ここでは、1について記述する。
概要
キングギドラ(以下、ギドラ)は一般的に、龍の様な三つ頭と支柱になる長い三つ首、額には三日月形の角、腕の代わりに一対の翼、金色の鱗で覆われた直立の躯体、等の特徴を持った巨大怪獣である。口から吐く稲妻のような「引力光線」が最大の武器。
『三大怪獣 地球最大の決戦』にて初登場以降、ゴジラシリーズに幾度も登場し、ファンの間ではゴジラの「最強のライバル」との呼び声も高い。
各作品で設定が変わったり、多くの種類のギドラが登場するため、これらは通例的に「ギドラ族」と総称される。通常は腕が無く、2本脚で直立しているのだが、種類によっては前脚(腕)があり4足歩行をするものもいる(デスギドラ、カイザーギドラ)。一説には、ガイガンも金色の鱗やギドラの様な翼を持っていることから元々はギドラ族ではないか、と言われている。マンダは龍であり、別の種類。
「ギドラ」の英語での綴りは、「Ghidrah」(ギードゥラ)、「Ghidorah」(ギドーラー)、「Ghidora」(ギドーラ)の3つがあり、海外では一般的に「Ghidorah」が多く使われる。「Ghidora」は、『ゴジラvsキングギドラ』(1991年公開)において今までのギドラと区別化するために使われた表記だが、あまり知られていない様子。
甲高い鳴き声はエレクトーンによるもの。2009年公開のアニメ映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』劇中では携帯電話のコール音に使用(円谷プロに正式に許可を受け借用)されている。
余談だが、大のゴジラ好きを公言するJames Rolfe氏(AVGN)は「Godzilathon」において、個人的トップ10中2位に『ゴジラvsキングギドラ』を推していたり(もちろん1位は言うまでも無いが)、どの作品のギドラが「Ghidrah」、「Ghidorah」の綴りなのかも区別できており、ギドラについてもかなり詳しいマニアである。
登場作品
年代順に記載。
- ゴジラシリーズ第5作 『三大怪獣 地球最大の決戦』 (1964年) ・・・ 「宇宙超怪獣 キングギドラ」(初代ギドラ)が登場。
- ゴジラシリーズ第6作 『怪獣大戦争』 (1965年) ・・・ 「宇宙超怪獣 キングギドラ」(初代)が再登場。
- ゴジラシリーズ第9作 『怪獣総進撃』 (1968年) ・・・ 「宇宙超怪獣 キングギドラ」(初代)が再々登場。
- ゴジラシリーズ第12作 『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』 (1972年) ・・・ 「宇宙超怪獣 キングギドラ」(2代目ギドラ)が登場。
- 東宝特撮TV番組 『流星人間ゾーン』 第5話、第6話 (1973年) ・・・ 「宇宙超恐獣 キングギドラ」として登場。
- ゴジラシリーズ第18作 『ゴジラvsキングギドラ』 (1991年) ・・・ 「ドラット」とその進化系の「超ドラゴン怪獣 キングギドラ」、サイボーグ化した「サイボーグ怪獣 メカキングギドラ」が登場。
- 平成モスラシリーズ第1作 『モスラ』 (1996年) ・・・ 「宇宙超魔獣 デスギドラ」が登場。
- 東宝特撮TV番組 『ゴジラアイランド』 (1997年~1998年) ・・・ 「メカキングギドラ」、「ハイパーメカキングギドラ」が登場。
- 平成モスラシリーズ第3作 『モスラ3 キングギドラ来襲』 (1998年) ・・・ 「現代型キングギドラ」(宇宙超怪獣としては3代目ギドラ、通称:グランドギドラ)と、1億3000万年前のグランドギドラである「白亜紀型キングギドラ」(通称:ヤングギドラ)が登場。
- ゴジラシリーズ第25作 『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』 (2001年) ・・・ 「護国三聖獣・天の神 魏怒羅」とその進化系「魏怒羅完全体(千年竜王)」が登場。
- ゴジラシリーズ第28作 『ゴジラ FINAL WARS』 (2004年) ・・・ 「宇宙隕石怪獣 モンスターX」とその進化系「宇宙最強怪獣 カイザーギドラ」が登場。
- ゴジラシリーズ第32作『GODZILLA 星を喰う者』 (2018年) ・・・ 「高次元怪獣 ギドラ」が登場。
