超新星(ちょうしんせい、Supernova)とは、
英語のSupernova(スーパーノヴァ)の直訳。英語で超新星爆発はSupernova explosion。
概要
太陽が8個分を約1034gとすると、その重さより大きい恒星が、星の進化の果てに起こす爆発的でドラマチックな天文現象である。
物質的な進化が進んだ星であるはずなのに、「新星」というのは、「新星」の発光現象がまるで新しい星が生まれたかのように見えたためである。
そのため、当初は、強い光をまとめて「新星(Nova)」と呼んでいたが、のちに特に強い光を放つものを「超新星(Supernova)」として分離するようになった。
つまり、以前から知られていた新星現象よりさらに明るいという意味で超新星と言う。
人の目で確認できるくらい明るくなり、昔の文献に記載されている。
超新星爆発はブラックホール生成とも関連がある。
もしかしたら近いうちに(と言っても誤差はあるが)、超新星爆発を起こすのではないかと考えられているのは、オリオン座のベテルギウス(Betelgeuse)である。
より詳しく知りたい方は、外部サイトなどを参照。
目で見えるくらい少し遠くで起きたら
夜空にとても明るく輝くので、超新星そのものは、文献などに2世紀に中国で、ティコ・ブラーエやヨハネス・ケプラーも記録に残している。現象そのものが分かるようになったのは、19世紀後半である。また日本でも、「明月記」にかに星雲を生んだ、SN1054の記録がある。
天気が、曇りや雨だったら夜の星は目で見えないので、もっと超新星爆発が起きているかもしれない。
超新星の分類
宇宙の物質は、ほとんどが原子核の反応から生成される。しかし、その多くは水素である。現在の宇宙には水素が約90%、ヘリウムが約9%、次に多いであろう酸素ではもっと少なくなる。例えば、太陽系元素の存在比は水素1、ヘリウム0.1、酸素10-3、炭素10-4、ケイ素10-5、鉄10-5、鉛や金10-11くらいになる。
このような宇宙の星の構成物質を見る方法は、光のスペクトルの吸収線を見ることで分かる。超新星爆発が起こった後に残るのは、超新星残骸という星雲状の天体であるが、このようなものを観測して、超新星を分類する。
おおまかな分類となるが、スペクトルに水素が見えるものをⅡ型として、見えないものをⅠ型で分類する。
超新星爆発の発生過程
超新星爆破はおおまかに二つで分類できるが、それは星の進化の過程が違うからである。スペクトルに水素があるものは、8太陽質量より大きい恒星が中心コアが鉄まで進化が進み、星の重みに耐え切れずに爆発するが、スペクトルに水素のないものは、主に連星系が関連すると考えられる。連星をなす白色矮星に相手からの星の質量が降り積もり、チャンドラセカール質量に近づくと起きると考えられる。
チャンドラセカール質量とは白色矮星の質量の上限であり、この星は電子の縮退圧という、量子力学的な効果により星が支えられている。
次に、Ⅱ型について述べる。8太陽質量より大きい星は、鉄まで元素合成が進む。この鉄コアの半径は約1万kmであるが、重力崩壊により一気に半径が約10km程度の中性子星クラスになる。もっと重い大質量星はブラックホールになる。密度は10億倍の変化となる。この過程で約1053erg(1046 J)という重力エネルギーが解放される。
重力崩壊によって超音速で落下してくる外部コアと外層の一部が、超高密度の内部コアで跳ね返り(バウンス)が起きて、外部へ衝撃波を伝える。このとき、様々な核反応が起きると考えられていて、鉄より重い元素はこのときのs-過程(slow prosess)やr-過程(rapid process)という核融合の特別な反応経路で生成されると考えられる。
また、超新星爆発の発生過程において様々な問題がある。爆発過程のシミュレーションでは、爆発するエネルギーに達しない。つまり、爆発しないということが起きている。この解決方法として、ニュートリノ放射によって衝撃波が暖められる効果によるものや、連続体力学(一般相対論的流体力学、数値相対論)などでしか分からないような複雑な流体現象が関連して爆発するなどの試行錯誤が行われている。
そして、連星系からの超新星爆発においても未解決な問題があり、その宇宙における生成確率や、連星系を維持して爆発するにはどのようにすればよいなどが考えられている。
例えば、ある超新星残骸を観測した場合に、爆発の中心にあるはずの中性子星が、中心に存在せず、中心から少し離れた所にあるなどの観測結果がある。
ガンマ線バーストとの関係
