金田一少年の事件簿(きんだいちしょうねんのじけんぼ)とは1992年から続く週刊少年マガジンの推理漫画である。1990年代に日本を推理漫画ブームに巻き込んだ。またそれを原作とした小説、TVドラマ、アニメ、ドラマCD、映画などがある。
概要
原案・原作:天樹征丸、原作(途中引退):金成陽三郎、作画:さとうふみや。原案・原作の天樹征丸は小説版の執筆も担当。その正体は『サイコメトラーEIJI』の安童夕馬、『GetBackers -奪還屋-』の青樹佑夜、『神の雫』の亜樹直などと同一人物の漫画原作者・樹林伸であり、要するに『MMR』のキバヤシである。
普段は手癖の悪い劣等生だが、実は名探偵・金田一耕助の孫でありIQ180の天才的頭脳を持つ高校生・金田一一(きんだいち はじめ)と、その幼なじみで優等生の七瀬美雪(ななせ みゆき)が様々な事件に巻き込まれ、解決していく推理漫画。本格ミステリの様式と「犯人当てクイズ」を漫画に盛り込み、推理漫画というジャンルを確立する大ヒット作になった。この作品の影響で名探偵コナンが誕生した。
1992年から連載開始、2000年に連載終了。天樹・さとうのコンビはその後『探偵学園Q』を連載するが、やっぱり金田一の方が人気があったのか、『Q』の連載を中断して「吸血鬼伝説殺人事件」を連載し復活。『Q』の終了後は年に1作のペースで不定期に新作が掲載されている。2012年には連載20周年を迎え、記念作品として4月から連載も復活。一つの事件完結後に数週の休載を挟んで、通年連載される予定。単行本も「20周年記念シリーズ」として発行されている。こういう「第1期 完」という終了形態をとるマンガは往々にして第2部が始まらないものだが、珍しく不定期とはいえまともに第二部が始まった漫画ではなかろうか。
連載期間が長いため初期の頃と現在では一や美雪の顔がだいぶ変わってきている。長期連載だから仕方ないね。
作中で使われたトリックのいくつかに、過去の有名ミステリからの模倣や流用があることは以前から指摘されており、流用された作家から訴えられかけたこともある。特に模倣が明らかだった「異人館村殺人事件」は注意書きが書かれるようになり、ドラマ版では欠番扱いになっており、アニメ化もされていない。
なお、金田一耕助は生涯独身で子も作らなかった、という設定が有力なため、実は孫どころか実子すらいなかったりする(横溝正史の遺族からクレームがあったのか、金田一耕助の名前は使われていない)。
また、金田一の特徴として犯人の死ぬ確率が高いことが挙げられる。大抵は推理に追い詰められて自殺するパターンなのだが、たまに第三者の手によって殺される場合もある(最近の作品では、そのような傾向は見られなくなった)。
登場人物
声優はTVアニメ版のものであり、数々のゲームやドラマCD、また劇場版などで声優が異なる。
- 金田一一(きんだいち はじめ) - 声:松野太紀
- 主人公。IQ180を誇るが成績は悪い(おまけにスケベ)。金田一耕助の孫(作中では「あの名探偵の孫」と呼ばれている)で、決め台詞は「ジッチャンの名にかけて!」。4度も犯人の濡れ衣を着せられた。(以下ネタバレ)
江戸川コナンもびっくりの死神っぷりを発動し、行く先々で殺人事件が発生する(本人も自覚しているらしい)。しかもその事件では一の幼馴染も関わるパターンもあり、特に「魔犬の森の殺人」での犯人に当時驚いた読者も少なくないだろう。中学生の時からその傾向があり、プールの飛び込み事故の犯人を暴いたことがある。「異人館ホテル殺人事件」「金田一少年の殺人」「金田一少年の決死行」「証言パズル」にて犯人として扱われたことがある(証言パズルの場合は殺人現場に偶然居合わせただけで逮捕されてしまった)。美雪とは相思相愛だが、スケベな性格が災いして上手くいっていない。 - 七瀬美雪(ななせ みゆき) - 声:中川亜紀子
- ヒロイン。スタイル抜群。一の幼馴染で、友達以上恋人未満。一を「はじめちゃん」と呼ぶ。
- 剣持勇(けんもち いさむ) - 声:小杉十郎太