- GODZILLAシリーズ第2作『Godzilla: King of the Monsters』 (2019年) ・・・ 「キングギドラ」が海外作品としては初めて登場。
主な設定の変遷
昭和
- 三大怪獣 地球最大の決戦
宇宙から隕石となって地球に到来。金星人いわく金星を滅ぼした邪悪な怪獣であり、放っておけば地球もまた金星のような死の星となると言われ、その隕石から誕生するや金星人の言った通り地球で破壊の限りを尽くすも、モスラの説得を受けたゴジラ、ラドン、そしてモスラがキングギドラに挑み、最終的に三者の活躍によって撃退された。 - 怪獣大戦争
木星の新衛星X星に住み着いており、その星に住むX星人より地球から連れて来られたゴジラ、ラドンの尽力でX星からも撃退されたかと思いきや、実はキングギドラは最初からX星人に操られていた事が判明。その後に地球侵略の尖兵として同じく操られたゴジラとラドンと共に地球で暴れまわるが、ゴジラ達が洗脳から開放されるとまたしても両者との激闘の末に追い払われてしまった。 - 怪獣総進撃
操っていた全ての地球怪獣を取り戻されてしまったキラアク星人の最終手段として登場。富士山麓のキラアク基地防衛のため出現するも、地球怪獣10体(実際に戦闘に参加したのは7体)が相手では流石に無理があったのか、彼らにフルボッコにされたあげくとうとう絶命してしまった。 - 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン
ゴキブリM宇宙人ハンター星雲人の侵略兵器として別の個体が出現。ガイガンともども特殊な磁気テープで操られて地球を蹂躙せんとした。しかし、操っていたハンター星雲人が駆除全滅した事で戦意を喪失した後はゴジラの猛反撃を受けてガイガンと共に宇宙へ退散した。
平成
- ゴジラvsキングギドラ
本作では宇宙怪獣ではなく、未来人の人工生物ドラットが核実験の影響で変異したミュータント怪獣である。未来人に操られて日本を滅ぼそうとしたが、ゴジラとの激戦の末に首の一つを千切られて海に沈むも、その後未来でサイボーグ改造を受けたメカキングギドラとして再生、現代に戻って再びゴジラと相まみえる。その時の戦いでも最終的に致命的なダメージを負って敗れ去るが、その未来的技術は後にメカゴジラやモゲラの開発につながった。 - モスラ3 キングギドラ来襲
宇宙の星々を渡り歩き、その星で最も栄える生物を全て捕食し滅ぼしてしまう凶悪な宇宙怪獣として登場。かつて恐竜時代に飛来して恐竜を絶滅させ、現代では人間の子供を獲物とみなして日本中から子供を誘拐、迎え撃ったモスラも一度は撃退する。その後、恐竜時代に渡ったモスラに幼体の自身を倒されて滅ぼされたかと思いきや、尻尾の肉片から再生を果たす。しかし、モスラも鎧モスラとして現代に転生し、その鎧モスラによって撃破された。 - ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃
太古の昔、時の朝廷に討伐されて封じられた怪獣。ヤマタノオロチの起源と言われている。封印された後、人々に「天の神」として祀られて護国怪獣へと変身。国を守る存在となった。悪役を貫いてきたギドラが一転、日本を守る善玉怪獣という非常に珍しい役どころになっている。純然な地球怪獣であり、国の危機の際に目覚める護国聖獣・魏怒羅として富士山の地下にて眠っていた。その成長は遅いとされ、完全体である千年竜王へ昇華するには1万年の眠りが必要だった。ところがゴジラの日本襲来により2000年の眠りで覚醒。不完全な状態で目覚める事になってしまう。他のギドラと比べて体が小さく、翼も開いていない。それでも横浜市に出現し、ゴジラへ挑みかかる。3本の首で噛み付き、電流(サンダースパーク)を浴びせてゴジラを転倒させるも、戦い慣れていないためか終始劣勢。投げ飛ばされた挙句、追撃の熱線を浴びて気絶させられた。トドメの熱線が放たれた時、モスラがギドラをかばって守っている。その後、しばらく気絶していたが、焼き殺されたモスラの鱗粉がギドラの体を包む。するとギドラは再び眼を開き、千年竜王へと覚醒。陸海空を統べる最強の神となり、ゴジラに再度挑む。一度はゴジラを圧倒し、東京湾の海底では防衛軍(人類)と共闘するが、それでもゴジラを無力化できなかった。この時、海へ落下した主人公の悲鳴を聞き、気泡を吐いて助ける描写があり、人類に友好的な様子が窺える。ゴジラの猛反撃を受けて消滅する。しかし、その魂は他の2聖獣と共にゴジラを押さえ込み、取り付いていた怨霊を祓う。ゴジラは不死身ではなくなり、最終的な人類の勝利に貢献した。 - GODZILLA 星を喰う者
