命蓮寺(みょうれんじ)とは、「上海アリス幻楽団」制作の弾幕STG「東方Project」内に登場する寺院の名称である。
幻想郷において聖白蓮が開いたお寺、またはその勢力を指す。
人間の参拝者も多く訪れるが、妖怪寺であり住職の白蓮を始め関係者は全て妖怪で構成されている。
白蓮の弟である僧侶、命蓮(みょうれん)からとって名付けられた。
「白蓮寺」でも「命蓮(めいれん)寺」でも「妙蓮寺(法華宗の実在する寺院、読みが同じだけで関連性はない)」でもないので注意。
本尊は毘沙門天(寅丸星が代理)、作中で「宗派は不明」とされている(宗派についての考察は下記の該当項目を参照)。
概要
村紗水蜜の聖輦船が変形し、洩矢諏訪子が地ならしした土地に上陸することで、人間の里近くに誕生したお寺。
元々は妖怪を救うために開いたお寺であったが、人間も分け隔て無く受け入れている(ただし宝目当ての人間や、人間や墓場の死体狙いの妖怪の入信は断っている)。一切の殺生を拒み、悟りを開くため修行している。宝船が変化した縁起のいいお寺として、早くも里の人間の信仰を集めている。よって、博麗神社にはますます人が来なくなった。
命蓮寺が出来た次の秋にはもう縁日が開かれ、わたあめ、風車、りんご飴などを楽しそうに持ち帰る人妖が描写され、霧雨魔理沙曰く「(博麗)神社ではあんなに賑わったのを見たことない」というくらいの賑わいをみせた。(命蓮寺には厳しい目を向けているはずの)稗田阿求まで縁日に出向いており、この時期にはすでに人間の里で一定の市民権を得ていたようだ。(東方三月精 第3部5話より)
東方神霊廟では、命蓮寺の地下にあった夢殿大祀廟が舞台となっている。聖白蓮はこの場所の地下に何者かが埋まっていたことをナズーリンから報告をうけていた。調査後、危険な存在が眠っていることを知り、聖は復活を阻止しようと力をつくしたが、抑えきれず、東方神霊廟のストーリーが始まった。異変解決後も、命蓮寺の地下には夢殿大祀廟が残っている。神霊廟メンバーは外に神霊廟をつくり、そちらに居を構えたため、夢殿大祀廟はそれ以後は無人である。
ちなみに聖白蓮は戒律をかなり厳格に守っており、弟子たちも飲酒(般若湯も駄目)や肉食を禁じられている。弟子たちがこっそり戒律破りしているのはないしょ。
東方憑依華での魔理沙のセリフから、命蓮寺は順調に檀家を増やしているとのこと。
設備と外観
命蓮寺の設備とその外観の一部は、東方神霊廟、東方心綺楼、東方深秘録、書籍などで確認できる。
人間の里近くの平地にあるお寺である。(東方三月精 第3部12話の描写、東方星蓮船のEDより)
- 参道
- 石畳が敷かれ、その両脇には等間隔で石灯篭が設置されている。厳かな雰囲気ながら綺麗に整備されている。幽谷響子が良くここで掃除をしている。東方神霊廟 ステージ2の舞台。
- 山門
- 瓦葺の小さいながらも立派な山門。山門に仁王像などの設置はない。門の両脇には石塚が一対ある。何が書かれているのかは不明。石畳は山門の外から境内の中まで続いている。(東方三月精 第3部12話、東方茨歌仙 第9話の描写)
- 鐘楼
- 境内には鐘楼があり、大きな鐘がある。その音は幻想郷の広範囲に届くようで、博麗神社でも聞こえることが確認されている。大晦日には除夜の鐘が鳴らされる。(東方三月精 第3部12話の描写)
- 本堂
- 本堂の前にはゆるやかな石階段があり、階段の両側には「奉納 毘沙門天王」と白字で書かれた赤い旗が多数立てられている。本堂の前には賽銭箱があり、本坪鈴(お参りする際に、綱をゆすってガラガラと鳴らすあれ)もある。左右の外柱にはそれぞれ看板が設置されており、本堂に向かって左の看板には「毘沙門天王」、右の看板には「命蓮寺」、と縦に書かれている。(東方心綺楼、東方深秘録、東方鈴奈庵 第三十四話の描写)
