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この記事は第48回のオススメ記事に選ばれました! より良い音を出す記事に編集していきましょう。 |
インバーターに中の人がいて歌っている。ソレを知るのは工場の中の人だけ。
GTO(後藤)君とIGBT(伊後端)君、影が薄いがPtr(羽多良)君も居たハズ。
ちなみに今後GTO(後藤)君の活躍の場が少しずつ減っていく。現在はIGBT(伊後端)君が主流。
VVVFとは、可変電圧可変周波数(Variable Voltage Variable Frequency)の略語だが、実は和製英語で英語圏ではAdjustable Voltage Adjustable Frequency、Variable-Frequency Drive、Traction inverterなどと表記される。
日本語の発音は「ブイブイブイエフ」あるいは「スリーブイエフ」だが、「インバータ」のほうが通じるだろう。インバータとは直流を交流に変換する装置で、基本的に交流を直流に変換する装置であるコンバータとセットで使用される(蓄電池と組み合わせる場合はインバータ単独)。
電圧と周波数を同時かつ連続的に制御できるということを強調した呼び方で、特に大型の交流モーターを制御する周波数(1秒間にプラスとマイナスを切り替える回数で、回転数を決める)を変えられ、効率に直結する。
この記事では、みんな大好き鉄道車両における制御手法の一つが醸し出した想定外の文化について、見てゆこう。ちなみに直流モーターと違い、半導体や電子機器を多く使い、そしてそれらはいずれ技術の進歩で型が古くなり製造が終了するので20年目~30年程で新しいVVVFに載せ替える傾向にある。抵抗制御・界磁添加励磁制御の直流モーター車よりGTO素子のVVVF制御が先に消えるのはこの為。
VVVFを用いる一番の理由は、主電動機に交流モーター(主に誘導モーター)を使用するためである。
従来使われていた直流モーターは、電圧の調整だけで速度制御が行える反面、整流子&ブラシ(:回転子の電磁石に電気を送るための摩擦部品)があるため高速回転が難しく、回転騒音が大きい、メンテナンスに手間がかかるなど様々な欠点があった。
交流モーターはそうした摩擦部品を持たないが、回転数に比例して交流電力の周波数を調整する必要があるため、かつては一定回転数で使用するモーターとして扱われてきた。三相インバータによるVVVF制御の技術が確立されたことで、初めてこれを直流モーターと同じように駆動できるようになったのだ。
なお、インバータの回路にダイオードを組み込めば、周波数の制御のみで回生(発電)ブレーキが使用でき、3相交流のうち2相の相順を入れ替えれば、モーターの回転方向、すなわち車両の進行方向が切り替わる。したがって、直流モーターの制御機構に必要だった機械的なスイッチ類が大幅に省略できるのも、VVVF制御の持つ大きな利点である。
現在の新造車両ではVVVF制御は一般的になったほか、直流モーターの車両をVVVF制御に改造した事例も数多い。近年では誘導モーターに代わりPMSMを使う車両も増えているが、こちらもVVVF制御で駆動される。
なお近年ではブラシレス直流モーターというのも扇風機等を中心に採用されているらしいが交流モーターに比べ効率的でなく省エネでない為鉄道への採用はほぼ無いだろう。
VVVF制御の電車が独特な音を奏でるのは、交流電力の電圧と周波数を半導体素子によるスイッチングで連続的に変えていくため、そのノイズがモーターのコイルから磁励音となって発せられるためである。その音はメーカーや車両によって異なり、基本的にはモーターがちゃんと動いてくれればなんでも良いため、形式によって音が変わる。ちなみに加速するときでなく減速するときも音を奏でることが多い(回転しているモーターを発電機のように扱い、他の電車へ電気を送る)。
