セパン・インターナショナルサーキット 単語


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セパンインターナショナルサーキット

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セパン・インターナショナルサーキットとは、マレーシアの首都クアラルンプールの郊外にあるサーキットである。

3月にF1、10月にMotoGPが行われる。

マレーシア

マレー系、華僑系(中国系)、インド系の3人種が混合する多民族国家であり、
イスラム教、仏教、ヒンドゥー教が混在する多宗教国家である。

公用語のマレー語、準公用語の英語、中国語、タミル語(インド南部の言葉)が飛び交う多言語国家でもある。
ラジオ局も言語別に分かれていて、マレーシア語局、英語局、中国語局、タミル語局に分かれている。

旧英国植民地のご多分に漏れず、英国との関係は良好で、現在も英連邦に加入している。

お隣の都市国家シンガポールとは元々一つの国だった。
いろいろな経緯があって分裂したが、現在も経済面で密接な関係を保っている。

工業に力を入れ、ペトロナス(石油精製)やプロトン(2輪、4輪乗用車)といった国営企業を抱えている。
プロトン2001年から2005年までMotoGPに参戦した。

マレーシアに限らず熱帯の国に共通することだが、冷房をガンガンに効かせることが富の象徴と考える風潮がある。
空港などの施設の中は冷房が効きまくっていてやたらと寒い。旅行の際にはジャケットを持っていきたい。

フルーツ大国で、市場に色んなものが売られている。果物を切り売りして提供する路上の屋台が多い。
田舎の道ばたにマンゴーやドリアンやパイナップルが生えているらしい。

なんとバナナを油で揚げたお菓子があり、マレーシア語でPisang Goreng(ピサン・ゴレン)という。
これはマレーシアだけではなくシンガポール、インドネシア、フィリピン、タイ、ミャンマーでも定着している。

バドミントンが国技並みの一番人気スポーツで、オリンピックレベルの選手を輩出している。
バドミントン専用体育館が非常に多い。
2017年はMotoGPライダーがバドミントンを楽しむイベントが行われた。https://twitter.com/MotoGP/status/923142095753244672


赤道直下で雨量が多いためアブラヤシの生育に最適であり、アブラヤシ農場を多く抱えている。
アブラヤシから作られるパーム油は食用として全世界で色んな形で使われており、また石鹸の材料にもなる。
パーム油の世界シェアは、マレーシアが41.5%、隣国インドネシアのシェア44.0%。
この二国で世界シェア85%程度を占めている(2007年のデータ)


ドルナ製作の開催地紹介ビデオにはペトロナスツインタワークアラルンプールタワー、托鉢する仏教徒、
バドゥ洞窟のムルガン神像(ヒンドゥー教の神様の金色像。高さ43mでビル14階分)が映し出されている。

バドゥ洞窟はヒンドゥー教の聖地で、クアラルンプールの中心地から車で30分の郊外にある。
272段の長く急な階段を上がってようやく洞窟に入ることができる。
階段にはサルが多く出没し、観光客が面白がって餌を与えている。

5階建てぐらいのビルが入るんじゃないかというほどの高くて広い鍾乳洞の中で神々が祭られている。
最深部は天井に穴が空いて空が見える場所で、ご本堂がある。ここにもサルが出没する。

立地

クアラルンプール市街地から南に40km離れた郊外に位置する。

サーキットのすぐ隣にはクアラルンプール国際空港がある。
空港内にはトランジットホテル(飛行機を乗り継ぐ客のためのホテル)が十分に確保されている。

セパンサーキットは空港と多くのホテルの隣に位置していて非常に観戦しやすい、そのように評価できる。
日本の北海道や九州に住むレースファンにとっては、鈴鹿サーキットやツインリンクもてぎに行くよりも
遠征しやすいサーキットではないだろうか。

ちなみに、ヘリコプターの空撮で最終15コーナーから1コーナーの方角を向くと、空港の滑走路を見ることができる。
だいたい10機ほどの飛行機が留まっているのを確認できる。

非常にアクセスしやすい場所でホテル確保も容易であり、さらにはMotoGPのシーズン最終盤になることが恒例で
チャンピオンが決まったレースになりやすいことから、MotoGPライダーの家族がやってくることが多々ある。

2012年はサンドロ・コルテセそっくりの夫婦がいたし、2017年にはジョアン・ミルの両親が来ていた。


ほぼ赤道直下に位置し、一番気温が下がる1月ですら平均最高気温が31.5度で、年間平均最高気温も32.4度。
典型的な熱帯雨林気候で、年間を通して降水量が多い常夏の気候となっていて、植物がよく生い茂る土地である。