- 千体地蔵
- 命蓮寺のいたるところに多数のお地蔵様が安置されている。確認できる範囲でも、山門付近の参道の周囲、鐘楼の周囲、本堂の左手後方に見ることができる。(東方三月精 第3部12話の描写、東方心綺楼、東方深秘録)
- 墓地
- 境内の外に墓地がある。この墓地は命蓮寺が新しく作った物で、比較的きちんと管理をしてくれると人間の里でも評判とのこと。多々良小傘が良く出没する。東方神霊廟ステージ3の舞台。なお、人間の里の外にはこちらとは別に命蓮寺ができる前から使われている共同墓地がある。(東方求聞口授)また、人間の里の中にも塩屋敷の敷地内に墓地があることが確認されており、長者ともなると敷地内に一族の墓を作るケースもあるようだ。(東方鈴奈庵 第三十六話の描写)
- 夢殿大祀廟
- 命蓮寺の地下にある。正確には寺の設備ではない。東方神霊廟の舞台であり、異変解決後は無人。東方神霊廟のステージの流れから、入るには墓地を経由する必要があると推測される。
構成メンバー
当初の命蓮寺は外の世界からの仲間であった聖白蓮、寅丸星、村紗水蜜、雲居一輪&雲山、ナズーリンで構成されていた。東方星蓮船EXステージ後に封獣ぬえが新たに入信。多々良小傘は命蓮寺に入信はしていないが、人間を脅かすのにちょうど良いと命蓮寺の墓地を主な活動場所としたため、準メンバーのような立場といえる。
東方神霊廟では幽谷響子が修行者として加わり、二ッ岩マミゾウを封獣ぬえが独断で(本人は聖を助けるつもりだった)呼び寄せてそのまま居候することになった 聖「ぬえったら余計なことを…。」
二ッ岩マミゾウは命蓮寺が謎の存在に襲撃された事件において、(誤解ではあったが)犯人であると考えた博麗霊夢に命蓮寺を代表して直談判に訪れるなど、居候の身ながら命蓮寺のために行動している。
求聞口授では聖が古明地こいしのこころを閉ざしている面を「悟り」の境地に至っていると解釈して勧誘した。こいしも宗教に興味があったので命蓮寺の修行者となった(在家入門のためよく出かけている)。
東方心綺楼では異変が解決した後、秦こころが修行にやってくるようになった。
東方憑依華では依神女苑が命蓮寺で修業することとなった。最後は逃げ出してしまったが、修行により得るものがあったようで、良い変化が生じたようである。
他に黒谷ヤマメや火焔猫燐も入門希望をしていたが動機が不純だったためにお断りされている。
現在の構成メンバーは以下の通り。(他勢力との掛け持ちや実質的には在野である者も含む)
- 住職: 聖白蓮
- 本尊代理: 寅丸星
- 出家修行者:村紗水蜜、雲居一輪&雲山、封獣ぬえ、幽谷響子
- 在家修行者:古明地こいし、秦こころ
- 一時修行者:依神女苑(結局、逃げてしまった)
- 関係者:ナズーリン(星の部下)、二ッ岩マミゾウ(居候)、多々良小傘(墓によく出没)、高麗野あうん(博麗神社所属だが、お寺にもよく出没する)
幻想郷のおける勢力としての命蓮寺
命蓮寺は、仏教寺院であり宗教勢力という側面もある。『人妖平等』を掲げており、人間の味方でもあるが、(弱者)妖怪の味方でもある。妖怪も仏教に教化できれば、人を襲わなくても存在しえるようになれる、というのが命蓮寺の教義である。したがって、妖怪と人間の両方に布教を行なっている。妖怪を対象とした法会の様子が文々。新聞に掲載されたことがある。
人間に対しては縁日や除夜の鐘、御開帳などのイベントで参拝客を集めたり、墓地経営を行い好評得たり、里で終末論が広まった際には新たに地蔵を設置して信仰を得たりと、布教(及びビジネス)に余念がない。
