魔神（とある魔術の禁書目録）とは (マジンとは) [単語記事]

魔神（とある魔術の禁書目録）とはライトノベル「とある魔術の禁書目録」に登場する用語である。

SS2巻のオッレルス、22巻でのオティヌスという現存する魔神格の存在が露わになって注目され始めた言葉だが、実は用語自体は「とある魔術の禁書目録」の第1巻を初出とする。

魔神とは

ベースを人・魔術師としながら魔術を究め、神様の領域にまで到達した者を指す。
正体は、主神、女神、尸解仙(娘々・仙人)、即身仏(高僧)など神話に謳われる神や、人を逸した者である。

魔神は世界を操作したり消滅させる事が出来る。しかし、魔神という強大な存在(娘々いわく∞)には世界の方が耐えられず、一歩踏み込めば世界の方が粉々になってしまう恐れもあった。そのため多くの魔神は『隠世』…すなわち日本神話における「遠き理想郷・神域」に該当する、異世界・別位相に籠っている(後述)。
　

その気になれば、世界を粘土のようにこねて完璧な『理想郷』を生み出せる『魔神』にとって、敵という概念は極めて稀だ。強い弱い以前の問題として、敵味方の区別や『戦う理由』そのものを優しく冷酷に消去できるからである。
あるいは、『魔神の敵』になれる者とは、同じ『魔神』に限られるのかもしれない。

　
１＋１の回答、力学、1グラムの重さ、１メートルの長さ、そうした世界の確固たる理も魔神の前において何の意味を持たず、容易に歪められる存在となる。実際、作中で初めて出た魔神であるオティヌスは、世界の創造・破壊・改変を一瞬でなし得るだけの力を持っており、世界を消滅させ、幾億もの世界を創造してきた。

魔神の座にいたのがオティヌスだが、彼女はオッレルスから【魔神の座】を奪った。ただしオティヌスはオッレルスが知る前から既に魔神だったらしく、元々は人の身から「神」に至った者であり、本質は主神「オーディン」と呼ばれる、闘争を軸とした北欧神話の頂点に立つ神である。
魔神オティヌスは北欧神話に名高き主神オーディンその人であったのだ。

SS2巻でのシルビアの言によると、オッレルスは「一万年に一度あるかないかの稀少なチャンスを子猫を助けるために棒に振った」のだという。オティヌスとオッレルスの二人の会話から察するに、並々ならぬ因縁も見え隠れするのだが、新約10巻時点では詳しい事は明かされていない。

オティヌス
オッレルス

魔神と呼ばれる存在

薄皮一枚隔てた『隠世(かくりよ)』という異なる世界（歪んだ別位相）には真のグレムリンの構成員である「あらゆる宗教のあらゆる魔神」が存在していた。いわくグレムリンとは既存宗教色のないプレーンな組織名称であり、全ての魔神たちが平等に参画出来る魔神の為の組織なのだという。

魔神の具体的な人数などは不明だが、娘々(にゃんにゃん)、僧正(そうじょう)、ネフテュス、ゾンビ少女、キメラと呼ばれる者を確認済み。しかし魔神もこの限りではなく、サンジェルマンという18世紀に実在した不老不死の怪人の名で呼ばれる者も存在している。

僧正と娘々は魔神が住む「距離も時間も曖昧な世界」を、日本神話における遠き理想郷である「隠世（かくりよ）」、上条達の住む世界をその対照語である「現世（うつしよ）」に準えている。あるいは、そのものなのかもしれない。

僧正は仏教の「高僧・即身仏」、娘々は古代中国・道教の「尸解仙」である。ここで言う隠世（常世国）は、道教の根源でもある『神仙思想』や『蓬莱山』の影響を諸に受けている。故に、二人と関連性の高い名ではあるだろう。

オティヌスはデンマークの古城にある『ミミルの泉』に自らの眼を差し出し、人の身から魔神に昇華した。位相の魔神たちの存在を考慮するのであれば、オティヌスは北欧神話系の魔術を究めた者（神）の一人という事になる。

彼女達とオティヌスの違いとして以下のような事が挙がった。

娘々：でもさー「僧正」。「ゾンビちゃん」が持ってきた理屈って、ようは合わせ鏡でしょ？わたし達の「力」を無限に分割する事で意図して弱体化を促し、手足を振り回しても世界ってヤツが壊れないようにする。

僧正：「娘々」、それがどうしたね？

娘々：いやあ、∞って記号をいくつ分割しようが本当にきちんと弱体化出来るのかねってハナシ。やだよー、一歩踏み出した途端にステンドグラスみたいに世界が粉々になるだなんて。わたし達はさ、「オティヌス」なんかとは違うんだから。

新約とある魔術の禁書目録12巻「世界の許容その限界」より一部抜粋

「隠世」に住む魔神達にとって上条達の「現世」はあまりにも脆かった。現世は「魔神」という強大な存在を許容出来るほどのキャパシティあるいは強度に至っておらず、魔神が一歩踏み入れるだけで崩壊を迎えてしまう。その為、作中ではゾンビ少女が提唱したらしき理論を基に自身を弱体化し、上条達の現世に足を踏み入れている。