長宗我部盛親とは (チョウソカベモリチカとは) [単語記事]

「長宗我部盛親」（ちょうそかべ・もりちか 1575 ～ 1615）とは、戦国時代の四国の雄・長宗我部元親の四男に生まれ、兄の死により家督を継ぐと、関ヶ原の戦いで西軍についてしまって改易されたが、京都で寺子屋を開いて再起の時を待ち、大坂の陣で長宗我部家を再興しようと努力するも敗れて、斬首される直前までもがいてでも生きようとした執念に定評のある戦国のサバイバリスト。

嫁は実兄・長宗我部信親の娘（後継者になる為に娶った）

概要

長宗我部元親の四男に生まれ、兄・長宗我部信親が島津軍との戸次川の戦いで仙石秀久の駄目っぷりのせいで大混乱の中の激戦において戦死した後、兄の香川親和や津野親忠を差し置いて当主の座についた。

※この時、慣例を無視した末子の家督相続は、長宗我部元親が溺愛していた長男・長宗我部信親の娘を娶るかたちで長宗我部信親の血を残そうとした為に、年齢的に不釣合いで他家に養子に入っていた兄二人では適当ではないと判断したとの説があり、長宗我部元親の弟である吉良親貞の息子・吉良親実らが反発して、長宗我部元親の説得を心みるもことごとくが処断された。

六尺（約180cm）の長身の偉丈夫となり、豊臣秀吉の家臣・増田長盛を烏帽子親として「盛」の字を拝領して長宗我部盛親として元服を果たすと、父・長宗我部元親と共に小田原の役や朝鮮の役に参加して戦功を上げ、父・長宗我部元親と共に制定した「長宗我部元親百箇条」を発布し、父・長宗我部元親の死後、正式に家督を継いだ。

しかしすでに崩壊へと向かっていた長宗我部家の歯車は止まることはなかった・・・

長宗我部家改易

関ヶ原の戦いが勃発すると、当初は東軍に参加する予定で進軍していた長宗我部盛親だったが、長束正家に進軍を阻まれた事から西軍に転じ、西軍主力の一角として東軍側の城を落としながら進撃していたものの、関ヶ原では、毛利家の吉川広家に邪魔されて戦闘に加わる事なく敗戦を迎えた。

土佐に戻った長宗我部盛親は、徳川家の重臣で関ヶ原の戦いの際に、島津の退き口と呼ばれた前進撤退中の島津義弘に立ちふさがって重傷を負わされた井伊直政を頼りに、徳川家康に謝罪を申し入れたものの、久武親直が兄・津野親忠が懇意にしている東軍の将・藤堂高虎と共謀して企んでいると讒言した事から兄を討った。

しかし徳川家康がピリピリしていた頃に、東軍側とパイプのある実の兄をよく調べもせずに殺した事から疑われた結果、領土没収＆改易と言うコンボによって長宗我部家は滅亡する事となった。

土佐大名の座から転げ落ちた長宗我部盛親は、京都に送られて寺子屋の教師をしながら十年程の謹慎生活を送る事になり、戸次川の戦いでの軍功が認められて藤堂高虎に召抱えられた桑名吉成の支援を受けて、長宗我部家復興の機会を待った。

大坂城入城

一国の大名家の当主から寺子屋の先生に身を落とす屈辱に10年程耐えた頃に、寺の鐘の文字を発端にした徳川方と豊臣方の戦いの際に、長宗我部盛親はこの機会を待っていたとばかりに旧臣の一領具足達千人と共に豊臣方の大坂城に入城し、手持ちの軍勢の多さから、毛利勝永・真田信繁と共に大坂方の三人衆の位置に置かれる事となった。

野戦で対抗せざるをなくなった大坂夏の陣においては、二万余の兵を率いて藤堂高虎と所謂「八尾の戦い」に突入し、藤堂隊を散々に打ち破るも井伊直孝の突入にあって木村重成が討ち取られると、他の味方部隊も壊滅し、長宗我部盛親も撤退した。

※この時、藤堂高虎の軍には、10数年に及ぶ京都での生活を支援し続けた旧臣の桑名吉成がいた。長宗我部盛親の手の者達は、自分達と違って早々に藤堂家への仕官が決まった桑名吉成を憎み、彼が裏で長宗我部盛親を支援していた事など露ほども知らずに討ち取ったとも、長宗我部盛親と戦う事を偲びなく思った桑名吉成が乱戦の中に突入して自決するかの如く戦死したとも言われている。

