次の幕こそ
真ん中に立てないことを
思い悩んでいるのなら
君にこう問いたい舞台の端や後方であっても
命がけで演じただろう?
いまの力で成し得る
最良の結果を残しただろう?
ダンツフレームとは、1998年生まれの日本の元競走馬である。鹿毛の牡馬。
黄金世代と謳われた2001年クラシック世代で上位の実力を持っていたが
運と人に恵まれず、悲運の最期を迎えた、そんな馬。
主な勝ち鞍
2001年:アーリントンカップ(GIII)
2002年:宝塚記念(GI)
2003年:新潟大賞典(GIII)
この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては 「ダンツフレーム(ウマ娘)」を参照してください。 |
黄金世代、第三の男
父ブライアンズタイム、母インターピレネー、母父サンキリコという血統。父こそ大種牡馬だが母系は地味の一語であった。
このことが彼の最期に大きく関わるファクターとなってしまうのだが、それはまた別のお話。
早めにデビューさせることで有名な山内厩舎に入厩。「見た目がぶっさいくすぎて走る気がしない」という、走るブライアンズタイム産駒にありがちな特徴を持っていたため調教師・生産者からの評価は低かったが
実際に乗っていた調教助手あたりからの評価はそこそこ良かった。それはレースでも証明され2歳時は4戦して3勝。
とはいえ若駒故にソエが出たりしたのか、あるいは成長を促すためか早々に休養に入り2歳重賞には出ておらず、9月の2歳オープン2勝では評価がどうにもしにくい馬という感じで
アグネスタキオン・ジャングルポケット・クロフネらの影に隠れる…というか自ら明るいところに出て行けなかった感を覚える、そんな2歳であった。
年が明けて3歳、きさらぎ賞に出走。ここには2戦2勝でアグネスの二の矢である好素質馬アグネスゴールド、
シンザン記念で重賞初勝利を挙げたダービーレグノらなかなかのメンバーが出走していた。一介の早熟馬ならばアグネスゴールドやダービーレグノには太刀打ち出来ない惨敗もありえたのだが、先に抜け出して食い下がり、タキオンと並ぶ、あるいはそれ以上とも目されたアグネスゴールドには差し切られたが差のない2着と善戦。
この走りを見てようやく調教師もファンも強さの確信を得た…のだが、当時東京競馬場大改修のしわ寄せで酷使された結果か故障続発の中山の芝の状態を嫌い、クラシックではなくNHKマイルカップから安田記念を目指す予定を組み、クラシック的には裏路線、当時3月頭頃に行われていたアーリントンカップへ。
キタサンブラック以前にサブちゃんが所有した馬ではキタサンフドーあたりと並ぶ著名馬・キタサンチャンネルに粘られるが、何とかハナ差振り切り重賞初勝利。この後は当初の予定を覆し皐月賞へ向かうことに。これは馬主サイドの意向であろうか。それともこれが三冠の魔力か。
ここでは未知の実力馬ということでクロフネ以外の三強、アグネスタキオンとジャングルポケットに次ぐ三番人気に推された。
レースでは出遅れたジャングルポケットは抑え込むも、アグネスタキオンの極限の瞬発力には太刀打ち出来ず2着。
しかしながら、完全無敵なアグネスタキオンの競走馬生において、彼こそもっとも肉薄した馬となったのであった。
そして皐月賞2着という実績を見てNHKマイルカップは切り、日本ダービーへ。サウスポーを多数輩出するトニービン産駒であるジャングルポケット、NHKマイルカップを快勝したクロフネに次ぐ三番人気であった。
レースでは後方から上がり最速で追い上げるが、やはり上がり最速で外→内→外を切り裂き突き抜けたジャングルポケットに屈し2着となった。
春の好走で秋は期待される立場となったのだが、神戸新聞杯ではクロフネ(3着)のみならず夏の上がり馬エアエミネム・サンライズペガサスに屈し4着。
菊花賞では2番人気に推されるが、遅れてやってきた関東のエースマンハッタンカフェに敗れ5着。長距離よりマイル向きなのかということでマイルチャンピオンシップに出走。しかし2000年世代の○外の壁は厚く5着。
このまま休養に入ることとなってしまう。結局第三の男という評価から抜け出し切れないままであった。
4歳春は京王杯スプリングカップから始動するが、1400mは流石に短かったからか4着、安田記念では外から追い込むも、重篤な骨折後の大スランプを越えたアドマイヤコジーンの執念に屈し2着。
なんとも勝ち切れないレースが続いたが、宝塚記念では一番人気に応えGⅠ初勝利を挙げた。
しかし、マンハッタンカフェは遠征に備え休養、ジャングルポケットは持病の腰を悪化させ休養など有力馬に回避が相次ぎ、GⅠ馬はかつての二冠馬エアシャカールのみ(他は同年秋にマイルCSを勝つトウカイポイントや2年後の安田記念を勝つツルマルボーイがいる程度)、
3着に3歳馬のローエングリンが逃げ粘るなど、レベルに若干の疑義を呈されるレースとなってしまった。