サーキット周辺は緑一色。アブラヤシが植樹され、パーム油の生産農場になっている。

海岸線からの距離は17km。

ちょくちょくスコール(豪雨)が降る。
このサーキットを多く訪れる人によると、夕方の午後4時に決まってスコールが降るという。

サーキットの施設

スコール対策のため、大きな屋根を設けてある。観衆の大歓声がその屋根に反響して、よく響く。

バックストレート前のスタンドとメインストレート前のスタンドにはバナナの葉を模した屋根がずらっと並んでいる。
最終15コーナーにはマレーシア国花のハイビスカスを模した丸い屋根がそびえ立っている。

バックストレートとメインストレートの間は空間があり、Mall Areaと呼ばれる広場になっている。
各メーカーのブースや売店がある。

サーキット内にヤシの木を植えて南国気分を盛り上げている。
3コーナー、4コーナー、7~8コーナー、10~11コーナー、13~14コーナーの外側にヤシの木が並んでいる。

2016年の大改修

2016年2月から5月にかけてサーキットが閉鎖され、改修工事が行われた。

路面が全面的に張り直され、長年の使用で発生した轍(わだち)やバンプ(隆起)やギャップ(割れ目)がなくなった。
それまでのセパンサーキットの路面は白っぽい路面だったが、黒い路面になった。


そしてなんと、最終15コーナーのイン側が約1m盛り上げられ、正真正銘の逆バンクコーナーになった。
これにより、高速コーナーリングが難しくなり、トリッキーなコーナーになった。

F1ドライバーたちの評価は「あまり楽しくない」「どうも不自然」「意地悪なコーナー」「あまり好きじゃない」
「ヘンな感じ、奇妙な感じ」となっていて、いまいち評判がよくないようである。

観客大入り(MotoGP)

近年はマレーシアやその隣国のインドネシアにおいて二輪モータースポーツの人気上昇がめざましく、
セパンサーキットで行われるMotoGPは多くの観客を集めている。

2014年には週末合計で13万人、決勝当日だけで8万1千人を動員。
2015年には週末合計で15万人、決勝当日だけで8万8千人を動員。
2016年には週末合計で16万人、決勝当日だけで9万5千人を動員。
2017年には週末合計で16万人、決勝当日だけで9万7千人を動員。(ホンダの公式サイトから抜粋)

ズルファミ・カイルディンハフィズ・シャリンカイルール・パウィがレギュラー参戦ライダーとして
活躍しているのも観客増加に大きく貢献しているだろう。

2008年までは週末合計動員数が5万人だったが、カイルディンがマレーシアGPにワイルドカード参戦した2009年は
週末合計動員数が10万人に跳ね上がった。
カイルディンは2010年からフル参戦し、2012年にはマレーシアGPでポールポジションを獲得、決勝も2位に入った。
週末合計動員数も2010年からは10万人以上で右肩上がりとなっている。
やはり地元のライダーが速いと人気が出るのだろう。

ちなみに彼らマレーシア人ライダーが表彰台に上がると、シャンパンファイトに参加せず、
スパークリングワインをぶっかけられそうになると必死に逃げ回るのがいつもの風景になっている。

シェルアドバンスがメインスポンサーになる(MotoGP)

セパンサーキットで行われるMotoGPのレースは、シェルアドバンスがメインスポンサーを務めることが多い。
2009年から2017年までの9回開催中8回でシェルアドバンスがメインスポンサーになっている。
黄色いホタテ貝の看板が並ぶのが恒例になっている。

シェルアドバンスはバイク用エンジンオイルのブランドで、
世界最大級の石油企業・ロイヤルダッチシェルの傘下企業が製造販売している。

ロイヤルダッチシェルは、イギリス・ロンドンで貝殻加工販売から始めて海運業で財を成したシェルと、
オランダ王室の許可を得てオランダ領インドネシアで石油精製業を始めたロイヤルダッチ(訳すとオランダ王室)が
1907年に業務提携を始めて2005年に合併した企業であり、インドネシアが発祥の地の1つとなっている。

そのインドネシアからマレーシアはすぐ隣で気候もよく似ているので、心情的にスポンサーしたくなるのであろうか。

またマレーシアは英国と関係が深いので、英国育ちのシェルがスポンサーする気になりやすいという見方もできる。


シェルアドバンスは、2014年から2016年までアジアタレントカップのメインスポンサーも務めていた。

アジアタレントカップはアジア圏の若いライダーの育成のために立ち上げられた大会で、
カタール、マレーシア、インドネシア、タイ、中国、日本を転戦して争われる。
2014年には鳥羽海渡、2015年には佐々木歩夢がチャンピオンに輝いた。

