開発完了時期を2018年度末から2021年度以降に延期すると発表。2018年7月には開発そのものを中止すると発表した。[1]

※2019年に改めて後継車輌の選定が開始され、三菱重工業の機動装甲車(MAV:Mitsubishi Armored Vehicle)、フィンランド・パトリア社のAMV(Armored Modular Vehicle)、カナダ・GDLS社のLAV6.0(Light Armored Vehicle)が候補に選ばれている。[2]

車両

主に96式装輪装甲車の後継として国外派遣任務、島嶼防衛任務などを主眼として開発されていた。当初より人員輸送のみならず指揮通信支援、施設科支援用モジュールを車体後部区画ごと換装可能など、ファミリー化を前提としている。

陸上自衛隊の装甲車としては異例なほど車高が大きく、足回りなどからやはり小松製作所が開発。製造しているNBC偵察車の構造とモジュールを流用している可能性もある。車体下部は対地雷構造となっており、ワイヤーカッターなども装備されている様子が伺える。

エンジンはAPCとしては73式以来の車体中央配置で、このことも車高のみならず全長の大きさにも影響している。外見上からすると10式戦車はおろかM1戦車よりも背が高く、全長も僅かながら凌駕している(全高2.9m、全長8m)。内部容積は広く取れるが被発見性については疑問が残る設計である。

乗車人員は車長、操縦手の他に最大11名とされている。固有武装はないが銃架は据えられており、また防衛技研が開発に成功。あさひ型護衛艦にも搭載する12.7ミリ重機関銃や40ミリ自動てき弾銃まで対応するRWSの搭載も可能とされている。

開発・試作は平成26年より開始されている。機動性に関しては動画を見る限り、路上移動に関してはかなり迅速かつ静粛性に優れる。防護能力については不明だが12.7ミリ徹甲弾及び25ミリ装弾筒付徹甲弾が耐久試験で用いられた模様で、最低で全周重機関銃弾対応と推察される。

また政策評価ファイルなどによるとストライカー装甲車同様、ケージ装甲(スラットアーマー)や車体前面・側面・背面を覆う付加装甲。地雷防護のためのV字型底面付加装甲も準備されている模様である。

何故これほど大型化したのか

陸自の国産装甲人員輸送車(APC)は装軌、装輪を問わず極力車高を低減。被発見リスクと被弾面積の抑制に努めてきた。その中において装輪装甲車(改)の全高2.9m、全長8.4mというサイズは異例といえる。匹敵する装甲車は本車のベースと推察されるNBC偵察車程度である(自走砲などは除く)。

確かに計画段階から全幅2.75-3.0m(可能な限り2.75m以下)、全高3.8m未満、全長11m未満と非常に大きな数字が取られていたが、実際に完成した試作車は計画段階の図面と相当に異なるものとなった。情報が限られた状況での推察は危険であるが、外見や仕様から見て取れる大型化の要因を下に述べてゆきたい。

一つは道交法における特殊車両としての審査回避である。本車は上述の計画案と異なり96式装輪装甲車と同じく約2.5mの車幅に収められた。このことは確かに平時の道路移動には役に立つが車幅を制限した分は当然、車高や全長に響いてくる。96式も実は74式戦車と全長が大差なかったりする。

二つ目はエンジンの中央配置である。計画図面ではエンジングリルが正面に存在していたが、完成した試作車はエンジン排気口などから中央配置と思われる。このエンジン配置は車内容積を相当必要としそれがやはり大型化に繋がったと思われる。なお同様の配置を採用した87式偵察警戒車は終始振動問題に悩まされたとか…

確かに安価な装輪装甲車をファミリー化して大量配備を行うという発想は妥当なもので、既存技術を用い開発リスクを抑制するのも間違ってはいない。しかし車体のトップヘビーや極端な大型化、過去に振動問題を引き起こした駆動系配置という別のリスクの可能性が生じてしまった。

無論現在最新の技術、機動戦闘車で採用されたフルアクティブサスペンションなどを採用。これらの欠点を軽減ないし解消することは不可能ではない。しかしそれではコスト高騰により安価な装甲車の部隊大量配備というメリットが半ば打ち消され、いっそ機動戦闘車を原型とした方が整備・製造共通化でマシということになりかねない。

未だに試作1号車が完成したばかりゆえに上に記したものは多分に憶測を含む。また車体後部モジュール換装による用途変更以外にも多数の装備モジュールが準備されるなど、一方で汎用性の高さという長所も確かに存在している。今後の動向に関して注意深く見守っていくべき自衛隊装備の一つであろう。

関連動画

関連イラスト

パトカーは言うに及ばず代替対象の96式装輪装甲車や82式指揮通信車と比較してもでかい、ひたすらでかい。

関連コミュニティ

ニコニコミュニティは2024年8月に終了しました。

外部リンク

関連項目

  • 自衛隊/陸上自衛隊
  • 96式装輪装甲車/APC/軍用車両の一覧
  • 小松製作所/防衛装備庁
  • そんな装備で大丈夫か

脚注

  1. *陸自の装輪装甲車(改)はなぜ開発中止に至ったのか 考えうる理由と代案実現への課題 2018.8.23
  2. *「次期装輪装甲車」の選定作業が進行中、パトリア社「AMV」と三菱「MAV」が最終候補か? 2021.12.28

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/15(月) 12:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/15(月) 12:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP