ポストアポカリプス(英:Post-apocalyptic)とは、フィクションにおけるジャンルの一つである。
ドットをうち「ポスト・アポカリプス」と表記されることも。また、数は少ないが「アフターホロコースト」「アフター・ホロコースト」という名称もある。
「終末の後」と示す通り、何らかの原因により人類文明が壊滅した後を舞台とする。日本においては「北斗の拳」「世紀末」が最もイメージしやすいだろう。wikipediaでは「終末もの」とも呼ばれる。
概要
現代社会は衣食住の安定、医療の普及や法律の制定など、あらゆる不安を取り除き多くの人が住みよい環境が整備されている。しかし、文明の崩壊はそのあらゆる「安心」が一挙に消失することで、常に暴力や資源の枯渇といった不安にさいなまれる極限状態へと追い込まれることになる。加えて、壊滅的な被害により既存の統治や利権は失われており、それにまつわるいざこざが新たな争いの火種となることも多い。
原始社会に逆戻りした不便な生活、暴行や殺人が咎められない野蛮かつ非倫理的な舞台が展開されるが、フィクションとは言え現実でも起こりうる世界であるため、他人ごとではないリアリティや緊張感を受け手は感じることになる。
電気もガスも水道も止まり、食料は底をつきコンビニは空っぽ、警察もおらず怪しい連中や怪物がウロウロしている無法地帯。貨幣はもはや意味を成さず夜は真っ暗、救助のアテなんて端から存在しない。そんな世界がどれだけ恐ろしいかは想像に難くないだろう。
価値観の違い、世界観のロマン
一方で、文明の利器を失い絶望的な状況に陥りながらも生存をかけたドラマを展開することで、現代社会の価値観や倫理性、生きることの意義や生命の価値を改めて問い直す作品も存在する。
また逆に、人類が滅び災厄が過ぎ去った後の平穏な世界で主人公たちがほのぼのとした生活や冒険を送る「心地よい破滅」と呼ばれるような作品も見られ、決して殺伐だけに留まらない幅広い可能性を秘めたジャンルと言える。文明崩壊がさらに遠い過去の時代の設定である場合、我々のよく知る建物や物体がその時代の人々から遺跡・化石扱いされたり、実際とは違う解釈をされたりというパターンもある。
作中序盤で平和な世界や日常が崩壊していく様子が鮮明/断片的に描かれる場合も多い。
時を経て劣化、もろくも崩壊した建物や世界観が悲しい美しさを感じさせるのも魅力のひとつ。
原因
文明が滅びる原因は作品により異なるが、隕石の衝突、大災害(天変地異)、資源の枯渇、種族の寿命など自然発生的なものから、世界規模の核戦争勃発、生物兵器として開発された致死性ウイルスの蔓延[1]、致命的かつ広範囲の環境汚染といった人為的なもの、知能生命体や巨大化生物の侵略・大量出現による人類淘汰まで多岐にわたる。
ただし作品によってはそもそもの明確な原因が言及されないことも多々あるが、
途中で語られる、推測する、映像などの記録として残されているといったパターンもある。
世界中が崩壊している訳でなく、一部の国や地域のみ崩壊しているパターンもあるが
脅威の封じ込めに失敗し、結局は世界中に伝搬してしまい総崩れになるパターンも珍しくない。
被害の拡大・事態収束の困難化
地上の危険地帯化
- 致死性ウイルス・環境汚染などが原因の場合、曝露の危険を顧みず行動する必要も出てくる。
- ゾンビや暴徒といった脅威が跋扈している場合、移動手段を問わず危険。
- 道路が交通事故・渋滞・乗り捨てられた車両や障害物・バリケードで塞がれている。
- インフラが停止しており、限られた照明で夜道・地下道や崩壊寸前の建物を通る必要も出てくる。
- 暗闇でも明かりや音は目立つため、脅威に存在を知られ奇襲される危険もある。
- 基本的に上空は安全とはいえ、運用が不可能・不安定となる事態も想定される。
解決策の喪失
致死性ウイルスが原因の場合、感染者が無防備な医療機関に担ぎ込まれることで、医療従事者が感染・死亡し、原因の特定や特効薬の研究開発が困難になる。また優秀な医師や研究者が生存していても有効な連絡手段のない場合は居場所の特定が困難。
ゾンビ等の脅威が原因の場合、上層部が状況を信じなかったり責任問題を恐れ発砲を許可しない、感染者に入り込まれる、数の暴力に押し負けるといったパターンも多い。突然変異など想定外の脅威によって多数が犠牲になる場合もある。
稀に残された人員・装備をかき集め、脅威を打破すべく籠城して作戦を練っている場合もある。
前述のように地上が危険地帯化することで、問題解決の鍵を握る人物の位置座標が判明しても救助は容易でなく、人員・弾薬の消耗を強いられる場合がほとんど。
残りわずかな文明
電気や原材料の輸送は止まり製造工場や機械は稼働しないため、物資の新規製造は困難である。
作品の世界観(文明崩壊からの経過年数)にもよるが、文明が崩壊=文明の利器が全て失われたとは限らず、燃料・弾薬が残っているうちは乗り物や近代兵器が使えたり、あるいは技術ある者がありあわせの資材で機械類を自作・復旧させ起動させることで物語が転機となる場合もある。…ただしさすがに個人の電力は発電機程度が精一杯だし、将来を見越して有限な燃料や弾薬は節制を余儀なくされる。
厳密には燃料にも使用期限(数か月~半年)があるため
あまりリアルを追及すると、1年以上後に乗り物が平然と動いているのに突っ込んではいけない。
文明・物資の奪い合い
手つかずの物資・食料・燃料・武器弾薬といった保管庫・貯蔵庫が見つかる場合もあるが、何かしらの問題が起きている場合も多い。
悲しい結末
- トラブルや戦闘によって物資が使用不能になっている/なってしまう
- 中に入れたは良いが施設周囲を脅威に囲まれてしまい、脱出が困難になる
- 目標は達成できたが、貴重な仲間や装備を失う、多くの弾薬を浪費してしまう
「貯蔵された物資が十分に残った状態で全て使えなくなった」…といった悲しいパターンも珍しくない。よく探すと物陰や隙間に落ちていたり、容器やボックスの中で別個保管していたことで運よく難を逃れたアイテムが少数手に入る場合もある。
目的
- 生存(サバイバル)、自給自足。
- 離れ離れになった家族・恋人などと再会する。
- 安全な水や食料、生活必需品、合成素材、武器、燃料、建設資材といった物資の探索・補給。
- 脅威からの逃避・防衛、またそれらを偵察、警戒、撃退、根絶する。
- 安全な場所を求める。(不確定な情報である場合も多い)
- 問題を解決する。
ポストアポカリプスを描いた主な作品
漫画・アニメ
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ゲーム |
映画・書籍 |
その他 |
関連静画
関連項目
脚注
- *ウイルスによって理性を無くし、ゾンビなど異形化した人間や動物なども含む。
- *舞台となる惑星は人類滅亡後の地球と思われる要素が散りばめられているが、公式には謎の惑星ということになっており地球とは明示されていない。
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