ガンマ線バースト(gamma-ray burst,GRB)は1日に1回程度の頻度で全天からガンマ線が発生して観測される、ガンマ線で明るく輝く天文現象である。ガンマ線の観測される放射強度の変化の時間は、短いものだと数10ミリ秒で長いものだと100秒以上にもなる。
ガンマ線バーストは長い間謎の天文現象とされた。ガンマ線バーストの到来方向は全天でほぼ等方であることが分かったり、様々な星の現象が解明される中で、徐々にその物理の解明が進んでいる。
また、超新星爆発がガンマ線バーストの有力な候補であり、ガンマ線の総エネルギー量がとても多いという現象も報告されている。長い放射時間のガンマ線バーストは超新星起源であるとされていて、超新星爆発の光度から、大きな質量をもった星ではないかとされている。
宇宙遠方からのガンマ線バーストは、2000年頃にビックバンからの時間で15億年や2010年頃では8億年というものが見つかっている。
観測衛星名 | 打ち上げ日 | 重量 | 備考 |
Uhuru | 1970/12/12 | すだれコリメータ搭載、数百個のX線源の発見 | |
Einstein | 1978/11/13 | アンドロメダ銀河やマゼラン星雲などの観測 | |
はくちょう | 1979/2/21 | 96kg | すだれコリメータ搭載、白鳥座X-1の観測 |
あすか | 1993/2/20 | 420kg | X線CCDカメラ、M81銀河のSN1993Jの観測 |
BeppoSAX | 1996/4/30 | 1400kg | ホスイッチ検出器、広域カメラなど |
Chandra | 1999/7/23 | 超新星残骸カシオペア座Aや大質量ブラックホールいて座Aなど | |
XMN-Newton | 1999/12/10 | 100億光年遠くにある大質量銀河団の観測など | |
すざく | 2005/7/10 | 1700kg | 高分解能X線分光器(XRS:NASAとの共同開発) |
宇宙の距離はしご
その天体がどのくらい遠くにあるかを決めるために、指標となる天体を用いて、宇宙の距離を決める。
Ⅰa型超新星爆発は白色矮星起源であるが、おおよその質量や光度が予測できることから、距離はしごの指標として使用ができる。宇宙論的な距離を決めることができる。
ニュートリノ天文学による観測
スーパーカミオカンデ(Super Kamiokande)やIMB(Irvine-Michigan-Brookhaven)、南極のアイスキューブニュートリノ観測(The IceCube Neutrino Observatory)などによる研究が行われている。超新星爆発は宇宙からのニュートリノの発生源の有力な候補となる。
重力波天文学による観測
LIGO(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)やVirgoやKAGRAによる重力波観測が始まり、マルチメッセンジャー天文学のスタートラインに立っている。
フィクションにおける超新星爆発
以下の項目では創作物上の超新星爆発の性質などについて述べます。また一般的に流通している超新星爆発についての勘違いも含みます。
ハンバーガー1032個程度とはどのくらい?
太陽が8個分を約1034 gとしてハンバーガーが一個100gとすると、ハンバーガー約1032 個分くらいの重さとなる。
例えばだが、地球の全人口(約72億人)が毎日3食2個ずつ、一人1日6個のハンバーガーを食べるとして、一日432億個が消費されると、
1032個/432億個/365日~6×1018年=約100京年
の時間が費やされる。
宇宙が誕生してから、太陽ができ、地球ができて、途中恐竜が滅んだりしながらサルが進化して人間が誕生し、あなたがこのくだらない記事を見つける現在に至るまでの期間、つまり、宇宙年齢が138億年なので、
100京年/138億年~108回=100,000,000回=1億回
繰り返した時間に等しい。つまりどういうことかというと、人間の知覚できる数量を遥かに超えるってことだ。しかし、まだ参考になりそうなものとして、
・Internet Protocol Version6(IPv6)のIPアドレスは2128個のアドレスをもてて、約1038個である。
・1molの炭素C12は約12gであり、つまり原子の数、アボガドロ数個は約6×1023個になる。
・人体の細胞の数は、約60兆個あると言われており、約6×1013個である。
・日本に流通している紙幣は約170億枚であり、約1010枚である。
・海で泳ぐマンボウは、数億(~108)個の卵を産むとされる。(?)
