SF短編とは、読んで時の如く「SFジャンルの短編物語」のことである。
が、ここでは漫画家 藤子・F・不二雄氏(以下F氏)が手がけたマンガ「SF異色短編」(以下SF短編)の事について解説する。
F氏は元々「ドラえもん」「パーマン」「エスパー魔美」などに代表される児童向けマンガを多く発表し、世間一般のF氏に対する印象・評価もほぼ同様のものとなっている。だが60年代~80年代にかけ児童誌の連載と平行して、青年誌・ビッグコミック、SFジャンルの大手・SFマガジン、マンガマニア向け・マンガ少年、果ては週刊少年サンデーや週刊少女コミック(当時)など、多岐にわたる雑誌にSFものの読切短編漫画を多数掲載していた。
残念なことにそれらは世間的な知名度はほとんど無いが、F氏のマンガの愛読者やSFファンからは絶大な支持を得ており、SFジャンルの漫画としてはかなりの高クオリティを誇っていると言っても過言ではない。また、大人向けのSF短編には当時の世界政治的・軍事的要素が、子供向けのSF短編には従来の冒険活劇的・お茶の間ギャグ的要素が盛り込まれており、たまに子供向けSF短編にも大人向け顔負けのハードな展開が用意されていることもある。ただし本来のSFという概念に当てはまらない独創的な作品も多くあり、F氏自身は「SF=スコシ・フシギ」と称し、独自のスタンスをとっている。
「笑ゥせぇるすまん」や「魔太郎がくる!」など、ブラックな展開が売り(?)の元相方・藤子不二雄A氏(以下A氏)の漫画としばしば比較されることがあるが、ファンの目から見ると、「A氏の漫画は直接的でオーソドックスなドッキリ的恐怖」であるのに対し、「F氏のSF短編は間接的で徐々に追いつめられるような精神的恐怖」であると言える。ただし、これはあくまで項の筆者の独自的見解であり、「どちらの漫画が優れている」ということを決めるものではない。強いて言うならば「どっちも怖いんだよ!orz」という所であろう。
SF短編の作品は112作を数え、単行本も小学館・中央公論社・朝日ソノラマ・双葉社等の様々な会社から出ているが、2000年刊行開始の「藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版」(小学館・全8巻)で網羅された。
どの作品も年代・主人公・場所などバラバラで、手塚治虫氏の漫画のようにシリーズを通して出てくる同名の人物はいない。唯一例外として、未来製のカメラを現代で売って生計を立てる未来人・ヨドバ氏(名前の元ネタはもちろんヨドバシカメラ)が、数作に渡り登場するぐらいである。
また、SF短編のネタがドラえもんに転用された例も存在する。
例えば、〆切が間近に迫った漫画家がタイムスリップして自分同士で罵りあう「昨日のオレは今日の敵」は「ドラえもんだらけ」に、さえない子供が偶然畳の裏に繋がった宇宙船に入りヒーローとして異星人と戦う「ベソとこたつと宇宙船」は設定がそっくりそのまま「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」に、それぞれ活用されている。
大人向けは大きく分けて近未来の地球・宇宙・異星、あるいは異星人が絡む正当派SF路線と、日常生活に少しずつSF的要素が絡む路線があり、どちらも序盤中盤にコメディ要素が含まれることもあるが、ギャグのまま終わる作品はあまり無い。中には落語のようなひねりの利いたオチもあるが、大抵は皮肉・風刺かブラックな結末である。パラレルワールドや不思議な道具をテーマにした作品が多い。また、ドラえもんなどを生み出したF氏本人の作品でありながら、地球の未来やタイムマシンさえも否定する短編もあり、大人が見てもかなり見応えのある作品が揃っている。ただし、刻々と変化する世界情勢は今現在のものとかなり異なっており、米ソの冷戦及び核戦争の恐怖などに代表される当時の世界情勢を知っておかないと、作品全体のテーマがあまり理解できない事もあるので注意が必要である。
「少年(+少女)の元に異星人(あるいは不思議な生き物)が現れる」という藤子漫画によくあるパターンも多く見受けられる。大人向けとは正反対で、爽やかで未来に対して明るい結末が多い事が特徴。ただし、一見すると子供向けで、藤子漫画でもよくありがちなシチュエーションの「ヒョンヒョロ」は、まさに超展開の結末を迎えるため子供向けかどうかは意見が分かれるところである。
アニメ化された「宇宙船製造法」「ミノタウロスの皿」などがアップされているほか、漫画にBGMを付けた動画もある。
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最終更新:2025/12/14(日) 23:00
最終更新:2025/12/14(日) 22:00
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