御庭番衆とは、
御庭番衆(おにわばんしゅう)とは、漫画『るろうに剣心』に登場する組織である。
なお、この項目は単独記事のない御庭番衆メンバーのキャラクター記事を兼ねたものとする。
概要
作中に登場する隠密組織であり、江戸時代の頃は江戸幕府の組織の一つであった(架空)。将軍直属の諜報機関で他のどの隠密より戦闘術に長けた者によって構成されているいわば精鋭部隊である。
しかし、大政奉還によって組織は戦うことなく解体となる。多くの隠密たちは明治の世に新しい人生を見つけていたが、残った「戦いしか知らず、戦うことしかできない」4人は戦いの場を求めて最後の御頭・四乃森蒼紫と行動を共にし、やがて武田観柳の用心棒として雇われ、緋村剣心たちと戦うことになった。
ちなみに、史実においても御庭番という江戸幕府の諜報組織が存在しており(こちらは8代将軍・徳川吉宗の時代)、この組織をモチーフにしている。
構成員
「東京編」に登場し、武田観柳の用心棒として剣心たちと戦った4人。
なお、御頭・四乃森蒼紫については専用の記事を参照。
実写映画版には蒼紫や操、翁たちのみが登場し、4人は登場しない。
般若(はんにゃ)
CV:野島昭生(旧アニメ版)、鈴置洋孝(PS維新激闘編)、置鮎龍太郎(新アニメ版)
密偵方の上位隠密。1855年6月生まれの24歳。普段は般若の面を被っているが、素顔はいかなる顔にも変装できるよう「自分で唇を焼き、耳を落として、鼻を削いで、頬骨を砕いた」異形となっている。
第一の任務は諜報であり、いかなる顔にも変装することができる。そのため、「化け物」呼ばわりされる素顔も本人は気に入っている。加えて、蒼紫から習った「御庭番式拳法」の達人で、伸腕の術に加えて鉤爪を使うなど戦闘技術にも長けている。剣心も初見で般若の実力の高さを評価しており、恐らく蒼紫以外の御庭番衆では一番の手練れである。蒼紫も自らの右腕として信頼を寄せている。
貧しい農村の出身で、幼少時代に口減らしのために親に殺されかけ、生き残って放浪していたところを蒼紫に救われる。そのため蒼紫に対する忠誠心が厚く、似たような境遇である高荷恵のことは気にかけていたが、彼にとって優先すべきなのは組織であり、蒼紫の命令なのであえて見て見ぬ振りをしていた。
密偵方としてはかなり有能で、諜報活動をおこなうのに重宝されそうだが、素顔がグロいことが仇となって士官の話は舞い込まず、仲間たちと共に蒼紫と共に戦いの場を探すこととなった。
かつては先代御頭の孫娘である巻町操の世話役をしており、操からは「般若くん」と呼ばれ懐かれている。般若も葵屋を離れる際は操のことを案じていた。ちなみに操に拳法を教えたのは般若である。
観柳の屋敷に乗り込んできた剣心と交戦し、伸腕の術と拳法で翻弄するが、術が見破られてからは剣心に及ばず、敗れている。その後、観柳のガトリングガンで危機に陥った蒼紫を救うために自ら囮となり、剣心が逆刃刀を拾う時間を稼ぐために全身に銃弾を浴び、絶命。
死後、「京都編」で鎌足の攻撃を受け意識を失いかけた操のもとに霊となって現れ、剣心が「蒼紫を必ず連れて帰る」という操との約束を守ったことを告げている。蒼紫が帰って来る事を告げられた操は激痛を堪えながらも奮起して、薫との共同戦線で鎌足への反撃を開始した。
モチーフは『エレファント・マン』と『蜘蛛男』で、性格上のモチーフは新選組の山崎燕、デザイン上のモチーフはガイコツ。
技
式尉(しきじょう)
CV:中田和宏(旧アニメ版)、大塚明夫(PS維新激闘編)、稲田徹(新アニメ版)
本丸警護方の上位隠密。1843年11月生まれの36歳。ムキムキの筋肉と巨体、体中の傷跡が特徴的。