・涼宮ハルヒの憂鬱よりエンドレスエイトでは、夏休みの2週間を15532回(約1万5千回)繰り返した。
・ドラえもんのひみつ道具バイバインは、物理的に無から有が生まれるという意味であり得ないが、5分ごとに2つに増えるという効果があり、
2t/5=1032
より、約9時間で同じくらいの個数になる。
・物理的に意味のある最小の長さであるプランク長さは約1.6×10-35mであるが、宇宙年齢138億年と光速を考えたとき、宇宙の大きさは、(共動距離や加速膨張宇宙とか考慮せずに)
138×108×31536000×3.0×108~1.3×1026m
となり、プランク長さは約8×1060個となる。
超新星はどのくらいヤバイのか
例えば(有り得ないが)、太陽の質量が現実の8倍あって、地球は現実通り太陽の外層から1億5000万㎞離れた位置にあるとして、太陽が超新星爆発を起こすと、地球はとてもひどい目に合う。
具体的には、爆発によって生み出されたエネルギーによって秒速数千㎞に加速された摂氏数千万~数億℃の超高温・超高圧・超高速のガスの衝撃波に呑み込まれる。手始めにコンマ何秒かで大気が剥ぎ取られ、次の瞬間、あなたは住んでいる家と愛用のパソコン共々衝撃波でみじん切りにされた後、灼熱のガスによって瞬時に蒸発させられる。
ガスの仲間になったあなた(正確にはあなたを構成していた分子や原子)は、衝撃波の一部に取り込まれ、その地獄のような環境下で核融合を起こしてコバルト・チタン・ウランなどの放射性元素に変身する。それと並行して、衝撃波は地表に衝突し分厚い地殻をバラバラに切り裂く。地殻の下にあるドロドロに融けた岩石層(マントル)、金属でできたコアも衝撃波に呑み込まれ、蒸発する。
こうして、超新星から発生した衝撃波が地球に到達してから30分で、地球は原子レベルまで粉々になる・・・・・・という説もある。
また別の説では、衝撃波は地球表面を焼き払った後に地球を外へ押し出すだけで、粉々にはしないというパターンもある。その場合でも相当な熱と圧力によって地球の表面がカリカリに焦げ、人類はもとよりあらゆる生き物がグリルされるのは避けられない。
しかも太陽系外に押し出された後は、温めてくれる星もなく、暗く冷たい宇宙空間を彷徨う内に、今度はカチカチに凍りつく。
もっとも、現実の太陽であっても赤色巨星となったら地球は飲み込まれるというのが定説なので、上記の過程であったとしても爆発する前に地球は消滅しているだろうが。
これはフィクションであり、絶対に起こりえない。
しかし、超新星は我々が住んでいる銀河で1世紀に1回くらいは起きている、割とありふれた現実の出来事なのだ。
さらに、超新星の衝撃波は爆発地点の「相当近く」にいないと当たらない。現時点で太陽を除く地球から最も近い恒星であるアルファケンタウリ(約4.2光年)が超新星爆発を起こしたとしても(起こさないが)、まず衝撃波が到達するまでに100年以上かかり、地球に届くころには拡散して冷えて減速し、直接的には大したダメージを与えることはできないだろうと予測されている。安心?
つまりは、遠くの超新星爆発を観測をするために素晴らしい方法がある。人間の目で見るのだ。
人間が知覚できる光は可視光という比較的エネルギーの弱い光に限られ、可視光自体は虫眼鏡や市販の望遠鏡で太陽を覗くなど、おバカなことをしない限り、別に怖い存在ではない。
◆太陽観測には、専用のフィルターや太陽投射板、適切な偏光板などを使い、できれば科学館や天文台の人が、近くにいる環境をお勧めします。少し透明な板だけなどでは危ない場合があります。
誤用?転用?
前述の通り「新星」という語は誤解から生まれたものなのだが、日本語では「ひときわ輝く"新しい物"」の意味で使用されている。
メディア上で頻繁に用いられるものとしては、「期待の新人」「ニュースター」[1]「新しく誕生」などと同じように、新しく注目される人物やもの・ことである。
「新星」の初出は不明ではあるが、現在では幅広い人びとに認知された用法となっている[2] 。
ちなみに、人気者の事は一般的にスターと呼ばれるが、このスターという表現は中世ヨーロッパで誕生したという。
PER ASPERA AD ASTRA 困難を乗り越えて星に到達し成功する
Personal o principio che costituisce guida,oricntamcnto c conforto nellc difficolta dell csistenza 困難の中で、導き、方向づけ慰めをもたらす
これが人気者を指してスターと呼ぶようになったきっかけが1820年代のアメリカの演劇界にあり、「スターシステム」で看板俳優をスターと呼んで固定し、スターだけを巡業させ、それ以外の脇を固める俳優たちはその土地ごとに現地で調達するという仕組みを導入してコスパを考慮することにより、スターという呼び名が定着していくことになったそうだ。こうしたスターシステムが成功を収めた事で人気者=スターという呼び方が定着していく。 [3]
関連動画
関連項目
外部関連リンク
https://astro-dic.jp/supernova/
脚注
- *こちらの意味では、日本語としても英語としてもまぎれはない。ただし「新星」の訳語としてNovaを用いると、物理的な意味になる。
- * ちなみに、2018年12月14日現在では、日本語で「超新星」とGoogle検索すると、同名の音楽グループがトップに、画像検索でも音楽グループが多く出てくる。ただGoogleの言語設定を英語に切り替え、「Supernova」で検索すると天文用語としての超新星が多くヒットする。
- *スター=人気者の意味は?スターと呼ぶ由来はコスパ?チコちゃん https://tmbi-joho.com/2023/08/25/chiko224-sta/ 、NHK https://www.nhk.jp/p/chicochan/ts/R12Z9955V3/episode/te/JVY69MJLPL/
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