東方心綺楼の「宗教戦争」にも仏教勢力として参戦、神道の博麗神社、道教の神霊廟と相対し、信仰を奪い合った。
他勢力等との関係
博麗神社
博麗霊夢は命蓮寺を商売敵(主にお賽銭の争奪相手)として強く警戒しており、命蓮寺がイベント(縁日や除夜の鐘など)を開催して参拝客を集めていると聞くと、対抗心を露にすることも多い。
命蓮寺の教義に関しては、博麗の巫女として特に思うところは無いようで、危険視も問題視もしていないらしい。霊夢にとっては基本的にはただの商売敵であり、それ以上でもそれ以下でもないようだ。むしろ、「まあ、命蓮寺のおかげで妖怪による被害が減ったというのは事実みたいね。少し歯がゆいけど。」(東方外來韋編)と評価する発言もしている。
心綺楼では命蓮寺と相対したが、最後は白蓮、神子と共闘するシーンもみられた。
なお、当初は商売的に押されぎみ(?)だった博麗神社だが、茨歌仙や鈴奈庵では積極的にイベントを開催したり新たなビジネスを始めるなど、お金儲け信仰集めに勤しむ様子も見られる。それにより、一時的にではある博麗神社が参拝客で賑わうことも珍しく無くなっている(長続きはしないので、すぐに平常運転に戻ってしまうが…)。
茨歌仙第四十四話では、命蓮寺のイベント(涅槃会)に早苗と共に介入。半ば強引に特等席で出店を開いている。
守矢神社
東方星蓮船では東風谷早苗が異変解決に関わっており、EDでは洩矢諏訪子が命蓮寺を開くのに協力した経緯がある。
守矢神社の二柱(神奈子と諏訪子)は信仰が存在や力に直結するため、信仰そのものを得ることに主眼を置いているようである。守矢神社は妖怪の山の妖怪から一定の信仰を得ており、人間の里では早苗が布教(とビジネス)をしている様子が見られる。原作において直接的な描写はないが、この点において命蓮寺と競合していると推測される。
八坂神奈子は寅丸星(毘沙門天の化身)を当初は警戒していたようで、信仰を集める存在には敏感であることが伺える。神奈子は聖白蓮に関して「長きにわたって妖怪から信仰を得ていたことは関心ね。宗教は違えどライバルね」(東方外來韋編)と発言している。
なお、神奈子のスタンスとして他宗教(仏教、道教)と争っても信仰は増えないとの考えから、心綺楼の「宗教戦争」には参加しなかった。その後、里と守矢神社を結ぶロープウェーが開通したことから、他の宗教勢力との布教争いも激化することが予想される。
茨歌仙第四十四話では、早苗が霊夢と共に命蓮寺のイベントに介入し、強引に出店を開いている。
地底(旧都、地霊殿)
雲居一輪&雲山、村紗水蜜、封獣ぬえは東方星蓮船の異変以前は地底にいたため、地底妖怪とは元々面識がある可能性がある。少なくとも、古明地こいしは村紗水蜜と雲居一輪を地底で見かけて知っていたようだ。
東方神霊廟の異変が始まる前、命蓮寺の墓地に宮古芳香が出没した際には、火焔猫燐に通訳をしてもらったことがある。
東方求聞口授の後、古明地こいしが在家として入信、断ってはいるが黒谷ヤマメ、火焔猫燐も命蓮寺への入信を希望した経緯があり、何かと地底とは関連が深い。
憑依華によると、こいしを探しに古明地さとりが命蓮寺を訪れたこともあるようで、こいしの命蓮寺入信について、さとりも容認はしているようである。
神霊廟
幻想郷各勢力の中でも、命蓮寺と一番因縁のある勢力。聖白蓮は危険な何者か(豊聡耳神子)が眠っていることを知り、それを抑えるために夢殿大祀廟の真上に命蓮寺を建て、神子が復活するのを抑えようとした経緯がある。