- 警視庁捜査一課の警部。一を信頼しており、仕事抜きでも仲が良い。一から「剣持のオッサン」と呼ばれる。過去のとある事件によって、犯人として追われた話もある。アニメでは、高所恐怖症という設定が追加された。
- 明智健悟(あけち けんご) - 声:森川智之
- 警視庁捜査一課の警視。エリート・眉目秀麗・文武両道と嫌味ったらしい程にハイスペック。父親もかつては警察関係者だった。(以下ネタバレ)
初登場した時は殺人事件を一・剣持との賭けの勝負(負けたほうが警察を辞めるというもの)のネタにするという警官としてあるまじき行為をしていたが、その結果自身が赤っ恥をかいたのでそれ以降は大人しくなった。番外編では、学生時代にもいくつかの殺人事件に巻き込まれるという一ほどではないが死神っぷりを披露している。因みに高校生時代は「秀央のホームズ」と呼ばれていた。父親は3億円事件(アニメでは4億円事件)の捜査に関わっていたが未解決のまま時効を迎え、失意のうちに亡くなった。高遠とは高校時代の先輩後輩の間柄と言う事が明かされている。 - 速水玲香(はやみ れいか) - 声:飯塚雅弓
- 人気アイドル。一に想いを寄せる。美雪とは恋のライバル。美人だが、その裏では色々と壮絶な過去を持つ。(以下ネタバレ)
物心つく前に誘拐事件に巻き込まれる。警察のミスによって逆上した犯人が実の父親を絞殺してしまう(その光景にトラウマを持ってしまい、首にペンダントなどをまくことが出来なくなってしまった)。その後誘拐犯が罪滅ぼしの為に父親代わりとして育てるも、後にその男も殺されてしまう。しかも犯人はマネージャーでもあり生き別れた実の兄であった。その後新しい事務所に移籍するも、また誘拐事件に巻き込まれてしまう。また、同じアイドル仲間で覚せい剤使用の濡れ衣を着せられ自殺した女性の兄に逆恨みされてしまったりする。 - 高遠遙一(たかとお よういち) - 声:小野健一
- 犯罪コーディネイター「地獄の傀儡師」。一の平行線上に在り決して相容れない宿敵。(以下ネタバレ)
幼い頃生き別れた母親はかつて天才マジシャンだったが、当時のマジシャン仲間4人の陰謀によって殺されたことで復讐を果たす(この時3人殺害した所でトリックが明らかとなり逮捕されたが、残りの1人は亡き母親が隠していたトリックで殺害)。その後地獄の傀儡師として復讐を企んでいる人物に協力する云わば殺人コーディネーターとして裏で生きるようになる(必要無くなった者は高遠が消すというパターン)。過去に3度の脱獄(アニメでは決死行のラストがカットされた・薔薇十字館が未アニメ化なので実質一度のみ)に成功している(しっかりしろ警察)。番外編として、学生時代に(正当防衛だが)殺人行為をしている。
漫画版の特徴
とにかく登場人物が死ぬ、怪我をする、容疑者(犯人)になる。
金田一を含めたメインキャラクター勢も例外ではないため、『金田一に会うと助からない』とネタにされるほどである。
またエロい女性キャラクターが多く登場し、お色気シーンもそこそこの頻度である。
宗像先輩、黒河先輩、茅刑事…と言われると思い出す人もいるのでは。
ちなみに作画のさとうふみやに「さとうふみやってホモだよな。おっさんはエロいのに女はブスばっかだもん。」と手紙を送った読者も過去にはいた。*注:さとうふみやは女性。このことを送った読者は知らなかった模様。
真犯人が何かしらの変装をしていて、『怪人』として出てくる頻度が極めて高い。
特に『歌月』と『放課後の魔術師』にトラウマを植え付けられた人はかなりいるらしく、連載当時に小学生だった人は(ry。
なお犯人を黒い人(通称黒タイツ)で表す方法を最初に作った漫画である。
「犯人を作中で動かしたい」→「しかし小説と違って漫画だから犯人を動かすと一発でバレる」→「犯人の特徴を書かなければバレないのでは?」→「犯人の全身を黒くして特徴をなくさせてみるか」→『黒い人完成』…と色々と制作者は苦労したとのこと。
金田一(1992年連載開始)の後の1994年に連載が始まった名探偵コナンでもこの手法は取り入れられた。