VVVFインバータに使用される半導体素子(電流のON/OFFをする素子)は、大きく分けてGTOサイリスタ(Gate Turn-Off thyristor)・IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の2種類。最近ではMOS-FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)の使用例も増えてきている。素子によりスイッチング速度に限界があり、GTOサイリスタはその速度が遅いため変調回数が多く、音が耳につきやすい。某社のインバーターはこの音が不快な音にならないよう制御をいじったものである。IGBTやMOS-FETはスイッチング速度が速く変調回数を少なくできるため、GTOよりは耳障りな音が出にくくなる。
元々「SiC」とは炭化ケイ素という化合物の化学式であり、スイッチング素子の名称ではない。したがって、GTOサイリスタやIGBTと並列で「SiC素子」という表記を用いるのは不適切であるが、説明が面倒なので便宜上「SiC素子」という表記が随所で使われている。化学式なので「sic」や「SIC」と表記するのも誤り。「SiCモーター」は論外。
従来のGTOサイリスタやIGBTはシリコン(Si)から製造されていたが、近年Siに代わってSiCから製造されたスイッチング素子が普及している。SiCを用いた素子は、
という長所があるので、VVVF装置を大幅に小型軽量化できる上、モーターに送る交流電力を正弦波に近づけることで、モーターの損失と電磁騒音の低減が可能となる。ただし、それだけでは車両全体としての省エネ効果はごく僅かなので、改良された設計のモーターを併用するケースが多い。
スイッチング素子は従来からのIGBTで、ダイオードにのみSiCを用いたタイプが「ハイブリッドSiC」、スイッチング素子もSiCを用いたMOS-FETに置き換えたタイプが「フルSiC」と呼ばれる。どちらもIGBTと同じトランジスタの一種である。
余談だが、インバータにSiCが使われているかどうかを走行音だけで判別しようとすると、半分くらいの確率で外れるので注意が必要である。
VVVFインバータ制御が用いられる機器は鉄道車両だけではなく、エアコンなどの家電製品や或いはハイブリッド自動車のモーターの制御等、他の分野でも広く用いられている、割とありふれた制御方式でもある。ただし、鉄道以外の分野ではVVVFと特別に区別することなく「インバータ制御」と呼ぶのが普通である。
この記事を閲覧している方々の中にも、「プリウス」や「インサイト」等のハイブリッド自動車が低速走行をしているときや、モーターを内蔵した家電製品が起動する際に独特の磁励音が耳に入ったという経験を持つ方も少なくないだろう。
また、変わった例としてはメリーゴーラウンド等の遊園地の遊戯機器の制御にも結構用いられている。特にメリーゴーラウンドに関しては、余程古いものや一部の海外メーカー製を除くと殆どVVVF制御が採用されている傾向があるようだ。
例えばこのメリーゴーラウンドの場合(YouTubeより)、ベルが鳴り終わった後の起動の瞬間にJR東日本E351系特急型電車を思わせるようなインバータの作動音が聞こえるのがわかるであろう。
走行音を録音したもの
AMラジオを利用してVVVFの音だけ拾い上げたもの <参考:VVVFラジオ録音(タグ検索)>
電車以外のVVVF制御
掲示板
222 ななしのよっしん
2021/12/14(火) 21:32:35 ID: VDASVRpXT0
SiC-IGBTとかトンチキなこという鉄ちゃんフツーにおるよね
SiCで実用化してるのはダイオード(SBD)とMOSFETで各所でインバータに採用中
SiC-IGBTって産総研が作った様だけど研究中の素子を搭載してますって大ホラ吹きかな?
223 ななしのよっしん
2024/04/19(金) 16:23:00 ID: 5p3G4almwg
制御装置が劣化すると抵抗制御みたいな加速・減速するよな
223系1000番台の未更新車はそれが多い
224 ななしのよっしん
2024/12/14(土) 16:29:22 ID: ZCZ4xEzKEP
2024年の今になっても、フルSiCではなくハイブリッドSiCを導入する新型車両が現れているが、そこまでフルの導入をためらうくらいの価格差があるものなのか?
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最終更新:2025/03/22(土) 13:00
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