東方神霊廟では、霍青娥が霊夢に白蓮こそが「悪の大王」であり神子が「妖怪を滅してくれるでしょう」と発言、封獣ぬえが神子の復活に強い危機感を抱き白蓮に無断で二ッ岩マミゾウを外の世界から急遽呼び寄せるなど、決戦前夜ともいえる不穏な空気となっていた。
が、結局、求聞口授の宗教家鼎談まで白蓮と神子はお互いにコンタクトを取らなかったようだ。鼎談の中では思想の違いから対立する場面もあったものの両者とも和やか(?)に話をしていた。
東方心綺楼では、神霊廟は道教勢力として参戦、両勢力の直接対決も実現した。作中では、白蓮のストーリー中に布都に負けると、布都が命蓮寺に火をつけようとする旨の発言をするなど(白蓮も布都の事は警戒してる様で、対戦の勝利時には防火対策の発言をしている)、少々物騒な場面もあった。ただ、基本的にトップ同士は負けた側が勝者を称え、最後の最後で白蓮と神子(と霊夢)が共闘する場面もあるなど、対立関係からライバル関係へと昇華していく。
さらに東方深秘録では、馴染みの勝手知ったる間柄といった様相で、相対する場面でも相手へのリスペクトが垣間見られるなど、絶妙なライバル関係となっていた。
その後の東方憑依華では、トップの聖と神子、部下の一輪と布都がタッグを組み命蓮寺と神霊廟が協力して異変解決にあたるなど協力関係に発展。聖も神子も相手を信頼していることを匂わせるを発言をしたり、一輪も布都も相手勢力のトップである聖及び神子に敬意を払っている様子が見受けられ、両勢力はかなり近しい間柄となっていた。
宗教勢力としての神霊廟は、神子が当初は基本的に布教したり信仰を集めたりということにはあまり関心がないと発言していた。しかし、東方憑依華で普段からイベント等に出かけて支持を集めるために演説をするなどの「営業」を積極的にしていることが判明。ただし、「信者集め」ではなく「支持者集め」と発言しているあたり、宗教家としての行動だけでなく政治家としての行動という意味もありそうである。
東方文果真報では里で「健康いきいき講座」を開くなど、神子自ら地道な活動を行っている。
憑依華では魔理沙、一輪、針妙丸に対して自勢力に来るよう勧誘するなど、「営業」とあわせて拡大路線に突き進んでいるようである。
伊吹萃香
東方茨歌仙(9話)において、挨拶無しに勝手に寺を建てたという理不尽な理由で命蓮寺のメンバーを襲撃した。幽谷響子、多々良小傘、村紗水蜜、雲居一輪が失神させられる被害が出た。
その際、萃香は姿を見せなかったため、襲われた当人達は誰に襲撃されたかわからなかった。そのため、解決に乗り出した二ッ岩マミゾウが霊夢を疑うなど、騒ぎが他にも波及した。ちなみに、命蓮寺と萃香の間でこの件がどのように解決したのか(しなかったのか)は原作では明らかにされなかった。
永遠亭
PS4版東方深秘録エクストラステージにて、白蓮自らが永遠亭に単独で乗り込むシーンがある。これは都市伝説異変に月勢力が関わっていることを察知したことによるものだが、異変中とはいえ一勢力トップとしてはなかなか大胆な行動である。
結局、鈴仙と会話(と戦闘)しただけでとりあえず納得し、永琳や輝夜と直接会うことはなかった。このシーンとは別に、鈴仙が言うには永琳に「寺とはうまくやれ」と言われてるとのこと。
ただし、「死の匂いがするから余りお屋敷に近づけるなとも言われた」としており、墓地を取り仕切る寺の穢れを嫌う月人の傾向が見て取れる。
妖精
東方三月精によると、「お寺は生への執着を薄れさせる場所であり、生命の象徴である妖精がお寺を住処にすると消滅する危険がある」(要約)とあり、命蓮寺は妖精の住処には適さないようだ。
