麻枝准とは、日本のシナリオライター、作詞家、作曲家である。現在は、Keyに所属している。
1975年1月3日生まれ。三重県出身。本名は表記違いで前田純。通称「だーまえ」。血液型O型。
大学時代、仕事はゲーム音楽を手掛けることを志し、日本ファルコムやカプコンなど数社の選考を受けるも、全て不採用となった。就職先が決まらないまま夏休みを迎え、今度はシナリオライター志望に転向することを決意。アリスソフトにも合格を貰っていたが、大手では競争に生き残れないと感じ、あえて当時マイナーなメーカーであったscoopに就職するも、『カオスクィーン遼子』で担当シナリオを仕上げると半年で退職。その後、当時scoopよりもさらにマイナーなソフトハウスであったネクストンに入社。ネクストンでは同社のブランド、タクティクスで『MOON.』『ONE ~輝く季節へ~』の企画・原案・脚本を担当。その後、共に制作に携わった久弥直樹、樋上いたる、みらくる☆みきぽん、しのり~、折戸伸治らと、ビジュアルアーツに移籍しKeyを立ち上げる。
Keyに活動を移してからは大ヒット作を世に送り続け、ゲームクリエーターとしてとその名を高める事となる。
シナリオライター以外に作品中の音楽の作詞・作曲もこなす多才な人物であり、ビジュアルアーツの馬場社長が言うには「何でもこなす天才」。
好物は納豆(カレーやカップヌードルのカレー味にもかける)、松屋のカレー牛(カレー牛を考案した人を尊敬している)、ケンタッキーフライドチキン、ジャイアントコーン、油そば、皿うどんなどと本人がいうが、かなりの偏食家でありハマると毎日同じものを食べ続けるという。
京アニ版『kanon』のオーディオコメンタリーでは、沢渡真琴シナリオが自分の中で特別なものであり、今後これ以上のシナリオは書けないのではないだろうか、自分のゲームで泣くシナリオライターが他に居るのかはわからないが、家でドリームキャスト版kanonを遊んで真琴シナリオで号泣したと語りつつも、作品に関係のない皿うどんの話を延々と続け、話題が本編に移ったと見せかけて「じゃあ、皿うどんの話に戻ります」というほどハマっていた。皿うどんはパリパリの麺がお菓子感覚で好きで、餡とよく混ぜて麺をふやかして食べる人には強い衝撃と反感を抱いた。正月の間中、コンビニの唐揚げ弁当を食べ続けた逸話もある。最近アニプレックスに健康的で豪華な食事を提供されている模様。カレー牛への回帰が望まれる。
ちなみに能美クドリャフカの抱き枕を使っている。
シナリオで泣かせるという事に注目しており、久弥直樹と共に『ONE 〜輝く季節へ〜』など、泣きゲーといわれる作品を生み出し、後のADVに大きな影響を与えた。
泣き要素として、麻枝が手掛けたシナリオには必ずと言っていいほど死が題材とされる。とはいえキャラを安易に死なせてしまうことに関しては、本人も気にしている様子である。主要人物がはじめから死亡しているという手法も使っている。
テーマとして「人と人との絆」を取り上げる事が多い。特に親子関係については最初期の作品から描かれている。その反面、いわゆる美少女ゲームと呼ばれる作品であっても、性的描写に重点を置く事は殆どない。
過酷な現実の中でも負けずに何が何でも立ち向かい、生きていかねばならないという本人のポリシーが作品に反映されている。『ONE 〜輝く季節へ〜』において、トラウマを抱えた主人公が、やがて消えゆく先として「永遠の世界」という設定を置いたが、それも永遠などではなく1年足らずで終わり、後年の『リトルバスターズ!』でも現実逃避は永遠に続かないことを描いている。
小説家の村上春樹から強い影響を受けており、特に高校生の頃『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んだことによりその後人生が変わり、自身の作風にも大きな影響を与えたと語っている。
美少女ゲームは蛭田昌人や菅野ひろゆきの作品を遊んでいた。Leafの『雫』『痕』『To Heart』を研究したという。一般ゲームはRPGを遊ぶことを好んでおり、自分でもRPGを作ってみたいと長年の間希望していた。
創作の傾向としては『リトルバスターズ!』で主人公の直枝理樹にも言わせているように「全く関係のないものを組み合わせてみよう」というものがある。要するに理不尽さ、ナンセンスさの追求である。それがギャグ方面に向かうと唐突かつハイテンションな展開となり、シリアス方面に向かうと怒涛の急展開による感動シーンとなる。意外性を出すためなら、全く話の伏線を張らないということすら平気で行う。当然、読む人を選び、特に『智代アフター』での急展開はこれぞ麻枝の真骨頂と崇めた者と、唐突で無茶苦茶であると、こき下ろした者の真っ二つにわかれた。
ただ麻枝いわく、自身のシナリオは泣かせるスイッチがひとつだけだと作動しなかったときが怖いので伏線をいくつも用意しておく、『Kanon』の真琴シナリオなどがそうであるように、質より量で攻めるイメージで、悲しいシーンを長くすることでユーザーに感情移入してもらうようにしている旨も語っている。
『智代アフター』ではストレートに上記にある麻枝のポリシーに沿った厳しいストーリーが展開し、また作品の尺が短か過ぎたためプレイヤーの多くが感情移入出来ず、バッドエンドとも思われる結末に非難が殺到したものであった。麻枝はこの結果にショックを受けて休職に追い込まれたが、CS化に際し同作が加筆修正されたことで一般的な評価が高まったことで、概ね満足したようである。
キャラ造形においてはモデルにしたキャラと全く別のキャラを作ってしまうことも知られている。アスカ・ラングレーから沢渡真琴を作り、セーラーマーズから川澄舞を作り、藤林杏のようなツンデレを作ろうとして棗鈴や朱鷺戸沙耶ができてしまい、天城雪子からゆりっぺを作り、両儀式から天使ちゃんを作るという、いずれも、どんな工程を踏めばそんなものができてしまうのかと、ファンとしては理解に苦しむものもある。
