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APFSDSとは、現在、戦車の主砲などの砲弾に広く用いられている徹甲弾の一種である。
正式には“Armor Piercing Fin Stabilized Discarding Sabot”と言い、日本語では『装弾筒付翼安定徹甲弾』と表記される。

概要

運動エネルギーは質量と速度の二乗に比例するが、これを高める為のアプローチとしては二つの手法――即ち、質量を上げるか、速度を上げるか――が存在する。
徹甲弾の発達の歴史において、初期は弾体の質量と速度の両面において進歩が認められる。即ち、より重い砲弾をより高速で撃ち出せば、より大きな運動エネルギーを付与できる、という理屈である。また、着弾時にその運動エネルギーが狭い範囲に集中すれば、装甲貫徹力は更に高まるため、弾体の先端部を尖らせたり弾体そのものを細長く設計するようにもなった。

しかし、運動エネルギーが“質量”と“速度の二乗”に比例する以上、貫徹力を高める為の手段としては弾体を重くするよりも高初速化を図る方が効果的であり、第二次大戦中にはそのようなコンセプトの徹甲弾(APHVやAPDS)が生まれている。

APFSDSはこのコンセプトをより鮮明にしたものであり、その高初速によって得られる強大な運動エネルギーを持って装甲を貫通することを目的としている(逆に言えば、速度が落ちた状態では旧来の徹甲弾よりもその威力は劣る)。

ちなみに、APFSDSの使用されている範囲は意外と広く、現在では20mmクラスの機関砲でもAPFSDSを使用可能なものが存在している。

構造

非常にざっくりと分類すると、実際に目標に向けて飛翔する部分(侵徹体)とそれ以外(装弾筒)で構成される。
これを撃ち出す砲の種類によっては、安定性を確保するためにスリッピング・バンドを備えることもある。

侵徹体は実際に装甲を貫通する部分であり、尾部に弾道安定のための安定翼が備えられている。この安定翼は侵徹体に毎秒数回~数十回程度の回転を与えることで弾道の安定を図るもの。『弾道を安定させるのであればライフリングでは駄目なのか?』という疑問を抱かれる方もいるかとは思われるが、ライフリングでは回転し過ぎる為、逆に弾道が不安定になってしまうことから、APFSDSの運用は現在では滑腔砲によって行われるのが主流である。

旧来の徹甲弾とは異なり、極めて細長い棒状の構造をしており、長さ(Length)と直径(Diamater)の比を表すL/D比としては、20~30と言われている(L/D比20であれば侵徹体の長さは直径の20倍)。ちなみにこの極端な細長さがライフル砲での運用に適さない理由の1つ。
着弾時には装甲と侵徹体がそれぞれ高圧に圧縮されるためにユゴニオ弾性限界を突破するため、それぞれが流体としてふるまい(塑性流動)、相互侵食を起こし、結果として装甲の貫通ないし加害に到る。よほど浅い角度(装甲に対してほぼ並行)で命中しない限りはこの現象に到り、従って跳弾はまず生じ得ないため、APFSDSの前には避弾経始という概念そのものが全く意味を成さない。現在世界各国で運用されている戦車の多くが直線的な面構成の角ばった構造をしているのはこのためである。

なお、材質は劣化ウランやタングステンなどの重金属が用いられることが多い。

装弾筒は発射時のガス圧を受け止める為のものであり、砲口から射出された後は空気抵抗により分離する。

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