士幌線(しほろせん)とは、かつて北海道帯広市の帯広駅から、北海道河東郡上士幌町の十勝三股駅までを結んでいた、日本国有鉄道の路線である。1987年3月23日全線廃止。
士幌線 | |
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概要 | |
起終点 | 起点:帯広駅 |
終点:十勝三股駅 | |
駅数 | 18駅 |
基本情報 | |
開業日 | 1925年12月10日 |
廃止日 | 1987年3月23日 |
所有者 | 日本国有鉄道 |
路線諸元 | |
路線総延長 | 78.3km |
軌間 | 1,067mm |
電圧 | 非電化 |
(全線) | |
路線テンプレート |
1925年12月10日、帯広駅~士幌駅間が開業。その後1926年には士幌駅~上士幌駅間、1935年には上士幌駅~清水谷駅間、1937年には清水谷駅~糠平駅間が順次開業し、1939年の糠平駅~十勝三股駅間開業をもって全線が開業した。1955年には糠平ダム建設により路線の一部が水没する見込みとなったため、清水谷駅~幌加駅間の路線の付け替えが行われた(このとき残された旧線の遺構のひとつが、かの有名なタウシュベツ川橋梁である)。
改正鉄道敷設法別表第141号に「十勝國上士幌ヨリ石狩國「ルベシベ」ニ至ル鐡道」とある通り、元々この路線は更に北を目指し、三国峠を越えてルベシベ(現在の上川駅。北見市にある留辺蘂駅のことではない)までを結ぶ計画があった。開業当時は糠平以北に鉄道以外のまともな交通手段がなく、木材などの輸送でそれなりの需要があった他、ぬかびら源泉郷などへのアクセス路線としても利用された。
しかし、1972年に国道273号が本路線よりも先に三国峠越えを果たすと、状況は一変。糠平以北は国道の開通により上士幌から通勤圏内となったことで人口が激減、この区間の乗車人員も1977年には7人/日まで落ち込み、営業係数は22500という凄まじい状況であったという。合理化のため、1978年には糠平駅~十勝三股駅の区間を、地元の要望で線路を残すことを条件として列車を運休し、上士幌タクシーによるバス代行輸送に切り替えた(同時に、スキー場入口停留所と幌加温泉入口停留所が新設)。[1]
その他の区間も過疎化に加えて輸送の主体が鉄道から自動車などに移ってゆき、経営状況の悪化はもはや看過できないレベルにまで達していた。1984年6月22日には路線全体が第2次特定地方交通線として指定。当時の輸送密度は1日あたり493人であったという。そして国鉄民営化直前の1987年3月23日、全線が廃止。以降は十勝バスや北海道拓殖バスなどが、帯広~糠平間の輸送を担うことになった。
なお、帯広駅~上士幌駅間の平野部では廃線後すぐに多くの設備が撤去されたが、上士幌駅以北の山間部、特に廃線前から運休となっていた糠平駅~十勝三股駅間では運休から時間が経過していたことから、廃線跡は荒れ果て、設備の撤去に手を付けられずそのまま放置された。後にはこの廃線跡の景観が評価され、その一部が北海道遺産に認定され、保存活動が行われるまでに至っている。これに伴い糠平駅の跡地は上士幌町鉄道資料館として再整備され、士幌線の資料展示や遺構巡りの案内業務を行っている。
本路線には定期優等列車の設定はなく、後述の臨時列車を除き普通列車でダイヤが組まれていた。ただし、木野駅・武儀駅・新士幌仮乗降場・北平和駅・黒石平駅・電力所前仮乗降場については、普通列車であっても通過する場合があった。
糠平駅~十勝三股駅がバスによる代行輸送に転換される直前は、帯広駅~十勝三股駅を通しで運行する列車が4往復、帯広駅~糠平駅間を運行する区間列車が1往復設定されていたほか、帯広駅発上士幌駅行きの区間列車が夜に1本存在した。帯広駅~十勝三股駅間の所要時間は2時間強程度。糠平駅~十勝三股駅間が代行バスになった後も、このダイヤはほぼそのまま引き継がれた。なお、それ以前には中士幌駅~十勝三股駅間を運行する区間列車が設定されていた時期もあった。
1966年の夏季には、臨時準急しほろが運行されていた。この列車は、1962年より広尾線で運行されていた臨時準急ひろおの運行範囲を士幌線の糠平駅まで拡大し、広尾線と士幌線を直通する形で設定されたもので、広尾線内では臨時準急ひろおとして、士幌線内では名称を変えて臨時準急しほろとして運行していた。士幌線内での停車駅は帯広駅・音更駅・士幌駅・上士幌駅・糠平駅であった。
この臨時準急しほろが好評であったことから、1967年から1974年にかけて広尾線直通の臨時急行大平原が運行された。臨時急行大平原は広尾駅で国鉄バスと接続し、様似駅で日高本線を運行する急行えりもに連絡するようにダイヤを組まれていた。士幌線内での停車駅は当初、帯広駅・士幌駅・上士幌駅・糠平駅であったが、後に音更駅にも停車するようになり、臨時準急しほろと同じになった。
士幌線の廃線直前には、この両列車の名称を冠した列車がおわかれ列車として復刻運行されたが、停車駅はかなり異なり、帯広駅~駒場駅の各駅と、中士幌駅・士幌駅・上士幌駅・糠平駅。最終日に運行された帯広駅発のしほろ号ではそれに加えて武儀駅にも停車していた。