環太平洋ラウンド3連戦(MotoGP)

10月に日本とオーストラリアとマレーシアでMotoGPを3週連続開催することが恒例になっている。

2001~2003年、2006~2007年、2010年、2012~2017年が3週連続開催の例となっている。

なぜ3週連続開催にするかというと、資金力の乏しい弱小プライベートチームへの配慮であるとされている。
環太平洋ラウンドは、ヨーロッパにあるチームの本拠地を離れ、スタッフ全員がホテル暮らしすることになる。
3週連続開催にすればホテル滞在費を削減できる。

そういうわけで3週連続開催になっているが、この環太平洋ラウンドはどこも体力を消耗させられ、
ライダーたちにとってリスクの高い場所になっている。

日本・・・世界有数のハードブレーキングサーキットで上半身を酷使する。

オーストラリア・・・とにかく寒い。気温10度まで下がる。ピットの中ではみんながニット帽をかぶる。

マレーシア・・・気温30度で暑い。しかし空港はクーラーが効いて寒い。水あたり・食あたりを起こす危険もある。

2016年はマルク・マルケスが食あたりを起こし、胃腸炎をかかえたままマレーシアGPを走る羽目になった。

コース紹介(MotoGP)

概要

長い直線2本と中低速コーナーで構成される。

まずは、なにはともあれ、長い直線の後にしっかりハードブレーキングできる車体を作る。
そのあとは9コーナーから14コーナーまでの高速区間をリズム良く流れを殺さず走りきるようにする、
これがセパンにおけるセッティングの流れだという。

色んなところでアップダウンがあるサーキットである。

2015年までは、路面に轍(わだち)やバンプ(隆起)やギャップ(割れ目)があり、グリップの悪いサーキットだった。
F1が開催され、F1のハイパワーマシンによって路面が削られ、ブレーキングポイントを中心に凹凸が多かった。

2016年の改修の後は路面の凹凸が解消され、グリップの高いサーキットに生まれ変わっている。

主なパッシングポイントは、メインストレートエンドの1コーナー、4コーナー、9コーナーとなっている。

2015年まではバックストレートエンドの最終15コーナーもパッシングポイントだったが、
2016年の改修によって最終15コーナーはパッシングしにくくなった。

青山博一が得意としていたサーキットであり、2009年には見事な勝利を収め、チャンピオン争いで大きく前進した。

スコール

雨が降り出すととんでもない量の雨が降る。ただし、高温なので、晴れ間が広がるとあっという間に乾いていく。

2015年までのセパンの路面は白っぽく、乾いているのか濡れているのか判断しにくかった。

2016年の改修の後は黒っぽい路面になり、乾いた路面が白く見えるようになった。

ちなみにサーキットの路面は、多くのマシンがスリックタイヤで走ることで路面の砂埃が掃除され、
さらに黒いラバー(ゴムのこと。ブラックマークとも言う)が路面の上に乗り、グリップがどんどん良くなっていく。

しかしながら雨が降ると、そうした黒いラバー(ブラックマーク)が流され、
雨が空気中の塵埃を拾って路面に付着させ、
さらには路面のアスファルトの奥部に詰まっていた小さな塵埃が表面に浮き上がり、
元通りの塵埃にまみれた汚い路面になってしまう。スコールが降った直後は路面のグリップが悪くなる。

また、豪雨によってコースの外から砂や土が流れ込むことがある。
スコール後にコースのアウト側を目一杯使うライディングをすると砂や土を踏んで滑ってしまうことがある。

このサーキットはいくつかの場所でアップダウンがある。先に乾いていくのはそういう起伏のある場所である。

灼熱のサーキット

ほぼ赤道直下に位置するので、高温多湿で灼熱のサーキットになる。

各ライダーは自分の汗でのぼせ上がり、ユデダコのように真っ赤になる。
首筋にタオルを巻き、ライダースーツの胸元を開け、扇風機の風を浴びるライダーの姿がセパン風物詩である。

