しあわせウサギのオズワルドとは (オズワルドザラッキーラビットとは) [単語記事]

しあわせウサギのオズワルド（Oswald the Lucky Rabbit）とは、ウォルト・ディズニー・カンパニーが生み出したうさぎのキャラクターである。

ミッキーマウスの誕生の経緯にも関係する。

概要

ウォルト・ディズニー（演出）とアブ・アイワークス（作画）によって生み出された。配給はユニバース・ピクチャーズ。

実写をおりまぜたアニメーション作品「漫画の国のアリス（アリス・コメディーシリーズ）」を制作し好評を得たウォルト達が、フィリックス・ザ・キャットの作者パット・サリバンから抗議を受け（フィリックスを模倣したキャラクターである「ジュリアス・ザ・キャット」を用いていたため）、新たなキャラクターとして生み出したのがこのオズワルドである。

1927年にデビュー作となるトロリー・トラブルズ【Trolley troubles】（これは2作目で、1作目のかわいそうなパパ【poor papa】は放映されなかった）を発表。
ディズニーの巧みな演出とアイワークスの親しみやすい作画により、誕生したオズワルドは、デビューから大きな人気を博した。

オズワルドは、ウォルト達の手によって合計26作品が制作された。
しかし、その間ユニバース・ピクチャーズと取引金額や所有権について対立。
ユニバース・ピクチャーズは秘密裏にディズニーの会社からスタッフの引き抜きを画策し、ウォルト達にとっては不幸なことに多くのスタッフがそれに乗ってしまった。
そのあげく、残ったのは生涯の友人であるアイワークスと、わずかなスタッフだけだった。

自らが生み出したオズワルドと多くのスタッフを失った（ウォルトからすればあるいは奪われた）カンパニーはあわや倒産の危機に陥った。しかしウォルトは当時残ったスタッフと契約上制作しなくてはいけなかった残る4作品を手がける合間、夜にこっそりと自社キャラクターの考案作業にかかった。この時誕生したのが、かの有名なミッキーマウスである。

オズワルドはミッキーにとっては同じ親から生み出された兄のような存在と言っても過言ではないだろう。

外見・特徴

黒い（あるいは青い）身体のウサギが、青いオーバーオールを着用しているという姿。近年描かれる際はミッキーのようなパンツっぽくなっている。

オズワルドのDVDパッケージを見ればわかるように元々は赤いオーバーオールだったが、ミッキーマウスと差別化を図るためか現在は青色のタイプのほうが多い。

オズワルドは身体の各部を自由に取り外し、いろいろな場面で使うことが出来る。が、ロボットとか特殊な設定は特にないので注意されたし。
特に耳は帽子のように取ってみせたり、足を取って神に願掛けしたり（ウサギの足は幸運のお守りであるが故）出来る。耳は特に器用に扱うことが出来、エピックミッキーでは耳を取ったかと思うと鍵の形にして箱を開けたりしている。

性格は白黒ミッキー同様、若干気性が荒い。しかし近年のエピックミッキーにみられるようにヒーロー然とした思いやりのある面も備えている。

オズワルドのその後

ウォルト達が苦心の末生み出したミッキーマウスは、現在知られるような大きな人気を得た。
しかし、オズワルドはウォルトとアイワークスという二人の柱を失い、その後の作品のほとんどがウォルト時代とはほぼ別の作風になってしまい、特にユニバース直営へ変更された際に制作を引き継いだウォルター・ランツによるキャラクターデザインの大改変は、多くの視聴者の失望を買う。
その後、ミッキーマウスに取って代わられるように人気を失い、結果1943年を最後に作品は途絶えてしまった。

もしウォルト達がオズワルドを描き続けていれば、世界的スターはミッキーマウスではなくオズワルドになっていた可能性もあった、ということである。

同時に、ウォルトがミッキーマウス保護法などに見られ版権に関する強い意識は、こういった背景から来ている。

近年

長い間生みの親の古巣から引き離されていたオズワルドであるが、2006年にユニバース・ピクチャーズとの取引によってついにディズニーの手元に版権が返還された。（勿論、ウォルト達が作った26作品のみである）。
これによってディズニーはオズワルドをディズニーキャラクターとしてある程度取り扱えるようになり、DVDの発売やパレードへの参加など、新しい展開が行われた。
それはまさに、親元から引き離された子供が、長い年月を経て親の懐に帰ってきた瞬間であった。

近年は『エピックミッキー～ミッキーマウスと魔法の筆～』に出演、なんと80年というブランクを経て新作出演を果たす。自身の人気を奪ったミッキーマウスを敵視するという、過去の悲劇を踏まえた展開になっている。

ゲーム中にはウォルトと手をつなぐミッキーの像をオマージュした、ウォルトと手を繋ぐオズワルドの像が登場する。
これを見たミッキーは、まるで親を取られたように悲しげな顔をあらわにしており、見る人によっては掴めなかった栄光を夢見た滑稽なシーンに見えるかもしれない。
しかし、ウォルトと手を繋ぐオズワルド像の幸せそうな顔は、別の視点から見ればあるいは極めて感慨深いものになっていることであろう。
オズワルドもまた、ウォルトの息子の一人なのだから。