元々は討幕派の薩摩藩の隠密だったが、密命によって江戸城探索をおこなった際に当時まだ13歳だった蒼紫に敗れ、蒼紫からの誘いを受諾したことで御庭番衆の一員となった。元々筋力に恵まれており、それを御庭番衆に伝わる秘薬によって強化したことで無敵の筋力を手に入れている(早い話がドーピング)。
もっとも藩を裏切った過去があるため裏社会でしか生きることができなくなった。
戦闘スタイルは御庭番衆の秘薬によって強化された肉体を駆使した肉弾戦が主体。加えて、武器として巨大な鎖付き鉄球を使用する。要所で頭突きを多用し、アニメ版ではジャーマンスープレックスのようなプロレス技まで披露していた。自分の強さと肉体に自信を持っており、気に入った相手には敵であっても気に掛ける武人気質。アニメでは「いいね」という言葉を連呼し、武人っぽさが強調されていた。
般若が敗れた後、観柳邸階段の踊り場で相楽左之助と激しい肉弾戦を繰り広げる。左之助をかつての自分と同じように仲間になるよう勧誘するが拒否され、その後脳天に鉄拳を撃ち込まれて気絶し、敗北。
その後、蒼紫の危機を察して般若・左之助と共に駆けつけ、観柳のガトリングガンから蒼紫を庇い、自分の肉体を盾にする。最後に自分の肉体が機関砲に勝ることを証明し、蒼紫の役に立てたことを誇りながら死亡する。
強面だが、仲間たちの前では砕けた一面を見せ、般若の素顔を「良い来付けになる」とからかっている。また、左之助のことを本気で気に入っており、死に際に剣心に対し「あの男はお前をずいぶん褒めていたから、大事にしてやれ」と伝えている。
癋見(べしみ)
下位隠密。1848年5月生まれの31歳。身長130cmと小柄であるが、非常に身軽で音も気配もなく周囲に潜むことを得意とし、剣心ですら殺気を感じるまでは存在を気付くことはできなかった。指で鋲を弾いて敵を攻撃する「螺旋鋲」という射撃技も得意としており、毒を仕込んだ鋲によって暗殺を狙う。
他に目立った取り柄の無い一芸特化型で、純粋な戦闘能力は御庭番衆のなかでも低い。仲間たちから「格下扱い」を受けているが、時代に取り残された者同士で強い仲間意識を持ち、いざとなれば協力して事に当たる。言動がチンピラっぽく、短気で小心者だが、自分を見捨てずに仲間として迎えてくれる蒼紫への忠義を持っており、彼のためなら命がけで任務を遂行する。
当番日に逃走した高荷恵を追って彼女が逃げ込んだ賭場に姿を見せるが、たまたま居合わせた緋村剣心と相楽左之助にのされてしまい、恵を取り逃がす失態を犯してしまう。
恵奪還のために神谷道場襲撃作戦に加わり、火男の補佐的な役割を任されるが、その火男が倒されてしまって拉致が困難になり、半ば逆恨みで恵を毒殺しようと毒殺螺旋鏢を放つが弥彦に阻止されてしまう。直後、剣心にまたもKOされて捕縛されかけたところを般若に助けられる。
その後、ガトリングガンで蒼紫が観柳に撃たれそうになったところへ駆けつけ、火男との連携で観柳を奇襲するも一歩及ばず、銃撃を受けて死亡。死に際に、自分を見捨てなかった蒼紫へ感謝の言葉を述べていた。
アニメ第1作では彼が放った螺旋鏢が回転式機関砲の弾帯を詰まらせ、逆転のきっかけとなる。
ちなみに彼の死に様は、観柳の予想していなかったところから現れて観柳を狙う螺旋鏢をまさに放たんとして「くらえ毒殺螺旋びょ」まで技名を叫んだところで、「うわあ!」と観柳が咄嗟に放ったガトリングガンの銃撃を浴びて死亡、と言うもの。ギリギリのタイミングであり、観柳もこれには「ふう危ない危ない」と焦った様子であった。そのため、読者らからは「わざわざ「くらえ」とか技名を言おうとしなければ螺旋鏢で観柳倒すの間に合ってたんじゃね……?」と突っ込まれることもある。