後に

「徳川方第一の戦功は八尾で大坂方を破った井伊直孝、大坂方敗戦の因は八尾で敗れた長宗我部盛親」

と話す等、八尾で勝てなかった事からすでに大坂方の敗北を予見した長宗我部盛親は、長宗我部家復興の為にまたもや屈辱に耐えて生き残る事を選択して逃亡した。

長宗我部鞍

大坂の陣での敗北により、落ち延びた長宗我部盛親だったが、空腹に耐え切れず家臣の中内某に食料の調達を命じた。

しかしこの時中内某は、敵方であった蜂須賀家領内にて食料の代金に金の小判を使用する愚作をおかしてしまい、大坂方の有名人が落ち延びていると村人に感づかれてしまう。

村人の連絡により、蜂須賀至鎮の家臣によって中内某が捕らえられると、自分が帰らないとニート同然に生活力の無い長宗我部盛親一人では乞食に身を落とす程の屈辱を味あわせる事になるのが忍びないとの理由で、長宗我部盛親の潜伏先が発覚して捕らえられた。

この際、中内某は奇跡的に助命されて、長宗我部盛親から託された馬の鞍を携えて土佐で帰農したが、その子孫が蜂須賀家に取り立てられた際に、家宝の長宗我部盛親の馬の鞍に乗せてほしいと懇願する者を断りきれずに鞍をつけた馬を用意すると、蜂須賀家の者は誰一人乗る事が出来ずに落馬し、長宗我部盛親の旧臣に繋がる者は乗りこなせたとこから、鞍に「長宗我部鞍」と名づけて長宗我部盛親の旧臣達は敬い、偲んだといわれている。

サバイバル人生の終焉

蜂須賀至鎮の手の者に捕えられた長宗我部盛親は、取調べの際に大将の身でありながら敗戦時に自害しなかった理由を聞かれて、

私はあなたの言うとおり大将だ。葉武者なら斬り死にするか自害もしただろう。
私が捕らえられてもおめおめと生きているのは、いつか脱走して再び軍を挙げ、徳川殿と一戦交えたいからだこれが大将の心得だ。

と、洞窟に隠れた源頼朝を思わせる返答をした。

生き残って再起することに執着した長宗我部盛親は、出家を理由に助命を請うも、本心はすでに徳川家康に見抜かれており、斬首に決定した。

その後、二条城の門前に晒された際に粗末な飯をあてがわれると、

戦に負けて捕らわれることは恥としないが、かくも卑陋な物を食わせるとは無礼な奴。早く首を刎ねよ

と怒りだし、井伊直孝が大名料理を振る舞ったと言う。

斬首の際は、

死に及んで、いささかも怯じたる気配なし

と、最後まで大名としての矜持を捨てなかった事が記録されている。

その後、子の長宗我部盛胤・長宗我部盛恒・長宗我部盛高・長宗我部盛信・長宗我部盛定らも処刑された。

※長宗我部氏の通字は「兼」または「親」である事から、これらは後世の創作とも考えられている。

優しき大男

斬首にあたり、京の町を引き回される事になった長宗我部盛親を見物しようと人々が集まる中、近江浪人の米原某の娘は、長宗我部盛親の顔を見て驚いた。

長宗我部盛親こそは親しくしていた寺子屋の大男の先生であった為、泣きながら家に帰った。

その後、土佐・山内家に召抱えらえた米原某に従って娘も土佐に渡り、長宗我部盛親の事を優しい大男の先生として語っていたといわれている。

※その他「長宗我部盛親」の詳細についてはWikipediaの該当記事参照の事。

補足

「信長の野望」（PC）シリーズにおける長宗我部盛親の能力一覧。

	軍事能力						内政能力
戦国群雄伝(S1)	戦闘			81			政治	79	魅力	93	野望	76
武将風雲録(S1)	戦闘			83			政治	60	魅力	83	野望	40	教養	64
覇王伝	采配	78	戦闘	82	智謀	34	政治	45			野望	60
天翔記	戦才	168（A)			智才	72(C)	政才	100(C)	魅力	79	野望	70
将星録	戦闘			82	智謀	39	政治	44
烈風伝	采配	62	戦闘	72	智謀	27	政治	31
嵐世記	采配	62			智謀	31	政治	22			野望	64
蒼天録	統率	69			知略	32	政治	21
天下創世	統率	66			知略	31	政治	21					教養	57
革新	統率	78	武勇	77	知略	35	政治	24
天道	統率	78	武勇	77	知略	35	政治	24
創造	統率	76	武勇	73	知略	41	政治	35