足立光宏単語

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足立光宏（1940年3月10日～）とは、阪急ブレーブスに所属していた元プロ野球選手である。

若い頃は速球で、そのスピードが落ちてからはシンカーを武器に活躍したアンダースロー投手であり、日本シリーズでは巨人戦に強い「日本シリーズ男」でもある。

概要

中学3年時にヒジの軟骨が出てしまい、1年間ほど野球を離れ、高校から復帰するもののヒジに痛みが残っていたため徐々に腕を振る位置が下がっていき、最終的にアンダースローとなる。
高校時代は目立った成績を残していなかったが、社会人時代に鐘紡の補強選手として都市対抗野球に出場した際にプロのスカウトの目に留まり、1959年に阪急ブレーブスに入団する。

1年目から先発登板し、悪くない数字を残すもののチームは超貧打で援護に恵まれず、なかなか勝ち星が伸びなかった。4年目の1962年、5月24日の南海戦にて広瀬叔功、野村克也らがクリーンナップに並ぶ強力打線を当時の日本記録となる17奪三振を奪って107球の無四球2安打に抑えて完封勝利をあげた（奪三振記録はのちに野田浩司が19奪三振を記録して更新）。この年は規定投球回数には届かなかったものの、123.2回を投げて8勝4敗、防御率1.96の好成績を残す。

1963年に西本幸雄が監督に就任する。この年こそ大幅に負け越すが、翌1964年にはリーグ10位となる防御率2.78という数字を残し（初の規定投球回数到達、初の2桁勝利）、チームの2位躍進に貢献した。翌年から2年間チームは下位に沈むものの、2年連続で2桁勝利と防御率上位10位以内を記録した。

そして迎えた1967年、チームは悲願の初優勝を遂げた。足立は防御率1.75で初の最優秀防御率に輝き、20勝をあげ最優秀選手にも選出された。読売ジャイアンツと対戦した日本シリーズでは第2戦に先発して0対1で惜敗（完投負け）するも、第4戦に再び先発して完投勝利をあげて雪辱を果たす。第5戦では同点からリリーフ登板し、打席が回ってくるや決勝タイムリーヒットを放つという大活躍で2試合連続の勝利投手となった。るが、第6戦でもリリーフ登板するが、一死も取れず5失点で大炎上してチームも力尽きた。足立はシリーズの敢闘賞を受賞した。

しかし翌1968年は肩を故障し、入団後初の未勝利に終わってしまう。それでも日本シリーズには復帰して第2戦と第5戦に先発したが、勝ち星をあげることは出来なかった。

肩痛は1969年には治まるが、それまで武器にしていた速球の球速が落ちてしまい大きく成績を落としている。ただ日本シリーズでは相変わらず強く、阪急が巨人に2勝4敗で敗退する中で2勝を挙げて優秀選手に選ばれている。

そこで足立はそれまでの奪三振を狙うスタイルからシンカーで打たせて取るスタイルに転身し、1971年には19勝8敗、防御率2.49（山田久志に次ぐ防御率2位）という成績で見事復活する。新エースの山田を差し置いて第1戦に先発登板するが、2対1で惜敗した。第4戦に再び先発登板するが、末次利光から満塁弾を被弾し、敗戦投手となった。

翌1972年も好成績（防御率リーグ5位）をあげ、チームの優勝に貢献する。初のダイヤモンドグラブ賞にも輝いた。日本シリーズでは第2戦と第3戦に先発登板、第5戦でリリーフ登板する。第3戦で完投勝利をあげるが、これがチーム唯一の勝利ともなった。

1973年はわずか4勝に終わるが、新たにカーブの種類を増やしたり、打者心理の研究や動作の観察といった部分を磨き上げ、1974年は再び二桁勝利となる10勝を記録する。

翌1975年も2年連続となる2桁勝利をあげる（防御率リーグ6位）。初出場となる広島東洋カープとの日本シリーズでは第1戦、第4戦、第6戦に先発登板する。第1戦と第4戦は引き分けに終わってしまい、第6戦は序盤で降板したため勝敗はつかなかった。チームは悲願となる初の日本一となった。

76年、17勝8敗1セーブの成績を残した足立らの活躍もあり、阪急は2年連続で優勝を達成。
そして日本シリーズでは阪急を破り続けてきた強敵、巨人と対決。今までの阪急とは違い、山田久志、山口高志、そして足立の3人で3連勝を記録。しかし直後に巨人も3連勝を決め、3勝3敗で迎えた後楽園球場、巨人のホームということもあって4万人を超える巨人ファンが巨人の勝利を願う雰囲気の中、並みの投手ならガチガチに緊張してしまう事間違い無しの空気の中で、運命の第7戦の先発を任された足立は

騒げ、もっと騒げ、たかが野球じゃないか。負けても命まで取られるわけじゃない。
警戒するのは王（貞治）だけ、やばかったら歩かせればいい。

という感じで平然としており、試合でも王貞治に2四球を与えながら、2失点で完投勝利を挙げ、阪急は初めて巨人を日本シリーズにて破り、足立も日本シリーズ最優秀投手賞を受賞している。

77年以降は二桁勝利を挙げることが出来なくなったが、日本シリーズでの強さは相変わらずで、77年は巨人とのシリーズで1勝を挙げ2年連続で日本シリーズ最優秀投手賞を受賞。

78年はヤクルトとの日本シリーズにて、第3戦目に完封勝利を挙げ、その後3勝3敗で迎えた第7戦目。ここでもマウンドを任されたのは足立だった。足立は5回裏に1失点したことでシリーズ25イニング連続無失点記録が途切れるが、それでも気持ちを切らさずに5回はこの1失点のみに抑える。
しかし6回裏、ワンアウトから大杉勝男に左翼ポール際に大飛球を打たれ、これを線審が「ホームラン」と判定すると、上田監督は1時間19分に渡る猛抗議を行う。しかしこの長時間の抗議で足立は膝に水がたまり投げられる状態ではなくなってしまい降板。後を受けたリリーフ陣も打たれ、結局阪急は0-4で敗北し、日本シリーズ制覇を逃した。

79年は1勝も上げることが出来ず、80年はコーチ兼任となるが登板機会が訪れず、この年で現役を引退した。

引退後は85年まで阪急の2軍投手コーチを務め、現在は関西学院大学でコーチをしている。

通算成績

関連動画

外部リンク

• 関西学院大学硬式野球部

関連項目

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