技
- 螺旋鋲(らせんびょう)
- 鋲を指で弾いて敵に当てる技。射程距離は短いが、拳銃弾並みの威力があり、急所に当たれば致命傷にもなりうる。
- 毒殺螺旋鋲(どくさつらせんびょう)
- 曼荼羅葉の毒を塗った螺旋鋲を敵に叩きこむ技。
火男(ひょっとこ)
CV:飯塚昭三(旧アニメ版)、小村哲生(PS維新激闘編)、落合福嗣(新アニメ版)
中級隠密。1848年7月生まれの31歳。肥満体の巨体を駆使した怪力と体内にとりこんだ発火装置によっておこした火炎による攻撃を得意とする戦闘員。油を補給するために樽を背負っている。
2023年アニメ版では、全身の肌が赤く、髪は金髪がかった容姿になっている。
性格は直情的であり自信家。癋見のことは軽んじており、互いに反目し合っているものの、仲間としては互いに信頼し、いざという時は息の合ったコンビネーションを見せる。
癋見の失態を補填するために神谷道場を襲撃し、剣心と左之助と交戦。最後は左之助との対決となるが、トリックのネタを見破った左之助の特攻により油袋を引きずり出されてしまい、最後はリーチの差が仇となって敗北。癋見共々般若によって救出される。
その後癋見と共に観柳邸で休んでいたが、危機を察知し戦場に駆けつけ、蒼紫を守るべく樽に潜んでいた癋見の攻撃に繋げるための捨て駒となって観柳を挑発し囮作戦を実行、ガトリングガンで撃ち抜かれ死亡する。
なお、操からは癋見と共に実力を軽んじられている。
また、神谷道場での戦いでひょっとこの火炎吐息を剣心が逆刃刀を高速で振り回して凌ぎながら「大道芸はどちらかとくと味わえ!」「大道芸はどちらかとくと味わえたでござるか」のやり取りが印象的な曲芸対決は当時「どっちも大道芸だ!」という至極もっともなツッコミが殺到したという。そのためか、2023年放映の新アニメ版では火炎を正面から逆刃刀で空気ごと切り裂いて無力化する展開に変わっている。
技
- 火炎吐息(かえんといき)、極大火炎吐息(きょくだいかえんといき)
- 胃袋に仕込んだ油に、歯の代わりに仕込んだ火打石で着火して放つ火炎攻撃。油を使い切れば使えなくなるが、この点を補うために背中に予備の油袋を詰めた樽を背負っている。強化版は極大火炎吐息。
その後
蒼紫を救うために4人は盾となって、または陽動の末に観柳のガトリングガンによって死亡。死後、4人の遺体は蒼紫によって首が切断され、とある樹海に埋葬される。
人誅編の後は、蒼紫と操によって京都へ移され、あらためて埋葬されている。
京都御庭番衆
幕末に独自の情報網を作るため送り込まれた探索員であり、普段料亭「葵屋」を営んでいる。明治になってからは蒼紫とは行動を共にせず、平和に暮らそうとしていた。前御頭の孫である操を預かっており、翁(柏崎念至)を中心に近辺各地に情報網を残しており伝書鳩やのろしなどを使って伝達を行い、有事の際は京都の治安を守るために戦う。
隠密ではあるが、京都の住民の間で正体は周知となっており、まるでヒーローのように住民からの人気が高い。「京都編」では、剣心たちのバックアップや志々雄真実による京都大火阻止のために活躍している。
志々雄一派からも蒼紫を通じて存在を知られてはいたが、参謀役たる佐渡島方治からは「ネズミ狩には梟でも余るくらいだ」と高を括られていた。しかし夜襲専門の隠密部隊として結成し差し向けた梟爪衆は逆に、ネズミと侮っていた相手に呆気なく全滅させられ、しかもそのうち一人は捕らわれた挙句翁の御庭番衆最恐とされる拷問によって両手に五寸釘と蝋燭を打ち込まれたうえ背中には刃物で蒼紫宛の文を彫られながらアジトへ帰されるという屈辱的な敗北を喫する。
