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新型ブニヤウイルスとは、ブニヤウイルス科に属するRNAウイルスの一つである。
正式名称は重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス)。
2011年に発見された比較的新しいウイルスである。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という非常に危険な病気の原因であり、感染すると(免疫機能にかかわる)白血球や(血液を固める成分である)血小板などが減ってしまう。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は2009年から中華人民共和国(中国)の湖北省や河南省などで流行している発熱や出血傾向などを伴う病気で当時は原因不明だったが、2011年に病原体(原因となるウイルス)が発見された。
日本では最初「中国からの輸入感染症」と思われていたが、後に原因不明の発熱患者の血液を保存したサンプルから新型ブニヤウイルスが検出され、日本国内にも2005年あたりから元々存在していたウイルスだったことが分かっている。ちなみにSFTSを発症した日本人患者は海外渡航歴が無い人も多かった。
日本の感染症法ではSFTSは四類感染症に、新型ブニヤウイルスは三種病原体等に指定されている。
ちなみに近い仲間のウイルスとしては、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスなどが有名である。
他のブニヤウイルス科のウイルスと同様にエンベロープ(脂質でできた膜)を持っているため、高温(加熱)や強酸(胃液など)、一部の化学物質(消毒用アルコール、台所用洗剤など)に弱いとされている。
同じブニヤウイルスであるクリミア・コンゴ出血熱ウイルスと同様に、マダニに刺されて(吸血されて)感染することが多い。インフルエンザや新型コロナウイルス、ノロウイルスなどと異なり飛沫感染、空気感染はしない。
ただし新型ブニヤウイルスは感染力が意外と強いため、感染者の血液や下痢便(血便)などから接触感染によってうつることもある。つまり、(飛沫感染や空気感染はしないものの)ヒトからヒトへの伝染自体はあり得る。
中華人民共和国(中国)、朝鮮半島(北朝鮮、韓国)、日本などの東アジア地域で発生している。
日本では何故か西日本(特に中国地方、四国、九州)に患者が多いが、東日本でも発生する可能性自体はあるので油断してはならない。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)にかかると高熱や倦怠感、食欲不振、胃腸炎(腹痛、嘔吐、激しい下痢)などインフルエンザに似たような症状があらわれる。下痢は血便になることも多い(ちなみに血便の色は真っ赤になる場合と真っ黒になる場合がある)。
重症化すると急性脳症(意識障害、痙攣)やウイルス性心筋炎、肺炎、消化管出血(吐血、下血)や紫斑(皮下出血)などの出血傾向、播種性血管内凝固症候群(DIC)などの重大な合併症を起こして死亡することもある。致死率は10%以上で非常に高く、危険な病気である。特に高齢者は重症化しやすいとされる。
SFTSに対する有効な治療薬は存在しないため、安静や点滴(激しい下痢による脱水症状を防ぐ)などの対症療法しか無い。非常に危険な病気であるため、基本的には入院治療が必要である。
ちなみにクリミア・コンゴ出血熱でも似たような症状があらわれるため、「SFTSはウイルス性出血熱の一つである」とも言える。
新型ブニヤウイルスに対するワクチンは今のところ存在しない。
山地や森林などに入る場合は「露出が多い服装を避ける」「殺虫剤を持参する」などして、マダニに刺されないようにしよう。
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最終更新:2025/12/13(土) 01:00
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