光の三妖精が命蓮寺を訪れるシーンやチルノが命蓮寺で修行しているシーンが過去にあったり、命蓮寺参道が舞台の東方神霊廟ステージ2においてモブ妖精が多数登場したりしていることから、妖精が命蓮寺に近づいたら即消滅するということはないようである。
東方天空璋における四季異変では、命蓮寺周辺は妖精が少ないため影響が限定的だったとの説明があり、妖精がお寺を苦手にしているのは間違いないようである。
月の都
命蓮寺は、東方儚月抄より後に登場した勢力であり、また東方紺珠伝は妖怪は異変を感知できないという特性があったことから、月の都と関わることはなかった。
しかし、PS4版深秘録エクストラ及び憑依華で都市伝説異変の原因は月の都にあり、その発端は稀神サグメにあることが露見した。同じ流れで事実を知った神子同様、聖も月の都との因縁が生じたことになる。
紅魔館
秘封ナイトメアダイアリーにおいて、夢世界のレミリア及びフランドールと夢世界の聖が合同で自機の菫子と相対する場面がある。夢世界では引き籠っているフランドールを聖が外に引っ張り出しているとのこと。
あくまで夢世界においての接点だが、東方では夢世界と現実世界は密接にリンクしているため、この繋がりは現実世界の関係性にも何かしらの影響を与えている可能性がある。
直接の絡みはないが、十六夜咲夜は東方茨歌仙およびThe Grimoire of Usamiにおいて、聖白蓮の能力を高く評価する発言をしている。
宗派についての考察
命蓮寺の仏教における宗派については、東方憑依華で「宗派は不明である」とされた。ここでは様々な事柄から、宗派に関連する事項を箇条書きであげる。
- 東方星蓮船の元ネタは奈良県にある朝護孫子寺に伝わる「信貴山縁起」(詳しくは東方星蓮船の記事を参照)
朝護孫子寺は信貴山真言宗の総本山である。 - 心綺楼における聖白蓮の二つ名「霊長類を越えた阿闍梨」
阿闍梨とは密教(日本では真言宗と天台宗)において僧侶に与えられる称号、地位の名称。 - 法力「至宝の独鈷杵」(寅丸星:星蓮船)、心綺楼にて聖白蓮が使っている物に「三鈷杵」、光符「インドラのヴァジュラ」(聖白蓮:東方深秘録)
これらは密教で使われる法具の名称。 - 吉兆「極楽の紫の雲路」(聖白蓮:星蓮船)
浄土教(浄土宗、浄土真宗、時宗など)では、阿弥陀如来は紫雲に乗って臨終者の元に現れて極楽に導く、とする信仰がある。 - 習合「垂迹大日如来」(聖白蓮:ダブルスポイラー)、天符「大日如来の輝き」(聖白蓮:心綺楼、深秘録)
大日如来は真言密教(東密)において最高仏と位置づけられる。また、もう一つの密教宗派である天台宗(台密)でも大日如来は拝まれている。 - 感情の摩天楼(星蓮船6面ボス曲:聖白蓮のテーマ曲)
感情(かんじょう)は密教の儀式である灌頂(かんじょう)と掛けていると考えられる。 - 東方星蓮船のセリフや設定、元ネタから聖白蓮らが外の世界にいたのは10世紀ごろと推定される
この時代に存在した主な宗派には奈良仏教(南都六宗)、真言宗、天台宗がある。鎌倉仏教の諸宗(日蓮宗系、禅系宗派、浄土系宗派など)が成立したのは時代をさらに下ってからで、この時期にはまだ存在していなかった。 - 仏教経典の一つ法華経は別名「白蓮華経」。これが聖白蓮の名前の由来となった可能性がある。
法華経を日常教典として重視している宗派は天台宗、日蓮宗、曹洞宗。一方、真言宗では密教経典を優位と位置付けているため、密教経典ではない法華経は重視していない。 - 命蓮寺には墓地がある
日本では、多くのお寺が墓地を設置管理しているが、奈良仏教(南都六宗)の寺院では伝統的に葬儀を執り行うことが無いことから墓地を置くことはない。 - 幽谷響子の立ち絵に「ぎゃ~て~ぎゃ~て~」「ぜ~む~と~ど~しゅ~」とある。