さらには京都大火を阻止するために活躍した実績から方治にもついに本格的に警戒され、十本刀率いる大部隊を葵屋へ差し向けられ抹殺を図られそうになるが・・・
「京都編」の後に蒼紫が帰還しており、「人誅編」の後に葵屋の亭主となっている。
巻町操と柏崎念至(翁)のキャラクター紹介ついてはそれぞれの専用記事を参照。
黒尉(くろじょう)
京都探索方の一員。中肉中背の恰幅のいい大男。普段は「黒」と呼ばれており、表向きの顔は葵屋の板前。
戦闘時は腕に籠手輪手裏剣(こてわしゅりけん)を嵌めて戦う。また、般若、操と同様に「御庭番式拳法」の使い手でもある。
白尉(しろじょう)
京都探索方の一員。細面の優男然とした男性。普段は「白」と呼ばれており、表向きの顔は葵屋の板前。
黒尉と同様に戦闘時は腕に籠手輪手裏剣(こてわしゅりけん)を嵌め、般若、操と同様に「御庭番式拳法」の使い手でもある。
増髪(ますかみ)
京都探索方のくノ一。普段は「お増」と呼ばれており、葵屋で仲居として働いている。
小柄な女性で髪の毛は常に束ねておいる。思慮深く、敵であっても気遣う優しい性格で自由奔放な翁や操に振り回される世話役的なポジションだが、宴会で酔っ払う翁を叱り付けるなど、葵屋従業員のなかではしっかり者である。
「隠」の字が刻まれた円形手裏剣が武器で、普段は腕に装着し楯として使用し、攻撃時はベーゴマのように備え付けてある紐を素早く引くことで投擲する。また、「御庭番式拳法」の使い手でもある。
捕縛した梟爪衆に優しい言葉をかけるが、顔に唾を吐きかけられる。
近江女(おうみめ)
京都探索方のくノ一。普段は「お近(おちか)」と呼ばれており、葵屋で仲居として働いている。
凛々しい雰囲気の美女で、抜群のプロポーションの持ち主。普段は髪の毛を結っているが、戦闘の時には解き、垂らしている。
武器はブーメランのような性質を持つくの字手裏剣。「御庭番式拳法」の使い手でもある。
戦闘時の装束の露出度が1人だけ高く、『餓狼伝説』の不知火舞を思わせるものがある。
助っ人として葵屋に現れた比古清十郎に一目惚れし、側に付き添っていた。
その他(余談)
- 劇場版アニメの主題歌を歌った「アニメタル」が手掛けた『るろうに剣心』ライバル達のキャラクターソングでは蒼紫と並んで何気に般若だけ、御庭番衆の一員でただ一人キャラソンが歌われている。
- 「京都編」で登場する十本刀の一角・飛翔の蝙也(刈羽蝙也)は当初は御庭番衆の一員「天狗」として制作された人物だったが、登場させる機を逃してしまい後に十本刀として改めて登場したという裏話がある。
関連動画
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 二重の極み
- 相楽左之助
- 緋村剣心
- 佐渡島方治
- 四乃森蒼紫
- 駒形由美
- 志々雄真実
- 巻町操
- 神谷薫
- 悠久山安慈
- 魚沼宇水
- 瀬田宗次郎
- 明神弥彦
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- 外印
- 鵜堂刃衛
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- 飛天御剣流
- 斎藤一(るろうに剣心)
- 石動雷十太
- 戌亥番神
- 沢下条張
- 月岡津南
- 不二(るろうに剣心)
- 武田観柳
- 高荷恵
- 塚山由太郎
- 柏崎念至
- 阿武隈四入道
- 刈羽蝙也
- 夷腕坊
- 尖角
- 十本刀
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