03式中距離地対空誘導弾 単語


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03式中距離地対空誘導弾とは、陸上自衛隊が装備する地対空ミサイルシステムである。略称としてSAM-4、あるいは「中SAM」とも呼ばれる。

概要

すべてのシステムは車載化されており、高機動車(射撃統制装置車・無線伝送装置車)2台+重装輪車(わざわざ新開発した米国のHEMTTと呼ばれる8輪トレーラーそっくりの車両。バリエーションに重装輪回収車もある)4台(発射装置車・運搬装填装置車・射撃用レーダ装置車・レーダ装置信号処理車)に分散して配置される。ミサイル本体を格納したキャニスターは垂直発射型タイプで、発射位置を周辺の地形に左右されないメリットがある。

ミサイルそのものも、双操舵飛しょう体制御と呼ばれる前部・後部それぞれにある翼をコントロールすることで高機動化を実現している。これはメーカーとTRDI(技本)がわざわざ特許申請までしているほどの技術である。また電子対抗手段にも強く、パトリオット以上とも言われている。

ミサイルの有効射程は定かになっていないが、もともとの兵器体系を考えるにホーク改良型(40km?)以上、パトリオット(160km?)未満と考えるのが妥当ではないかという意見もあり、60km前後では?という記述もある。

導入コストはパトリオット一個チームの850億にくらべると半額程度の470億程度とコストについても考えられている。加えて一個射撃班の人員も改善ホークの50名から20名へ大幅に省力化された。

現在、陸上自衛隊ではMIM-23ホーク装備部隊を順次この03式地対空誘導弾装備へと置き換え中である。が、他装備品同様、年に1セット(1個中隊)規模単位で、現状15小隊。すべてのホーク装備部隊が置き換えるには今しばらくかかると思われる。近年の周辺情勢から第15高射特科連隊など南西への優先配備が進んでいる。

背景

長らく陸上自衛隊の対空ミサイルシステムはMIM-23 ホーク(およびその改良型)が担っていた。これは主な装備開発であるアメリカが意外と自国の対空車両の開発に熱心でない(だけの航空兵力だったのもあるので)ためでもあった。

MIM-104パトリオットはあるものの規模が大きすぎるという欠点もあった。欧州諸国、アメリカではパトリオットPAC-3のコンポーネントを流用して、射程距離をより伸ばしつつ、もうすこしコンパクトにしようと中距離拡大防空システム(MEADS…Medium Extended Air Defense System) の開発を行おうとしていた。アメリカ・フランス・ドイツ・イタリアの共同開発案に日本にも参加が打診される。

もっとも日本では武器輸出三原則に抵触するためこれに参加できず、かといってMEADSの開発終了後に導入するまでは待っていられないという、最近ありがちな兵器導入のジレンマになる。が、流石に誘導弾(ミサイル)関係ではわりと開発経験を積んでいたため、国産開発を決意。これが03式中距離地対空誘導弾となった。(無論、導入にあたって財務省に提出したレポートなどでは車載するMEADSの車両問題…国内法に抵触しているなどなどもっともらしい理由はつけられているが…。)

その後の展開について

かくして装備がスタートしている03式中距離地対空誘導弾だが、どうも陸自の中の人達は内心しまったと思っているとかいないとか。

もともと戦域防空を担う対空ミサイルシステムではあるのだが、パトリオットと同様に仰々しくなってしまっているのだ。さすがに大型車両を6台1セットなどというシステムは大きすぎて昨今問題になりつつある離島防衛などリロケータブル(再配置)さに欠ける。といって93式地対空誘導弾(近SAM)や81式短距離地対空誘導弾(短SAM)では防衛レンジが短い。11式短距離地対空誘導弾が導入され、一応の解決は見ているが導入スピードがネックでもある。いくらパトリオットの半額とはいえそれでも巨額であるため導入も進まない実情もある。

とはいえ近年ではおおすみ型輸送艦、民間輸送船舶。将来的にはいずも型護衛艦などを用いた海上展開も視野に入れられており、パトリオット部隊や地対艦ミサイル連隊等と既にそのような訓練も実施している模様。

余談として一方の元々の始まりだったMEADSだったがフランスがいつものように開発から抜け、計画の中心だったアメリカも国防費削減のためか計画の離脱を発表。思い切りハシゴを外されたドイツ・イタリアだけでは予算を捻出できずこのままお蔵入りになりそうという予想外の展開になっている。

改修・派生型

  • 03式中距離地対空誘導弾(改善型)
    2017年度から調達を開始。巡航ミサイルへの対処能力が強化されている。また原型の中SAMは調達コストが高く、毎年少数しか導入できないことから、民生品を多用することで調達コストを削減している[1]。将来的にはレーダーの高出力化、弾道ミサイル対処構想もある[2]
  • 新艦対空誘導弾
    03式をベースに開発される艦対空ミサイル=幻に終わったAAM-4ベースの艦対空ミサイルの復活版である。レドームの変更とデータリンク、ブースターの追加が行われる。

関連項目

  • 軍事
  • 軍用車両の一覧
  • ミサイル / SAM(ミサイル)
  • 自衛隊
  • 陸上自衛隊 / 海上自衛隊 / 航空自衛隊
  • TRDI
  • MIM-104/天弓(台湾)
  • 近い← 91式携帯地対空誘導弾 / 93式近距離地対空誘導弾 / 81式短距離地対空誘導弾 / 03式中距離地対空誘導弾(本項) →遠い

脚注

  1. *これに伴いレーダー車、電源車は73式大型トラックに架装されている
  2. *最新の純国産地対空ミサイル「03式中SAM改」の性能とは 2020.1.7

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