これらは般若心経の「羯諦羯諦」「是無等等呪」の部分で、普段から命蓮寺では般若心経の読経が行なわれていることが伺える。
また、これとは別に文々。新聞の記事に、聖白蓮が妖怪相手の法会で般若心経を唱えている場面が載ったことがある。
般若心経は日本においては、日蓮宗と浄土真宗以外の多くの宗派で唱えられている。 - 心綺楼の豊聡耳神子ストーリー聖白蓮戦で聖が勝利すると「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」と念仏を唱える
この称名念仏を日常的に行うのは主に浄土系宗派(浄土宗、浄土真宗、時宗など)。また、他宗派の教えも幅広く学ぶこと(八宗兼学)を謳う天台宗でも念仏を唱える場面がある。ただ、このセリフには伏線があり、神子はその前の雲居一輪戦における勝利セリフで「死者に念仏でも何でも唱えていればいい。最初から敗者しか見てない宗教など要らんよ」と言っている。聖白蓮がここで念仏を唱えたのは、神子のセリフに対する返答(あてつけ)ともとれる。ちなみに、同作聖白蓮ストーリーにおける神子戦での勝利セリフでは「南無三宝南無三宝」と唱えており、こちらは特に宗派を限定する内容ではない(これは汎用勝利セリフにも使われている)。 - 御経「無限念仏」(幽谷響子:弾幕アマノジャク)は、日蓮宗の開祖日蓮が浄土教系宗派を批判するのに使用した「念仏無間」という言葉が元とされる。
- 東方茨歌仙における白蓮の二つ名「念仏三昧の大阿闍梨」
「念仏」は宗派により意味合いが異なる。
浄土教系宗派では上記にもあるように「南無阿弥陀仏」と唱える称名念仏を指す。
日本で「念仏」というと称名念仏のイメージが強いため、浄土教系宗派と天台宗以外では「念仏」の単語を用いることはほとんどないが、元々の「念仏」は「心の中で仏の姿を念じる」という仏教における基本的な修行を指しており、これは称名念仏とは意味が異なる。
「三昧」とは「精神を高度に集中させること、またそれにより到達した境地」をさす。
一般用語の三昧は「一つの事に明け暮れている」という意味で使われるが、これは上記の仏教用語としての「三昧」から派生したもので、本来の意味とは異なる。
つまり、「念仏三昧」は「念仏」により「三昧」の境地に到達することを意味する。「念仏を唱えることに明け暮れている」という意味ではない。
「大阿闍梨」は密教において阿闍梨の中でもさらに徳の高い僧侶の称号。 - 東方憑依華では白蓮が「日常生活が全て修行なのです」と発言する場面がある。
これは禅宗の一つである曹洞宗の教義にあたる。
他宗派でも日常生活における行動に様々な規範が求められるが、通常それらと修行は明確に区別されている。
それ以外では、浄土真宗はそもそも修行自体を否定している。 - 東方憑依華において、命蓮寺の修行の一つに「座禅」があることが判明。
座禅は「禅」の文字があることからも分かるように、禅の修行であり基本的には禅系宗派(曹洞宗、臨済宗、黄檗宗)で行われる修行。
また、八宗兼学を謳う天台宗の修行にも座禅がある。
それ以外の宗派にも座禅に近い修行はあるが、座禅と言う言葉自体は通常は用いない。
ただし、一般向けには解り易さを優先させるためか、上記の座禅修行を行う宗派以外でも一般向けに「座禅体験」を開催している寺院がある。
全体として密教系特に真言宗との関連が多めだが、それ以外の宗派と関連のある事項も多い。
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