またシナリオライターとして久弥直樹の事を大尊敬しており、『kanon』や『Angel Beats!』などの雑誌やテレビのインタビューでも度々、久弥の話題が出てくる。自分にとって神・天才的存在とまで発言しており、久弥がkeyを退職して数年経った後も「自分は一生keyのファンには認められない。彼を超える事は一生できない」とプレッシャーを抱えながら努力と勉強の毎日だったらしい。
ちなみに久弥も麻枝を大いに尊敬している。『CLANNAD』を発表してからはファンからの感想などにより自信が付き、「やっとkeyの一員として認められた気がした」と語っている。今においても麻枝にとって久弥は天才的存在らしく常に背中を追っかけているらしい。本人いわく久弥は自分にとっての「ソウルメイト」とのこと。これらのことは【麻枝准研究所「神様になった日」特設サイト】の記事、【「Soul Searching Journey」第1回 麻枝准・久弥直樹 同時インタビュー「彼らが見つけた“尊敬”のかたち」】に詳細が語られている。
Keyでのシナリオライターとしての仕事は『リトルバスターズ!エクスタシー』で一区切りとした上で、『Rewrite』ではQC(クオリティ・コントロール/制作監督)と、音楽のみを担当したように、これからは後進のシナリオライターを育て、Keyを裏方として支えていく旨を表明していた。京アニ版『kanon』のオーディオコメンタリーでは、ゲーム制作において最も難しいのはQCである。企画者はシナリオを書いてはいけないとまで語っていた。
だがこれが、ファンの間で引退との喧伝がされたことに驚き、次は誰かに任せますくらいの気持ちで語ったつもりであり、ゲームのシナリオライターとしても引退したつもりは無い旨を本人は語っている。
2004年から『ヒビキノマホウ』の漫画原作を担当。2010年、『Angel Beats!』で初のアニメの原作・脚本に挑戦した。2010年11月に京都大学で行われた講演会では『Angel Beats!』のゲーム化を宣言し、2016年、ゲーム『Angel Beats! -1st beat-』発売。全6作で完結するシリーズでの発売としたが、コミック『Angel Beats! Heaven's Door』11巻の後書きで、『2nd』の発売の目処が全く立っていないことを公表。「思いはそのコミック(『Angel Beats! -The Last Operation-』)に託す」とした。
2015年、自身のオリジナルアニメとして第二作目『Charlotte』を発表。
2016年、かねてから体調不良を訴えていたが、2月29日にTwitter(旧アカウントは削除済み)で入院する旨をツイート。難病の特発性拡張型心筋症を患っており、その後、第一種身体障害者心臓機能障害一級となったことを公表するとともに、心臓移植が不可避の状態にあることを明らかにした。同時に、元来のうつ病の影響で、仕事以外への関心が薄いため、仕事に復帰することが望ましいと診断されたことも語った。 その後も自身の状態を精神病のデパート、自律神経が狂いまくっていると述べ、健康状態はけっして良くないことを明らかにしている。
入院の前から熊木杏里からオファーがありオリジナルアルバムの制作を開始、入退院を挟みながら完成させ、2017年7月、『Long Long Love Song』を発売する。keyの新作『Summer Pockets』にて原案と音楽を担当。サウンドユニット「Satsubatsu Kids」を結成。コミックマーケット93にてアルバム『Hikikomori Songs』を発表、2018年5月に一般流通盤『Hikikomori Songs』を発売する。
2019年11月28日に原作・メインシナリオを手掛ける完全新作となるゲーム(スマートフォン・ゲームのRPG)『Heaven Burns Red』が発表された。
2020年10月放送予定のアニメ『神様になった日』で原作・脚本を担当している。
Key作品の主題歌やBGMの作詞・作曲を数多く手掛ける。
中学生時代から音楽をTM NETWORKを原点として聴き始め、高校時代から趣味としてMMLの打ち込みなどを行う。大学時代には友人の中川くんの二人でTM NETWORKのフォロワーバンド、「KIMELLA」を結成。中川くんをボーカルにして、自らはコーラス、作詞、作曲、編曲を行い、TM NETWORKテイストなアルバムを作る。
プロのサウンドクリエイターとしての麻枝は、Tacticsの『MOON.』の制作の時に、YET11に音楽もやってみたいと頼んだことに始まる。
麻枝の楽曲は、「コードを作ってから適当にメロディを置いていく」という独特の作曲法により、頻繁に変拍子が使われ、メロディーでは広い範囲の音を使う、音楽理論からやや外れたメロディーラインを持つという特徴がある。そのために、ボーカル曲の場合、歌うのが難しいと言われてしまう事も多い。また、コード進行も麻枝節、麻枝リフレインとよばれ、聴く人に独特の郷愁感を与えるといわれる(麻枝本人は、ALchemyのサビに表れるような「Am→F→G→C」の黄金コードではないかとしているが、諸説あり)。
開発中シナリオに没入するための音楽の重要さも強調しており、エピックハウス、トランス、はたまたロキノン系など聴くジャンルを問わず、起きている時間はずっと音楽を聞いて過ごすという。麻枝の生み出す作品の数々にその片鱗が見られる。
また作詞は、曲ができてから、メロディーに歌詞を載せるとしている。大江千里、遊佐未森などに強く影響を受け、また彼独自の指向として、歌詞にしばしば「強さ」という単語を使うのも特長として挙げられる。
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最終更新:2025/12/15(月) 20:00
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