那須与一資孝(なすの・よいち・すけたか)とは、平安時代末期の武将である・・・・・・と伝えられる人物。
概要
下野国那須郡の武家である那須氏(元は須藤氏を名乗り、その太祖は藤原道長の六男・長家とされている)の初代・太郎資孝の十一男として生まれ(与一とは「(十)あまり一」という意味)、源氏の棟梁の一族である源義経に仕えたという弓の達人。源平合戦当時は家督を継ぐ前で「宗隆」(むねたか)と名乗っていたとされる。
『平家物語』などの軍記物に登場し、義経の平家討伐につき従った。屋島の戦いでは後述する扇の的のエピソードを作るなど弓矢の名手であり、すぐ上の十郎為隆(ためたか)以外の兄は全員平家方だったのに加え、為隆も後に義経と対立して逐われたため、兄たちを差し置いて那須氏第二代当主になったが、若くして亡くなったといわれている。しかし、彼の実在を立証する確かな資料は残念ながら見つかっておらず、伝説上の人物である可能性もある。
扇の的
中学や高校の古典の教科書にも載っている『平家物語』の「扇の的」のエピソードが有名。
簡単に言うと、合戦が始まる直前に、敵軍が舟の上に的を持ち出して「ほぅれ~、この的打ち抜いてみろよぉ」的なことをした。それを与一が射抜くことになって、「オーマイガッ、失敗したら超やべー」とかいろいろ葛藤するも、何だかんだで成功してやったー的なお話である。ちなみに当初は十郎為隆が射ることになっていたものの怪我のため棄権したが、射撃の腕前は与一宗隆よりこの兄の方が上だったとか。那須兄弟マジヤヴァイ。
更にそれを見て感動した!敵方のお偉いさんが鎧も着ずに踊り出し、義経「よく分からんけど、この際射殺しちゃえば楽じゃん」 与一「えっ。なにそれこわい」 義経「ほら与一、早く早く!」てなことがあってこれも見事に首筋ぶち抜いて殺ったー的なお話が続く。九郎判官マジヤヴァイ。
と言ってしまえばまあアレだが、これは単なる座興に留まるものではなく、実は戦いを前にその趨勢を神仏に問う厳然たる卜占でもある。尤もこのエピソード自体は後世の創作の可能性も無くはないが事実であった場合、源平両軍への心理的影響は決して小さくなかったはずだし、与一が失敗即自害というほどのプレッシャーに悩んでいたのも頷ける。
創作作品の中の那須与一
日本史の中でも屈指の弓の使い手とされることが多く、彼の名前を冠したアイテムなどが多数の作品で登場する。
また、作中の弓の名手のことを指して「○○の与一」などと異名が付けられることもある。
ファイナルファンタジーシリーズ
最強クラスの弓として「よいちのゆみ」「与一の弓」が登場。初出は『ファイナルファンタジーⅡ』
信長の野望シリーズ
近年の作品では弓が得意な大名家の固有技術として「与一の弓」が登場。「信長の野望」の記事も参照。
ドリフターズ(漫画)
生死不明になった際に異世界に召喚され、同じく召喚された織田信長、島津豊久と行動を共にする。詳細は「那須与一(ドリフターズ)」「ドリフターズ(漫画)」の記事を参照。
義経ちゃん剣風帖
『義経ちゃん剣風帖』は女子高生・榊静流の愛用する眼鏡に転生した源義経ら転生者が巻き起こす、小野寺浩二のバトルアクションコメディ漫画。与一(転生者)は前世で「扇の的」のプレッシャーに心身を蝕まれて早世したために、全てを強要した義経に深い恨みを抱く敵として登場する。転生後も弓矢の腕は確かだが、相変わらずプレッシャーに弱い。
新世紀エヴァンゲリオン
劇中で第5使徒ラミエルを倒す為の「ヤシマ作戦」は与一が扇の的を射落とした屋島の戦いが元ネタのひとつ。「新世紀エヴァンゲリオン」「ラミエル」の項目も参照。
終わりのセラフ(漫画・VOMIC・テレビアニメ)
早乙女与一は、ちょっと見は可愛いらしい顔立ちの気弱な男子だが、弓矢型鬼呪装備「月光韻」を執れば遠方の敵も一撃必中で打ち抜いてみせる勇敢な日本帝鬼軍兵士で、主人公の数少ない親友の一人。もっとも原作者曰く、名前の由来は那須与一ではないらしい。「終わりのセラフ」の項目も参照。
関連動画
関連項目
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