ジジィ!早すぎるんだよ!!
とは、2018年7月8日に放送された「笑点」第2620回放送の大喜利で桂歌丸に対し、六代目三遊亭圓楽が最後に罵倒した言葉である。
六代目圓楽と歌丸と言えば、圓楽が先代圓楽のモノマネで「早くおいでよ~談志がうるさくてしょうがねぇよ」や引っ越し早々忌中などの臨終ネタや葬式ネタで腹黒さをアピール、歌丸も返す刀で腹黒さや楽太郎時代には「(先代)圓楽の後がまを狙っている」で罵倒、歌丸が司会になってからは罵倒されたら座布団をうばったりするなど、2人の罵倒合戦が名物となってお茶の間を楽しませてもらっていたが、歌丸の逝去で歌丸ジェノサイドと共にここまでとなってしまった。しかし、番組内では犬猿の仲に見えるが、2人には固い絆があった。
師である五代目圓楽、さらに六代目圓窓も降板したことで空席ができたため、それを受けて大喜利のメンバーになった当時の楽太郎、後の六代目圓楽。しかしまだ若手だった頃はネタに困っており、どのようにたち振る舞おうか悩んでいた。そんな楽太郎に歌丸が「俺のことでもいいから」とアドバイスし、ここから歌丸と楽太郎の罵倒合戦が始まることになる。
歌丸としては大喜利での戦友であった急逝した三遊亭小圓遊と罵倒合戦を繰り広げていた経験もある故に、そうしたことから受け入れた形となる。一方の楽太郎もここから調子を掴むようになり、大喜利でも頭角を現すようになる。
その後、歌丸が司会に就任してからは、圓楽は政治批判や時事ネタを活かして座布団を獲得するも、罵倒ネタ(主にジジイネタ・禿または髪の毛のネタ・臨終または葬式ネタなど)を用いて(稀に昇太・たい平や全員を巻き込んで)大量ないし全部没収されてしまうことがしばしばあった。歌丸ジェノサイドの起点も圓楽であることが多い。歌丸が勇退し、昇太が司会に就任してからも、時々歌丸の悪口を言うことがある。
だが、前述の通り歌丸からのアドバイスもあったり、落語に関しても稽古をつけて貰ったり様々な教えを請うなど、良好な関係を築いていた。もちろん圓楽曰く「罵倒ネタを用いた際は収録後に謝るようにしている」とのこと。時には圓楽がプロデュースする「博多・天神落語まつり」などに歌丸が出演したり、二人会を開いたり、メキシコで一緒に海外公演を行ったりもしている。この為、実父、師匠五代目圓楽と共に第3の父親として歌丸のことを慕っていた。笑点としての出演者仲間としてだけで無く、所属する団体(圓楽は圓楽一門会の幹事長、歌丸は落語芸術協会の会長)の枠を超え、寄席の確保などで緊密な連携を行うなど、その絆には深い物がある。そうした恩義もあって圓楽が音頭を取って「歌丸師匠を人間国宝に!」と署名活動を展開したこともある。
何より一番大きいことは六代目圓楽襲名の時である。五代目圓楽の意志を受け襲名することになったが、その先代が急逝し、五代目と六代目が並び立つことが実現できなくなってしまった。しかしここで奮戦したのが落語芸術協会会長の歌丸だった。自ら六代目圓楽の後見人として立つとともに、落語協会から別れ出て圓楽一門会に籍を置く関係で定席である新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場で興行ができない圓楽の襲名披露興行を開催できるように尽力し見事それを実現させる。自身実に32年ぶりという念願を圓楽は果たすことになった。また、2017年6月には歌丸と副会長の三遊亭小遊三の仲介の元、自身単独で客員として落語芸術協会への加入も果たしている。
(余談だが、六代目圓楽は上記の通り元は落語協会にいたが、大師匠の六代目圓生、師匠の五代目圓楽に付き従って三遊協会、現在の圓楽一門会に移っている。また、一時期立川流の有名人コースにも籍を置いていたことがあるため、江戸落語の主要噺家4団体に在籍歴がある数少ない噺家の一人でもある)
2018年7月2日。歌丸が81歳にして天国の高座にのぼっていった。地方の高座に出演する関係で死に目に立ち会えなかった圓楽は、これを受けて日本テレビを通じて追悼のコメントを発表した。
「旅先、仕事中の為申し訳ございません。とうとう洒落にならなくなりました。四月五月そして六月二十日にもお見舞いに行って話ができました。
四月は眼が合うだけ…前回は笑って色々と、下世話な話をして、タタタタ~パパパパ~パンダの宝はパンダ!!と喋る筋肉のリハビリの姿も再現してくれました。
回復してると安心したばかりでしたので言葉になりません。歌丸師匠と過ごした楽屋、旅先、ご自宅、たくさん思い出が多すぎて、どこを喋っても一片です。
だから私の心にしまい込みます。だから思い出話はしません。人の心の中の思い出、寿命、皆様もそれぞれの思い出の中に歌丸師匠を生かしておいて下さい。ね
本当の父親、育ての親の先代。守ってくれた最後の父親との別れです。楽さんと呼んで側に置いて下さってありがとうございました。
頼る人が居なくなりました… 合掌 六代目円楽」
そして同月8日放送の笑点は歌丸追悼スペシャル。前半の想い出を語るコーナーでは、僧籍を持つ圓楽は黒袈裟を羽織りつつ、名場面のVTRを見ながら、故人に関する暴露話も明かすなど、思い出話に花を咲かせる。そして後半の追悼大喜利。笑点らしく明るく笑って送り出そうと、「ありがとう歌丸師匠」と歌丸が喜びそうな感謝の言葉がお題に。各メンバーが笑いを交えながら感謝のネタを繰り広げ、最後に圓楽が指名される。
円楽「歌丸師匠。一緒に回答者だった頃、そして、司会になられても私の悪口を優しく受け止めてくれて、罵詈雑言にも耐えて頂いてありがとうございました。」
昇太「ありがとうございました。」
円楽「最後に一言言わせて下さい!ジジィ!早すぎるんだよ!!」
客席からの万雷の拍手。最後となる愛ある罵倒を言う直前に目に涙を浮かべていた圓楽は、最後のお辞儀の際に手ぬぐいで涙を拭っていた。
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最終更新:2025/12/12(金) 21:00
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