エラトステネスの篩(ふるい)とは、素数を求めるアルゴリズムである。
自然数を並べ、初めに1をマークし、次に2をマークして2の倍数を消去する。
次に残った数で一番小さい3をマークし3の倍数を消去する。
次に残った数で一番小さい5をマークし…
といった作業を繰り返すことで、素数を求めることができる。以下は100までの表。赤色が素数である。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
| 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 |
| 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 |
| 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 |
| 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 |
| 71 | 72 | 73 | 74 | 75 | 76 | 77 | 78 | 79 | 80 |
| 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 |
| 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 | 100 |
エラトステネスの篩のいいところはnまで作業が終わればn2までの素数が漏れなく求まるというところである。この表で言えば10以下の素数を見つける手順が終わった時点で100までの素数すべてが明らかになる。
欠点はマークした素数以上の全ての数を毎回チェックして回る必要があるため時間がかかるところ。工夫しないとN以下の素数を調べるのにO(N√N)くらいの時間がかかるらしい。また途中で表を大きくしようとしたい場合、追加した分を初めから埋め直す必要がある。
既約多項式とは、それ以上小さな次数の多項式に因数分解できない多項式を指す。
整数を素数pで割ったあまりで分類すると有限体Fpになる。Fpの元を係数とする多項式f(x)∈Fp[x]を考える。例えば、F2係数多項式f(x)∈F2[x]は係数が0または1の多項式である(1+1=0に注意して計算する)。f(x)が既約であるかどうかをエラトステネスの篩を用いて列挙する事で判別できる。
準備として、多項式をその係数のみで表すことにする。例えば、F2[x]においてx3+x2+1 → 1101、(x+1)(x2+x)=x3+x → 11×110=1010。F3[x]において(x+2)(2x+1)=2x2+2x+2 → 12×21=222。単純な2進数や3進数とは異なることに注意。
| 1 | 10 | 11 | 100 | 101 | 110 | 111 | 1000 |
| 1001 | 1010 | 1011 | 1100 | 1101 | 1110 | 1111 | 10000 |
| 10001 | 10010 | 10011 | 10100 | 10101 | 10110 | 10111 | 11000 |
| 11001 | 11010 | 11011 | 11100 | 11101 | 11110 | 11111 | 100000 |
この表からF2[x]において、x,x+1,x2+x+1,x3+x+1,x3+x2+1、x4+x+1,x4+x3+1、x4+x3+x2+x+1、…が既約多項式と分かった。
| 1 | 2 | 10 | 11 | 12 | 20 | 21 | 22 | 100 |
| 101 | 102 | 110 | 111 | 112 | 120 | 121 | 122 | 200 |
| 201 | 202 | 210 | 211 | 212 | 220 | 221 | 222 | 1000 |
| 1001 | 1002 | 1010 | 1011 | 1012 | 1020 | 1021 | 1022 | 1100 |
| 1101 | 1102 | 1110 | 1111 | 1112 | 1120 | 1121 | 1122 | 1200 |
| 1201 | 1202 | 1210 | 1211 | 1212 | 1220 | 1221 | 1222 | 2000 |
| 2001 | 2002 | 2010 | 2011 | 2012 | 2020 | 2021 | 2022 | 2100 |
| 2101 | 2102 | 2110 | 2111 | 2112 | 2120 | 2121 | 2122 | 2200 |
| 2201 | 2202 | 2210 | 2211 | 2212 | 2220 | 2221 | 2222 | 10000 |
この表から、F3[x]においてx,x+1,x+2,2x+1,x2+1,x2+x+1,x2+x+2,…が既約多項式と分かった。
有理数係数多項式の既約判定は難しいが、Fp[x]で既約→Z[x]で既約→Q[x]で既約、が一般に成り立つ。逆方向は必ずしも成り立たない。
F2[x]でx2+x+1が既約と分かったが、係数を2で割ったあまりが同じになる多項式、x2+3x+1, x2+x+3, x2+3x+3、…あるいはF3[x]でx2+2x+2は既約だったが、係数を3で割ってと同じになるx2+2x+5, x2+5x+2、…などもZ[x]において既約多項式である。F2[x]においてx3+x2+1が既約であると知っていれば、3x3+25x2+14x+7が既約多項式であるとすぐに判別できるのである。
このアルゴリズムは多項式環Fp[x]の素イデアル(f(x))を列挙する作業に相当する。最後に途中まで素イデアルと同じ振る舞いをする極大イデアル(a,f(x))を排除している。
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最終更新:2025/12/11(木) 16:00
最終更新:2025/12/11(木) 16:00
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