上のしほろ・大平原と対をなすような形で、冬季に運行されていたのが銀嶺号である。停車駅は帯広駅・音更駅・士幌駅・上士幌駅・糠平駅。いつ頃まで運行されていたのかは定かでないが、1974年あたりの時刻表から記載がなくなっている。
全国的にSLの廃止が進む中、1975年4月13日にさよならSLロータリー号が運行された。同日中に帯広駅~十勝三股駅間が1往復運行され、途中停車駅は音更駅・上士幌駅・糠平駅、朝の帯広駅発は更に清水谷駅にも停車した。
駅名 | 接続・乗り換え路線 | 備考 | 所在地 |
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帯広駅 おびひろ |
日本国有鉄道(JR北海道):根室本線 日本国有鉄道:広尾線(1987年廃止) 十勝鉄道:帯広部線(帯広大通駅・1959年廃止) |
帯広市役所の最寄駅。 十勝鉄道は1959年旅客扱い廃止後も貨物線が帯広駅に乗り入れていたが、それも1977年廃止された。 |
帯広市 |
木野駅 きの |
一部の普通列車は通過。 | 河東郡 音更町 |
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音更駅 おとふけ |
交換可能駅。 音更町役場の最寄駅。廃線後は交通公園として再整備された。 |
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駒場駅 こまば |
廃線後、駅跡地はバス停を兼ねた公園として再整備された。 | ||
武儀駅 むぎ |
1956年設置。 一部の普通列車は通過。 |
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中士幌駅 なかしほろ |
河東郡 士幌町 |
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新士幌仮乗降場 しんしほろ |
1966年設置。 時刻表に無記載の仮乗降場。一部の普通列車は通過。 |
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士幌駅 しほろ |
交換可能駅。 士幌町役場の最寄駅。廃線後も駅舎などが残され、交通公園として再整備された。 |
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北平和駅 きたへいわ |
1957年設置。 一部の普通列車は通過。 |
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上士幌駅 かみしほろ |
北海道拓殖鉄道:北海道拓殖鉄道線(1949年廃止) | 交換可能駅。 上士幌町役場の最寄駅。廃線後は交通公園として再整備された。 |
河東郡 上士幌町 |
萩ヶ岡駅 はぎがおか |
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清水谷駅 しみずだに |
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黒石平駅 くろいしだいら |
1956年設置。 一部の普通列車は通過。電力所前仮乗降場開業後は糠平・十勝三股方面行き列車のみ停車。 |
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電力所前仮乗降場 でんりょくしょまえ |
1963年設置。 帯広方面行き普通列車のみ停車(一部は通過)。 時刻表上は黒石平駅として扱われていた。 |
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糠平ダム仮乗降場 ぬかびらだむ |
1956年設置。 行楽シーズンのみの営業。 |
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糠平駅 ぬかびら |
1955年糠平ダム建設のために移設。 交換可能駅。 ぬかびら源泉郷の最寄駅。廃線後は鉄道資料館として再整備された。 |
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幌加駅 ほろか |
1978年バスによる代行輸送に転換した区間の駅。 廃線後も線路とホームが残されている。 |
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十勝三股駅 とかちみつまた |
1978年バスによる代行輸送に転換した区間の駅。 |
※上の一覧には記載していないが、1978年に糠平駅~十勝三股駅間がバスによる代行輸送になった後、糠平駅~幌加駅間にスキー場入口停留所、幌加駅~十勝三股駅間に幌加温泉入口停留所が設置された。
▲幌加駅跡 |
上士幌町内に残された橋梁などの構造物の一部は、旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群として北海道遺産に指定されている。
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