ピットインのたびに首筋や脇や手首といった太い血管のある所へ氷を当てて体温を冷やさねばならない。
氷がまさしく必需品となる。

あまりに汗をかくので、ライダースーツが汗でずっしり重くなる。水分補給も必須である。

路面温度が50度を越えることが珍しくない。
路面温度が50度を越えるとどのようなコンパウンドのタイヤでもグリップしなくなると言われており、転倒者が増える。

路面温度50度まではフィーリングがそれほど変わらないが路面温度が55度を超えるとフィーリングが激変し、
内圧・表面温度・内部温度・空気圧が大きく変わる、こうしたことも盛んに言われることである。
そして、セパンサーキットで「魔の路面温度55度」を越えることは珍しいことではない。

路面温度50度近辺は1度の差がタイムに大きく反映されるので、
雲が流れてきて日光が遮られるとコース上に出ている全員のタイムが一斉に上がる。
周回タイムで皆のタイムが上がったらサーキット上空に小さな雲が流れてきて日が陰っていることが多く、
周回タイムで皆のタイムが下がったらサーキット上空の小さな雲が流れて青空になっていることが多い。
路面温度が30度台なら、1度の差がタイムに大きく反映されるわけではないので、ここまでの珍現象にはなりにくい。

路面温度が30度台でタイヤのグリップがいいとバイクの問題点も表れないが
路面温度が上がってタイヤがグリップしなくなるとバイクの問題点が表れてくる」という言い伝えの通り、
各ライダーは上手く走ってくれないマシンをなんとか力ずくで操縦する作業に追われることになる。

気温が高いとブレーキの性能にも悪影響が出てくる。
ブレンボ(イタリアのブレーキメーカー。MotoGPクラスのほとんどのマシンにブレーキを供給している)が選んだ
「ブレーキに厳しいサーキット」の中で、セパンサーキットはトップ3の一角に入っている。

最大排気量クラスの決勝開始時刻が悩ましい

MotoGPのメインイベントである最大排気量クラス決勝の開始時刻は14時になったり16時になったりと変遷している。

1999年のセパンサーキット初開催から2017年までの間、14時台開始が5回、15時台開始が9回、16時台開始が5回。
MotoGPの運営者であるドルナもすこし決めかねている。

マレーシアとMotoGPの視聴者が最も多い中央ヨーロッパ(スペイン、フランス、ドイツ、イタリア)の時差は7時間。


16時決勝開始だと中央ヨーロッパ朝9時開始になり視聴率を稼ぎやすい。気温や路面温度も下がり、走りやすい。
しかしながら、セパンサーキット周辺は16時ごろにスコールが降りやすく、危なっかしい。

14時決勝開始だと中央ヨーロッパ朝7時開始になり視聴率が落ちる。気温や路面温度は頂点の高さで、走りにくい。
しかしながら、スコールが降る危険性はやや下がる。

1コーナー~4コーナー

メインストレートエンドの1コーナーはMotoGP有数のハードブレーキングポイントで、
ブレーキング性能を試される。

1コーナーでマルク・マルケス奇跡的な転倒回避をしたことがある。https://twitter.com/MotoGP/status/924149377693777920

1~2コーナーは右~左の切り返しであり、スタート直後の位置取りが注目される。
1コーナーをアウト側から進入すると2コーナーではインを突くことができる。
1コーナーをイン側から進入すると2コーナーではアウト側を回らされることになる。

2コーナーはライダーが沈んでいくようにみえるほどの急な下り勾配になっている。

2コーナーを立ち上がった後は、大きく右にカーブしながら下り勾配になっている3コーナーになる。
マシンを傾けながらアクセルを開けてパワーを掛けていく。

3コーナーを終わってアーチ看板をくぐったあたりで、急な上り勾配に転じる。

4コーナーはパッシングの多い場所である。4コーナーを過ぎた後もしばらく上り勾配が続く。

4コーナー付近の下には地下道があり、それを通ってパドックにクルマで移動することができる。

5コーナー~8コーナー

5コーナーは結構急な下り坂になっており、リアタイヤの荷重が抜けやすい。
5コーナーでアクセルを開けていくことはかなり難しいこととされる。

5コーナーを映すテレビカメラに、セパンサーキットの外の公道344番線を行き交うクルマの姿が映ることがある。

6コーナーはグイッと上り勾配になっていて、各ライダーはアクセルを開けつつ右に切り返していく。

上り勾配でアクセルを開けるので、リアタイヤにかかる荷重が大きくなり、フロントタイヤの荷重が抜けやすい。
走行ラインを少しでも外してしまうと、スリップダウンの転倒やコースアウトの危険性が一気に高まってしまう。
6コーナーでは丁寧なマシン操縦が要求される。