念願のタイトルを獲得したが、その後は毎日王冠5着から2戦連続で2桁順位と低迷。
5歳春は読売マイラーズカップ→天皇賞(春)→新潟大賞典と2週に1回重賞に出るという強行ローテを敢行。
4着→5着と復調の様子を見せた後、久々に1番人気に推された新潟大賞典で復活の勝利を挙げた。
その後は安田記念5着をはさみ、前年度王者として臨んだ宝塚記念で7着に敗戦。秋に再起を賭けたが調整中に屈腱炎を発症し「引退」となった。 当初は種牡馬入りの予定であり、そのように報道もされていた。
落魄の旅路
しかしながら、彼に安息は訪れることはなかった。種牡馬としてのオファーがないまま行方不明騒動が起こるなどして一年間を過ごし、「屈腱炎が治った」ということで地方競馬で再び競走馬に復帰するという噂が出始めたのである。
当時の人は「グルメフロンティア復帰事件」の事もありこの噂を信用していなかったが、話が進むにつれ今度のダンツフレームの復帰は事実である事が明らかになった。レベルが高い方の南関東で一旗揚げ、種牡馬入りオファーを受けるのが目的であった。
しかし8ヶ月以上出走していなかったため、実績作りのためにまずは九州・荒尾で一戦して2着した後浦和に移籍。
浦和記念や東京大賞典、川崎記念に挑むが全く勝負にならず。悲しいかなダート適性がなかったか、屈腱炎が全盛期の力を完全に奪い去ったのか…ともかく地方所属としては腰掛けの荒尾ですら勝てないまま今度こそ本当の「引退」となった。
この惨敗で種牡馬のオファーが来るようになるはずもなく、乗馬として第二の馬生を送るかに思えたが…新天地に移ってわずか2ヶ月後肺炎をこじらせて死亡した。享年7歳であった。川崎記念の時点で体温が安定していなかったそうだが、あまりにも治りが遅かったため検査したときには手のつけようがなかったという。
綺羅星の如く名馬の揃った2001年世代の準エース格でありながら、種牡馬としても大活躍したマンハッタンカフェ・ジャングルポケット・アグネスタキオン・クロフネらと扱いがこうも変わってしまうのは、寂しい限りとしか言いようがない。
上記4頭は実績・血統面での裏付けがあり、故にバックアップを得られたのに対して、彼は同じ父ブライアンズタイム直仔の種牡馬であるナリタブライアン、シルクジャスティスら失敗していたり
なおかつ母系も地味、さらに馬体もブサイクという三重苦では人気が出ないから種牡馬オファーが出しにくいと敬遠し、それを覆すほどの能力も証明できなかった…と考える生産者のロジックからするとこの扱いも致し方なしと言える。
実際、ブライアンズタイム産駒で種牡馬として活躍したといえるのはマヤノトップガンとタニノギムレットくらいである。
早逝したナリタブライアンは若干評価しにくいが残された産駒を見る限り高望みは出来なさそうだし、
母系が地味で馬体がブサイクという共通項を多数持つシルクジャスティスは上位で見かけたのがバシケーンくらいであった。
ファンの感傷のみで生産者サイドを責めるのはちと酷かも知れない。
今となっては悲運としかいいようのない最期を迎えてしまったという事実だけが、虚しく残っているのみである。
血統表
*ブライアンズタイム Brian's Time 1985 黒鹿毛 |
Roberto 1969 鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Ranavaio | Nashua | ||
Rarelea | |||
Kelley's Day 1977 鹿毛 |
Graustark | Ribot | |
Flower Bowl | |||
Golden Trail | Hasty Road | ||
Sunny Vale | |||
インターピレネー 1990 鹿毛 FNo.4-d |
*サンキリコ 1985 黒鹿毛 |
*リィフォー | Lyphard |
Klaizia | |||
Nell's Briquette | Lanyon | ||
Double's Nell | |||
モンテマリア 1981 鹿毛 |
*ネヴァービート | Never Say Die | |
Bride Elect | |||
キネウスマリア | *ロムルス | ||
*リアドロ |
クロス:Ribot 4×5(9.38%)、Big Game 5×5(6.25%)、Nasrullah 5×5(6.25%)
3代母キネウスマリアの半姉モンテオーカンの仔に、ともに天皇賞(春)を制したモンテプリンス・モンテファスト兄弟がいる。
関連動画
上動画の12:17~に4歳の時の宝塚記念の直線実況の切り抜きがある。Full動画はニコニコにないのでYouTubeの公式動画参照。
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関連項目
外部リンク
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