本作ではこの宇宙とは別の次元に棲む高次元エネルギー生命体として登場し、厳密に言えば宇宙怪獣ですらない。作中でキングギドラと呼ばれないが、別名の一つである王たるギドラが英語でKing Ghidorahである。異星人エクシフが神と崇める存在で、数多くの惑星文明が進歩の末にゴジラのような強大な怪獣を生み出すと、その怪獣を文明や惑星ごと喰らい尽くしてきたとされ、本作では地球文明が生み出したゴジラを喰らうべく現れた。この宇宙からの干渉を一切受け付けない能力でゴジラを圧倒したが、その能力が失われた後は逆にゴジラに圧倒され撃退された。作中で登場するのは3本の首だけで、従来のキングギドラのような胴体や翼を持つ姿はシルエットでしか見られない。これはある理由によってギドラの降臨が不完全だからであり、もし全身が出現していたら地球が一瞬で滅んでいたとされる。
令和
- Godzilla: King of the Monsters
南極の氷の中で眠る、ゴジラに並ぶ怪獣の王。作中では一貫してギドラと呼ばれる。本作品でもゴジラの因縁の敵であり、強大な存在として描かれている。太古の昔に宇宙より飛来、地球環境を自分好みに改造するべく暴れまわったが、何らかの要因で氷漬けとなって封印された。一連の資料や記録は極めて少なく、当初はモンスターゼロと呼ばれていた。しかし僅かに残った資料から、ギドラと呼称されるように。
先述の通り南極で眠っていた所を、環境保護をお題目にするテロ組織により爆破されて復活。ギドラが目覚めたことにより世界各地で眠っていた他の怪獣たちも目覚め始める。 - できないことは、みんなでやろう。紅丸篇
まさかのテレビCM出演。東宝の全面協力のもと、『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』で使用された魏怒羅のスーツを修復して再利用。堺雅人が扮する紅丸やゾンビ軍団が戦っている所に突如襲来し、引力光線を吐きながら迫ってきたため、ゾンビ軍団と手を組んでキングギドラに立ち向かう。そこへ宇宙から隕石が飛来。これにはキングギドラも驚いたのか動きを止め、紅丸の提案を受けて共闘を決意。隕石を迎え撃つため「ビッグブリッヂの死闘」をBGMに人間やゾンビと突撃するというシュールな絵面が生み出された。
亜種
- デスギドラ
かつて火星を滅ぼした生命体で、地球に来襲した際にエリアス族によって現在の北海道の山林に封印された。しかし、現代の環境破壊の末に封印の要であったエリアスの盾が紛失した事とベルベラの干渉も遭って復活した。口から火球を吐き、大地や植物のエネルギーを吸収して成長する性質を持っており、産卵直後もあって弱っていた第一世代のモスラを倒した後、飛翔能力を持つ完全体となってさらに猛威を振るわんとした。しかし、屋久島の縄文杉の力で成長した第二世代モスラ(緑モスラ)の猛攻に破れ、再封印された。その正体はマグマ状の不定形生命体で、映画での姿はかつて交戦したキングギドラや地球の恐竜の姿を真似たものとされる。また一説によると「負の生命」とよばれ神にひとしい存在であるため永遠に死ぬことはないとも言われる。 - モンスターX / カイザーギドラ
ゴジラの力を見せつけられたX星人統制官が真の切り札として宇宙から隕石に乗せて呼び寄せた怪獣。モンスターX時は人間に近い体型の獣の骸骨のような姿を持ち、両肩と眼から放つデストロイド・サンダーやゴジラ以上の格闘能力でゴジラと互角以上の戦いを繰り広げる。X星人全滅後は四足三首のカイザーギドラに成長し、より出力の向上した口からのデストロイド・カイザーによる猛攻、そしてエネルギー吸収能力でゴジラを追い詰めるが、新・轟天号からゴジラにエネルギーが送られた事でゴジラは再起、完全に打ちのめされた末に最後はゴジラのバーニングGスパーク熱線を浴びて宇宙まで吹き飛ばされて消滅した。
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