DNAとは、二重の螺旋構造を持つ遺伝情報を担う物質である。
正式な名称は、デオキシリボ核酸(Deoxyribonucleic acid)であり、核酸の一種。
糖がリン酸ジエステル結合で直鎖状につながった高分子なので、全体的にみると負の電荷を帯びている。だから核酸。
二本の直鎖が相補的な塩基どうしで対合し、皆がよく知る二重らせんを形作っている。「核酸なのに塩基?」と戸惑ってしまう人は生物の教科書を見よう。糖とリン酸を背骨にして塩基がくっついているのが分かる。
つまり、DNA分子には酸と塩基が両方含まれているのだ。ではなぜ核酸と呼ばれるのかと言うと、塩基部分は相補的に対合し、互いの電荷を打ち消し合っているので、全体的にみるとリン酸の負電荷によって酸としてふるまう。 分子として見ると酸なのだが、重要な部分は塩基という何ともややこしい物質なのだ。
染色体、遺伝子、DNA、ゲノム等など似たような言葉が沢山あるが、全て微妙に定義や用途が違っており、重複する内容もあるため誤用混乱が多い。
染色体とは、細胞の核を染色した時に染色される部分のこと。主にDNAと、それを保護するタンパク質から出来ている。つくねかウィンナーみたいな棒が並んでる写真が「染色体」を指すものとして良く使われるが、あれは細胞分裂のために折り畳まれた状態のもので、普段はほどかれた状態で核の中に入っている。
遺伝子とは、機能的な面から定義した言葉である。だいたい「ある一つの機能を実現する塩基配列のひと纏まり」くらいの意味をもつ。ひとつの遺伝子が染色体上の一ヵ所に纏まって存在することは少なく、順番もバラバラ適当であることが多い。まぁデフラグしてないHDDみたいなもん。ある機能を実現する遺伝子は確実に存在するんだけど、ぶっちゃけどこにあるかはよくわからんことが多いので、遺伝子という単語はやや抽象的な意味合いをもつ。
DNAとは、生命が遺伝情報を記録している物質のことで、冒頭の説明の通りである。遺伝子とほとんど同じ意味で使われる事が多いけど、真面目な話をするときは区別した方がいい。
ゲノムとは、その生命を構成する最小限度必要な遺伝子の1セットのこと。2nだったり4nだったりしてもゲノムはn。意地の悪い先生はひっかけで出すので注意しよう。たぶんジャンクは含まないと思うな。
「DNAを直接書き換えてしまえばどんな生き物でも作れて夢ひろがりまくりんぐwww」という、すこしふしぎなお話が良くあるが、そんな技術はまだまだ当分は実現しそうにもない。簡単に言うと、スパゲティにもほどがあるソースの解析が殆ど進んでおらず、大規模な改変なんてちょっとまだむり無理ムリかたつむり。一部の種ではゲノム解析が終了しているものもあるけど、これは塩基配列の解読が終わったというだけで、生きた細胞の中でどのように働いているかについてはまだまだ未知のことばかり。まぁ生命にはデバッグモードなんて無いんだから仕方ないね。
それでも世の中のえらい人たちのおかげで特定の病気に関わる遺伝子やら何やらは研究が進んでいて、遺伝子治療なるものが開発されている。えろい人たち頑張れ超がんばれ。
またDNAは傷害されやすく、活性酸素や紫外線、放射線、熱などしょっちゅう損傷しているのでしょっちゅう直している。この細胞がもってる遺伝子の修復機能がものすごい精度なんだけどそれでもごくたまにミスってしまう。これが場合によって突然変異だったり癌化とか呼ばれるアレなんだな。
「イケメンになる遺伝子」とか「頭がよくなる遺伝子」なんてものは、もしかすると有るかもしれない。でもお前を天才イケメンにするには、お母さんのおなかの中に戻って骨格を作りなおす所からやり直す必要があるから諦めろ。
「じゃあ次から生まれてくる子供みんなにイケメン遺伝子と天才遺伝子入れたら良くね?俺って天才」と考える奴も居るかもしれないが、そうなると今度はブサメンは生まれてくる権利すらないのかという話になったりして本当に面倒くさい。そのへんはGATTACAを観るのオススメ。いい映画だよ。
つまり遺伝子をいじくれても、お前が天才イケメンになれる可能性はミジンコほどしかないということである。
DNAのうち、最終的にアミノ酸配列に翻訳されない部分をイントロンという。
最終的な「製品」に必要がないことから、イントロンは「ジャンク」とも呼ばれてきた。しかし近年では翻訳効率などに関わっていることが分かってきている。
エクソンとはイントロンの対義語で最終的にアミノ酸配列に翻訳される部分を言う。
DNAはA,T,G,Cの4つの塩基で構成さていて二重螺旋を作るときはAとT、GとCがペアになっている。図で書くと
X鎖:AAATGG
Y鎖:TTTACC
のような感じである。一見デジタル信号とは気がつかないかもしれないが、Aと0、Cを1、Gを2、Tを3と置換してみる。
X鎖:000322
Y鎖:333011
こうすると4進数のデジタル信号そのものであることが分かると思う。デジタル信号を扱うときに気をつけなければならないのはノイズによる信号の乱れである。例えば左から2番目にノイズによりエラーが発生したとする。
X鎖:000322
Y鎖:313011
そうするとここで(足して3にならないので)どちらかでエラーが発生していることがわかる。しかしX鎖、Y鎖どちらでエラーが発生しているかはわからない。専門的には誤り検出はできるが誤り訂正はできない状態である。そこで以下のような規則で冗長な情報を付け足して見る。
X鎖:左から順々に数値を足した答えを付け足す。3の次は0である。
Y鎖:左から順々に数値を引いた答えを付け足す。0に次は-1ではなく3である。
X鎖:0003221
Y鎖:3330112
ここで先ほどと同じようなエラーが発生したとする。
X鎖:0003221
Y鎖:3130112
そうすると先ほどとは違って計算結果が合わなくなるのでY鎖でエラーが発生したことが確定する。さらに正常なX鎖から逆算してこの誤りを訂正することが可能になる。
X鎖:0003221
Y鎖:3330112
そう、ここで一見ジャンクのように思える右端の数字が非常に重要な意味を持ってくるのである。実際、このような冗長性はデジタル信号を扱うときには無くてはならないものである。逆にこのような仕組みがないと音楽CDなどはすぐにノイズだらけになって、まったく用を成さなくなるであろう。
もしかしたら上で述べたイントロンにはこのような役割もあるかもしれない。しかしこのようなことはDNAとデジタル信号両方に知識、少なくとも興味がないと気が付きさえしないためか、現在のところこのような研究はなされていないようである。今後の発展に期待しよう。DNAに詳しい人はぜひ「シャノン=ハートレー」あたりをキーワードにデジタル信号の冗長性について調べてほしいと切に願う。
・Cellとワトソンはグーグルブックスで一部閲覧できる(はず)なので、気になる人は試し読みしよう。
高校のうちから分子生物学が知りたいのなら、高校生物の教科書は投げ捨てろ。
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最終更新:2026/01/09(金) 16:00
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