金田一の方の黒い人では目がない…、コナンの方の黒い人は目に黒目が描かれている…と細かな違いがあるので比べて見るのも面白いかもしれない。
ドラマ版
今作は計7度にも渡るTVドラマ化が行われた経緯がある。
1995年の第1期と1996年の第2期、そして劇場版は堂本剛・ともさかりえ・古尾谷雅人の主演で平均視聴率20%超の大ヒット作(最高視聴率は第1期が29.9%、第2期が27.8%と図抜けて高い数値をはじき出す)となり、「金田一のドラマ=堂本剛・ともさかりえ・古尾谷雅人」を思い浮かべる人が圧倒的に多い。GTOやサイコメトラーEIJI等のマガジン原作ドラマのヒットと共に1997年にマガジンがジャンプから発行部数首位の座を一時的に奪い返した立役者となった。
ドラマ化した結果、なぜか原作以上にグロ化+恐怖化したことでも有名なのがこの第1期。原作にいないドラマオリジナルキャラを惨殺、原作再現したら異常に怖かった怪人達や殺害方法…と第1期の話題ではだいたいこれらのことが話題になる。漫画版同様、放送当時に小学生であった人達に多大なトラウマを植え付けた。
因みにドラマ版では明智は二度しか登場していない。初登場は原作と同じ雪夜叉伝説殺人事件だったが、原作以上に嫌味なキャラに仕上がってしまったのでそれ以降のシリーズには登場していない(明智が登場する他の回では、代わりに剣持警部に役が変更になっている)。
2001年の第3期は松本潤・鈴木杏の主演で若返りを図ったが、割と空気に終わる。普段からふざけた言動の多い一に対してクールな松潤ではイメージが合わないと当時は言われていた。余談だが、鈴木杏は第2期当時小学生だったが別の役で出演していた。
2005年の第4期は亀梨和也と上野樹里の主演だったが一がジッチャンに対してコンプレックスもちなど余計な味付けをしたせいで大不評、単発のみでシリーズ化はなされなかった。
2013年および2014年の単発ドラマである第5期は山田涼介と川口春奈が主演。比較的好評だったのか第6期で2014年7月から土曜21:00枠にて「金田一少年の事件簿N(neo)」として連続ドラマ化された。neo(新しい)とか言っていおきながら金田一が原作や堂本版のような3枚目キャラに戻ったり、BGMが堂本版からの流用(例の「チャララランランランランララン」という感じの怖いBGM「the mysterious mallets」など。ただし多少のアレンジがなされている)だったりと原点回帰を果たしていることが伺える。
2022年の第6期は日曜22:30の「日曜ドラマ」枠の連続ドラマとして放送。シリーズで唯一放送開始前の単発ドラマが制作されず、道枝駿佑と上白石萌歌が主演を務めている。第6期はテレビ放送及びHuluでの配信の見逃し配信の他、Disney+を介しての全世界同時配信も行われる事になった。
アニメ版
アニメ版は日本テレビ系列で、1997年から2000年にかけて月曜19:00枠で放映。全148話。
原作の長編・短編の殆どが放送され、小説版やドラマCDのエピソード、旅行企画のシナリオもアニメ化された。19:30からは『名探偵コナン』が放映されており、月曜7時のミステリーアワーと呼ばれた。主題歌の人気が高い。アニメオリジナルエピソードが多いコナンに対し、こちらはアニメオリジナル回は2タイトル計7回分のみである。
ただ、原作をベースにしながらもアニメ独自のストーリーになっているものもある(「聖バレンタインの殺人」など)。
連載再開後の2007年、7年ぶりに「吸血鬼伝説殺人事件」「オペラ座館・最後の殺人(原作では第3の殺人)」がアニメ化された。長編エピソードを1時間の枠に収めるため、ドラマ版のように改変された点が多く、全体的に駆け足気味だった。更に作画も原作に忠実過ぎたため、7年前との差が激しくなってしまった。2012年、「黒魔術殺人事件」がアニメ化。作画は90年代に放送された頃の雰囲気に近付けてある。「20周年記念シリーズ」3巻・4巻の限定版に前後編のOADとして付属した。
