トップ画像のうち、左が「いずも」、右が「かが」
いずも型護衛艦とは、日本国海上自衛隊所属のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)である。
しらね型護衛艦の代艦として計画、建造された。
ひゅうが型護衛艦の運用を踏まえて次世代のDDHとして計画がスタートした。
2009年9月に発表された防衛省概算要求案により以下の仕様が確定された。
- 全長248m (「ひゅうが」より51m延長)
※全長としてはほぼ英国インヴィンシブル級空母と同程度。旧帝国海軍「飛龍」型空母とサイズ的にほぼ同一サイズとなっている。一部報道では戦艦大和に匹敵と評されたが、これはさすがに誇張表現である。- 基準排水量19,500トン(「ひゅうが」から5,550トン増加)
- ヘリ運用9機(4機)、最大14機搭載(11機)、同時離発着能力5機(3機)
- 乗組員470名(360名) ※兵員搭載およそ500名。
とおおむね「ひゅうが」型より一回り大きいサイズになり、海上自衛隊が保有する艦艇の中で最大規模となったほか、サイドエレベーターやサイドランプを装備、ヘリのみならず多数の車輛・人員の運搬も可能。汎用護衛艦3隻相当に洋上給油可能な補給機能、充実した医療設備や、災害時の被災者受け入れ機能も有するなど、高い汎用性を誇る。
イメージとしては現在、スペインの強襲揚陸艦「フアン・カルロス1世」やデンマークの多目的支援艦「アブサロン」のように、昨今のトレンドとなっている多目的使用を可能とした、海上プラットフォームとしての位置づけであると思われる。
一番艦「いずも」は艦番号DDH-183、進水・命名までは平成22年度予算で計画されたことから22DDHの俗称で呼ばれていた。「しらね」の代艦であり、2013年8月6日進水、2015年3月25日に就役。
二番艦「かが」は艦番号DDH-184、24DDHと俗称された。「くらま」の代艦で、2015年8月27日進水。
建造は、両艦共にひゅうが型護衛艦と同じIHIマリンユナイテッド(現社名はジャパンマリンユナイテッド)横浜事業所磯子工場で行われた。
いくら形が似ているといっても空母ではありません。ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)です。いいですね、カタパルトもアングルドデッキもないし、海上自衛隊では空母艦上機に転用できる固定翼機は運用していませんし、計画もありません。空母ではありませんよ。大切なことなので二度(ry
少し真面目に話をすれば、現代では海外の軍隊においても全通甲板を持つ艦艇すべてを空母と分類しているわけではない。いずもに似たような全通甲板採用の艦艇を、各国がどのような艦種に分類しているかを見てみると、アメリカ、スペイン、オーストラリアでは「強襲揚陸艦」、フランス、ロシアでは「指揮・戦力投射艦」、韓国では「ヘリコプター揚陸艦」となり、イギリスのみが「強襲揚陸艦兼ヘリコプター空母」としている。
このまま真面目な話を続けるが、護衛艦隊の主軸となる4個護衛隊群の旗艦が、近い将来には何れも指揮通信中核システム、CEC(僚艦共同交戦能力)中核能力、高い対潜・対空能力や汎用性を有する、それでいて空母よりもマンパワーの負担が少ない大型艦となることは、なまじな航空母艦を揃えることよりも大きな進歩なのである。
「日本に空母は存在しない、いいね?」「アッハイ」
| いずも型 | ひゅうが型 (比較) | |
|---|---|---|
| サイズ | 全長248m 幅38m | 全長197m 幅33m |
| 基準排水量 | 19500t | 13950t |
| 運用機能 | 哨戒ヘリ x7 救難・輸送ヘリ x2 |
哨戒ヘリ x3 救難・輸送ヘリ x1 |
| 離発着スペース | 5機分 | 4機分 |
| 最大積載 | 14機 | 11機 |
| 兵装 | 高性能20mm機関砲(CIWS) x2 対艦ミサイル防御装置(SeaRAM) x2 魚雷防御装置(MOD+FAJ) 一式 |
高性能20mm機関砲(CIWS) x2 垂直発射装置(VLS) 一式 水上発射管 |
| 輸送機能 | 3.5tトラック 約50台分 | 小型車両 |
| (他艦への)補給機能 | あり | なし |
| 医療機能 | 手術室 ICU 病室35床 |
手術室 ICU 病室8床 |
資料: 産経新聞(2015.03.23)
最も特筆すべきはその指揮通信能力であり、自衛艦隊全体はおろか、陸上自衛隊部隊用司令部区画さえ備え、ひゅうが型護衛艦以上に陸海空統合運用の中核となることを、当初より念頭に置かれ、設計がなされている。このことは近年の護衛艦が単体性能ではなく、艦隊行動と陸空自衛隊との共同運用こそ要である今、非常に優れた設計である。
