領土問題 単語


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領土問題とは、国際問題の一つである。

「領有権問題」「領土紛争」ともいう。

概要

対象となる土地が、「どの国、どの組織に所属しているか」を巡って発生する問題である。領土が互いの国境に関わる場合は国境紛争・国境問題ともいう。

領土問題の発生する原因となっているのは、最初に領有した国が明確な主張を行わなかったり、取得するにあたって他国の了解や同意を得たりしていなかったことによるものである。その他にも、その土地に存在する資源や、その土地の形状にある戦略的価値、またはその土地に立つ建築物なども理由として発生することがある。

ただ、最初の領有に関するケース以外にも、複数の領有主張者が常駐していて正当なのが誰か分からなかった時期や、新たに支配した国が統治を放棄して支配者がいなくなったり、あるいは統治を返すどころか本来とは別の国に譲渡してしまったなど、歴史的な問題も絡んでいることがある。

領有判定の基準

以下基準は国際法に基づく。

先占 領有者がいない土地を最初に実効占有すること。
添付 埋め立てなどによって土地を広げること。自然現象による土地変化も含む。
時効 領有の意思をもって長いあいだ平穏に統治すること。
この「長い間」には領土紛争が起きていないことが求められる。
征服 相手の土地を武力・戦争によって取得すること。現在は国際的に禁止されている。
ただし「占有したのが相手の土地」という場合であり、自国領土の奪還はそれに含まれない。
譲渡
  • 売買 (AがBへ土地を売る)
  • 交換 (AとBが双方の土地を交換する)
  • 割譲 (Aが土地の一部をBに渡す)

領土問題

日本

対象地域 支配国 係争国 備考・その他
北方領土 ロシア 日本 日本は返還・もしくは無主地を主張。
竹島 韓国 日本  
尖閣諸島 日本 中国、台湾 「尖閣諸島問題」を参照
沖ノ鳥島 日本 - 中国が「岩礁は島として認められない」と無効を主張。

アジア

対象地域 支配国 係争国 備考・その他
南沙諸島
(スプラトリー諸島)
中国 台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ 南シナ海の群島。
西沙諸島
(パラセル諸島)
中国 台湾、ベトナム 南沙諸島の北にある群島。
蘇岩礁 韓国 中国 中国・韓国のほぼ中間にある岩礁。
アルナチャル・プラデシュ州 インド 中国  
カシミール地方 インド、パキスタン、中国 インド、パキスタン、中国 インド、パキスタン、中国の中間に位置し、支配も三国それぞれに分割されている。
プレア・ビヒア寺院 カンボジア タイ タイ・カンボジア国境の寺院とその周辺にある地域。

欧州

対象地域 支配国 係争国 備考・その他
北アイルランド イギリス アイルランド アイルランド北部地域
ジブラルタル イギリス スペイン スペイン・イベリア半島の南東端。

アメリカ・南アメリカ

対象地域 支配国 係争国 備考・その他
フォークランド諸島 イギリス アルゼンチン アルゼンチン東の島々。

中東

対象地域 支配国 係争国 備考・その他
エルサレム イスラエル パレスチナ アルゼンチン東の島々。
パレスチナ パレスチナ自治政府 - イスラエルは未承認。

その他

対象地域 支配国 係争国 備考・その他
南極 - フランス、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、イギリス、ノルウェー、ニュージーランド、ブラジル 現在は南極条約(1959)により各国の領有権主張は凍結扱いとなっている。……が、領有権そのものの否定はされていないため、いずれ再燃する可能性はある。

その他

争う余地のない主権
係争地を実効支配(現時点でその土地を支配)している国で「争う余地のない主権を持っている」「領土問題は発生していない」と発言する国があるのは、国際的慣習として「領土問題が発生していることを認めるのは、相手の主張にも一理ありそれを認めている」という事になるからである。
国際司法裁判所への付託
領有権の解決には国際司法裁判所による判断などを求めるのが良いと思われる。当事国すべてが合意した場合、国際的なルールに同意したということなので、当事国に対して管轄権が行使可能となるため、もし国際司法裁判所の判決・決定に従わなければ安保理による国際的な制裁も可能になるからである。
ただし国連憲章や条約と同じく国家間の合意が基本とされているため、その司法機関である国際司法裁判所においても、現行では「紛争の当事国すべてが国際司法裁判所での解決に合意しないかぎり案件として扱わない」事になっている。つまり二国間の場合、片方が求めても片方が拒否すれば審議には出せなくなる。[1]
国際的な判断は解決になるのか
国際司法裁判所による判断が必ずしも終結や解決に結びつくわけではない。タイとカンボジアの領土紛争では、プレアヴィヒア寺院の領有権はカンボジア領という判決が1962年に出ているが、紛争は停止しておらず、近年(2008~2011年)ではさらに激化した。[2]

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関連項目

  • 国際問題
  • 領有権問題
  • 国境(国境紛争)
  • 歴史

関連リンク

脚注

  1. *ただし拒否した側も審議拒否に対する合理的な理由の説明を求められるため、国際的に納得いく説明ができなければ、拒否した側がやや不利な立場におかれるという部分もある。
  2. *判決が出てもタイ側が納得していなかったこと。加えて寺院そのものは決まってもその周辺地域は未確定のままだったため。
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