2014年、4月5日より土曜17:30枠で「金田一少年の事件簿R(リターンズ)」として新作アニメ化された(2015年10月3日からはシーズン2が放送)。なお、その次の土曜18:00枠は名探偵コナンが放送している時間帯であり、2000年以来の金田一→コナンの流れが帰ってくることになった。第1期のエピソードを含めた大規模な再アニメ化をするかと思われたが、第1期連載末期のエピソード以外は第2期の新作エピソードをアニメ化。首つり学園殺人事件など第1期でも制作されなかったエピソードは同様に放映されなかった。なお異人館村以外にも今後制作する予定がない作品も公式で言及されたので、以下記す。(ネタバレを含むので伏せています)
首つり学園殺人事件:公式で言及された作品。いじめが犯人の動機に絡んでおり、いじめが社会問題になったことからも制作の見込みはない。(いじめの被害者となった少年と犯人の教師が関係を持つなどアニメ化にふさわしくないシーンがあるのも理由の一つと考えられる)
当たり前だが、アニメの表現規制の影響を思いっきり受けている。
今よりも規制が緩めだった、1997年に放映された第1期の物でも『血は極力画面に映さないようにする』、『残忍すぎる殺し方は変更』、『エロシーンは演出上必要なもの以外カット』…と色々変更されている。
ドラマや映画が一本できるだけのシナリオを毎回考えるのは、やはり厳しく、苦肉の策で旅行ツアーで使われたシナリオをアニメ用に再構成、CDドラマをアニメ化…とアニメ定着化には無理な要因が多かったのも特徴。
単発回やギャグ回は1話で終了するのだが、通常の事件は解決までに毎回4~5話程度費やすので、各話の初回から解決編までの時間が経ちすぎて内容を忘れてしまった視聴者もいた。
映画版
アニメ版とドラマ版の両方で公開されている。
いずれの作品にも小説版の原作がある。
アニメ版は『オペラ座館・新たなる殺人』、『殺戮のディープブルー』が公開された。
オペラ座館の方は金田一の声が工藤新一山口勝平、剣持警部が夏八木勲と他の作品と異なっている。
ディープブルーの方は原作版があるが、ほぼアニメオリジナルの設定を採用しているので、実質別物だったりする。
なお原作版の設定を踏まえた物は後にテレビ放映された。
ドラマ版は『上海魚人伝説殺人事件』が公開。
タイトル通り日本ではなく中国の上海を舞台にしたもの。
内容の一部が中国で問題になったため、香港以外の中国本土では放映されていない。
小説版
天樹征丸キバヤシが著者で8作品発行されている。
最近になるまでは絶版状態で入手が難しかったが、電子書籍化や復刊で入手が楽になった。
漫画版やドラマ版よりも重く、キツい設定や描写、犯人の動機が多く、映像化の際にはこれらの表現はほぼ修正されている。小説版の登場人物が漫画本編で逆輸入されて登場することもあるので、興味のある方は読むとよいかも。
ゲーム版
アドベンチャーゲームとしてセガサターン、プレイステーション、ゲームボーイで発売された。
最初に発売された悲報島は漫画版悲報島の後日談であるため、気になる人はぜひプレイを。
またセガサターン版の星見島は色々と斬新な作品であった。詳しくはニコニコ大百科の該当記事で。
ゲームの出来売り上げが宜しくなかったのもあり、ゲームボーイ版が最後の作品になると思われたが、名探偵コナンとのコラボ作品が2009年にニンテンドーDSで発売され、その後金田一単体でも発売された。
ニコニコ動画では
主題歌メドレーが人気のほか、ゲーム版は実況を含むプレイ動画が多数うpされている。
セガサターン版については「金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼」、
コナンとのコラボ作品については「名探偵コナン&金田一少年の事件簿」にて詳述。
アニメ、ドラマに関しては削除の影響もあってかほとんど残っていない。
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