一方その巨躯に反して、固有の武装は最低限の個艦防衛を目的としたCIWS×2、SeaRAM×2のみとなっている。センサー系も、レーダーおよびソーナーは遠距離探知、聴知を主眼としたものとなっており、直接的な対空・対潜戦闘指揮機能は有していない(こういったこともあり建造費的には前型である「ひゅうが」より低く抑えられている)。
但し電波探知妨害装置、各種魚雷妨害装置など、間接的な防御手段は充実している。前者に関しては、むらさめ型護衛艦以降、海自純国産護衛艦の主流となったNQLQ-3の最新型を搭載。後者についてもひゅうが、あきづきで実用化された自走型・浮遊型魚雷ジャマー複数を搭載するなど、ソフトキル能力は相当に高いと思われる。
進水前には「F-35Bの搭載が検討されている」などの報道がなされたが、現時点では防衛大臣の発言によりこの点については否定されている。一部海上自衛隊OBが「世界の艦船」などで、将来的に搭載すべきではと寄稿しているが、防衛省、海上自衛隊ともにいずも型へ固定翼機を搭載する意図、構想は存在しない。
ただし、V-22オスプレイの運用能力などは建造当初からある程度考慮され、今後の艤装段階で実装される可能性が高い。これは「ひゅうが」が、アメリカ海兵隊との合同演習の際に、耐熱パッドを使用せずとも離発着訓練を行えたこと、ある程度の耐熱仕様の甲板を装備している点からも明らかだろう。
「いずも」は、日露戦争前後に六六艦隊計画により配備された出雲型装甲巡洋艦一番艦「出雲」の名前を継いだ形となっている。「出雲」は知名度は低いものの、日本海海戦後も長きにわたって運用され、1945年7月の呉大空襲で戦没するまでおよそ半世紀近く現役であった艦である。
装甲巡洋艦としての活躍は言うまでもなく、練習艦として多くの海軍士官を鍛え上げた、縁の下の力持ちとでも言うべき殊勲艦であり、今後、さらなる多面的な用途の活躍が期待されるDDHに、おおむね相応しい名前である。
「ひゅうが」「いせ」との艦名の関連性については明らかにされていないが、令制国(律令制度)による旧国名であるほかに、日本神話を題材に「日向」(高千穂)、「伊勢」(伊勢神宮)、「出雲」(出雲大社)から取られているのではないかという意見もあるが、あくまで噂レベルであるので注意されたし。
※ちなみに本ニコニコ大百科「ひゅうが型護衛艦」の掲示板において「いずも」の艦名を事前に想定した人がいる。GJであるとしか言いようがない。
また、進水の半月前、海上自衛隊のプレスリリースPDF作成時のミスにより、事前に艦名が「いずも」であることが周知されてしまった逸話も存在する。
なお、これはPDFのミスとは関係ないが、命名候補の中には「ながと」も存在したと言われている。この名前については、あたご型護衛艦建造当時も検討されたが、諸般の事情から何れも否決された。「特定周辺諸外国」の反応も無論、どう出るかしれたものではなかったが、同時に嘗てカルタにまで呼ばれた連合艦隊旗艦の名前を冠するというのは、海上自衛隊部内でも相当に悩んだ模様である。
海上自衛隊最大クラスの護衛艦であるため、ネット掲示板などにおいては「いずも」にならって旧国名からとると予想され「かが」以外に神話要素にも含む地名の「やましろ」「やくも」「いわて」などが候補に挙がっていた。
海上自衛隊のプレスリリースでは隊内から募集し、様々な検討の上で防衛大臣が決定したと表記されている。ちなみに進水式の前日、千葉市市長熊谷氏が「今年だからこその名称」とツィッターで発言[1]しており、北陸新幹線の開業による北陸地方の知名度のアップも一因ではないかと予想される。
海上自衛隊のプレスリリースでは明記されていないが大日本帝国海軍にも先代の軍艦が存在している。
日本海軍の「加賀」は八八艦隊計画の3番目の戦艦、加賀型戦艦のネームシップとして「土佐」と共に建造された。が、軍縮条約による建造中止、関東大震災による巡洋戦艦「天城」の被災を経て戦艦改造航空母艦「加賀」として竣工した。
空母「加賀」は日中戦争での実戦をへて太平洋戦争に参加、日本海軍の空母機動部隊の中核としての空母「赤城」と共に緒戦で八面六臂の活躍をみせ、日本軍の勢力拡大に多大な貢献を果たした。
詳しくは加賀(空母)の記事を参照。
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最終更新:2025/12/09(火) 07:00
最終更新:2025/12/09(火) 07:00
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