6コーナーのあたりにショートカットがあり、ここからピットに戻ることができる。

7~8コーナーは鈴鹿サーキットのデグナーカーブに似たコーナーになっている。パッシングは滅多に起こらない。

9コーナー~14コーナー

8コーナーから9コーナーの間は短い直線だが、僅かに左へ曲がっている。

9コーナーは非常にパッシングが多い場所である。進入は下り勾配で、立ち上がりは上り勾配となっている。

9コーナーから14コーナーの高速区間はライダーたちに重要視されているようであり、
ここを速く走ってバックストレートの加速につなげることがラップタイム向上のため効果的らしい。


本サーキットの設計者はヘルマン・ティルケであり、そのことを思い出させるのが9コーナー以降の高速区間である。
10~11コーナー、13~14コーナーがどちらもティルケお好みの『フの字形コーナー』になっている。

『フの字形コーナー』は、進入する部分は緩やかな角度でコーナーリングスピードが高いのだが、
脱出する部分はきつい角度になっておりコーナーリングを落とさざるを得ない。

進入部分は度胸を決めて勢い良くスピードを保ってコーナーに進入する、
脱出部分に向けて徐々にブレーキングして上手くマシンをコントロールする、この相反する技術を求められる。


11コーナーの立ち上がりは、次の高速S字にできるだけ速い速度で進入しようと欲張るあまり、
焦ってアクセルを開けすぎてリアタイヤが制御不能になってハイサイド転倒することが多い場所である。

12~13コーナーは下りの高速S字で、ここに飛び込んで行くライダーの姿は格好いい。

12~13コーナーはかなり急激な下り勾配を高速で飛び込んでさらに切り返す度胸試しのコーナーで、
フロントタイヤの荷重が抜けやすく、フロントのチャタリングも出やすい。


ロングストレートの前のコーナーではパッシングを仕掛けずに綺麗なラインを通りストレートでの加速に備える、
という格言の通り、14コーナーは誰もパッシングを仕掛けず、綺麗なラインを通ることに専念する。

14コーナーは各ライダーが同じようなラインを通るので、ラインを外れた外側は埃が積もって滑りやすくなっている。

14コーナーはカント(傾斜)が付いていないフラットなコーナーなので、タイヤへの荷重が抜けやすく、転倒しやすい。

2015年にはこの14コーナーでロッシとマルケスの接触事件が発生した。
コーナーの外側に押し出されたマルケスが転倒、ロッシはレース後にペナルティポイントを課せられた。

バックストレート~最終コーナー

バックストレートの横にはsupport paddockがあり、ピットとして使用できる。ただ、MotoGPでは使用されない。


バックストレートでは先行するライダーがスリップストリームを嫌ってマシンを左右に振る姿がたまに見られる。

後続のライダーが背後に付いてスリップストリームを使って加速してくると、
先行のライダーは後ろに引っ張られるような感じになり、車速が落ちてしまう。
なぜそうなるのか原理は解明し切れていないが、ライダーの感覚でもデータ上でも、明らかに車速が落ちる。

それゆえ先行のライダーは後続のライダーにスリップストリームを使われないように努力する。

スリップストリームを使われるのを防ぐには耳を澄まして、後ろの車が右か左かどちらから来るか判断する。
経験があれば判断することができる。右から来られたら左に車体を振るのである。

2015年までは最終15コーナーが最後の勝負所となっていて、ここを無理に走るあまり
悲劇的な転倒を喫するケースも多かった。

2016年の改修で、最終15コーナーのイン側が約1m盛り上げられ、正真正銘の逆バンクコーナーになった。
これにより、攻めたいけれども攻め過ぎるとアウトに膨らんでしまうコーナーとなり、走りづらいコーナーになった。

各ライダーの走行ラインもまさしくバラバラで、大回りするライダーもいるしイン側を小回りするライダーもいるという、
統一的なラインが存在しないコーナーになっている。

YoutubeにMotoGP公式から各ライダーの走行ラインを比較した動画がアップされているので紹介しておきたい。

Contrast and compare the riders' through turn 15

How the fastest qualifiers approached turn 15

最終コーナーの立ち上がりはそこだけアウト側に舗装が広がっていて、他の直線部分に比べコース幅が広い。
この広い幅を目一杯使ってライダーたちが立ち上がっていく。

最終コーナーの外側にヘリポートがあり、駐機しているヘリコプターが映ることがある。

関連項目

  • F1
  • MotoGP
  • MotoGPが開催されるサーキットの一覧

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最終更新:2025/12/14(日) 00:00

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