トイレットペーパー騒動とは、トイレットペーパーなどの衛生紙類が、デマや誇張された風説、人間の心理などにより買い占められる現象を指す言葉である。
日本では今までに何度かこの現象が起こっている。トイレットペーパーは人々の間で有事の救援物資として認識されにくいことが指摘されており(参考)、また保存性が利いていくら買っても腐ることがない。さらに体積が大きく、店頭に並べられる数が少ないため売り切れやすい。このため生産企業や卸売企業に在庫があるのにもかかわらず品薄なように見えてしまうため、この現象が起こりやすい。
「○○が原因でトイレットペーパーが品薄になる」というデマから始まることが多い。しかし、全員がデマを信じて購入しているわけではなく、むしろ「店頭でトイレットペーパーが売り切れている」という情報を受けて、「家にそれほど多くのトイレットペーパーがないので、買い占めによる不足や、それに伴う値上げが実際に起きてしまうと困る」という心理で多めに買う人も多い。しかし、消費者が余分に買わなければ、騒動によるトイレットペーパーの不足は短期的なもので収まる(後述)。
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トイレットペーパー騒動に対し、売る側は購入量の制限で対応することがある。これは不安になりすぎた人や転売目的の人が1人で10パックも買っていくような行動を防止するためであって、トイレットペーパー生産の不足を受けた措置ではない。
買い占めに関わる日本の法律は「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律(買い占め等防止法)」があるが、買い占めが起きた場合の政府の行動指針や企業の売り惜しみの禁止を規定しており、消費者の買い占め行動について取り締まる法律ではない。
もしトイレットペーパーの不足という情報が出回ってきても、家に数ロールしかない人が本当に困ってしまうので、トイレットペーパーを買わずにその人に譲ることが求められる。やむを得ず買う場合も1パックに抑え、必要最小限の数にしたりする必要がある。
トイレットペーパーを1パック分だけ買えば最低1人あたり1ヶ月以上の需要は満たされるので、買いに行く人数はだいたい1~2週間ぐらいで元通りになる。
また、トイレットペーパーは生産してすぐに出荷しているわけではなく、需要の増加に備えて生産企業や卸売企業の倉庫などに在庫分が置かれており、トイレットペーパーは1週間に3回程度、店によっては毎日店頭に供給される。
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また、トイレットペーパーや洗剤など定期的に買う必要があるものは、特に何もなくても常日頃から「残り1ヶ月分ぐらいの量になったら買う」「詰め替えパックを余分に買う」などして、ある程度の量を保管しておくと困らずに済む。
1973年10月16日にオイルショックが発生し石油価格が上昇した。このとき、中曽根康弘通商大臣が10月19日に「紙節約の呼びかけ」を出した。
紙の原料であるパルプの価格上昇などもあって、紙の価格はオイルショック以前から上がっていた。そこに10月に発生したオイルショックも加わり、それによる出版物の原料としての紙価格の上昇や供給不足を懸念し、紙の需要量を減らすために呼びかけを出したと思われる。
1970年代に入ると,原木不足と公害規制により再び用紙不足が顕在化し,72年半ばごろから需給逼迫と価格高騰に見舞われた。そればかりか,同年末には第4次中東戦争を契機とした石油不足問題(いわゆるオイルショック)も加わって,業界の存続にかかわる問題と化した。
この用紙不足問題に対処するため,書協・雑協は各種調査,説明会,相談斡旋所の設置,節約のよびかけ,関係当局への陳情などを行っている。73年6月の書協会員社対象の用紙事情調査によれば,用紙を希望どおり入手できないとする社が60%に達し,価格は約20%上昇したというものであった。そのため書協・雑協は連名で,73年7月30日付で中曽根康弘通産相と日本製紙連合会(製紙連)金子佐一郎会長に対して,安定価格による安定供給,出版用紙の確保について要望書を提出した。
紙不足への対応は上記のように出版業界からの要請もあったようで、特段トイレットペーパーに限った話ではなかった。実際、1972年時点での紙の用途別出荷率については新聞が32.8%、印刷が21.3%、出版が17.0%、紙袋が10.2%であり、紙製品は5.2%に過ぎず[1]、出版への影響が大きかったと推測される。
また、「希望どおり入手できない」「価格が20%上昇」という言葉に見られるように、不足はしていても、ある日突然トイレットペーパーを含む紙の供給が0になってしまうような状況ではなかった。実際、トイレットペーパーの統計を見ても、生産量は大きく変化しておらず、在庫量は減少気味だったがそれなりにあった[2]。
しかし、この情報が一因となって民衆の間で「紙が無くなる」という噂が流れ始め、紙製品であるトイレットペーパーの買い占めが始まってしまう。
トイレットペーパーの売り切れの発端は10月29日の奈良市西郊のスーパーとも、11月1日(または10月31日)の大阪千里ニュータウンのスーパーととも言われ定説がない(参考)。これらの騒動が新聞に載ったことで、さらにそのパニックが関西全域、さらには全国的に拡大してしまった。
2日には政府が買いだめの自粛を要請したが、かえってそれが「トイレットペーパーが本当に無くなるかも」としてかえって民衆の不安感を上げてしまう状態になっており、さらに塩や洗剤など他の製品にまで買い占めが飛び火してしまった。
同月12日にトイレットペーパーが買い占め防止法の対象となったあたりから徐々に騒動は落ち着きを見せ始め、翌1974年の1月末に政府がトイレットペーパーの標準価格を設定したことで、3月ごろにはトイレットペーパー騒動は完全に収束した。
2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生し、それに伴う物資不足や物流の滞りを予想した東日本の人々がトイレットペーパーなどの各種日用品を多く買った。そのため、トイレットペーパーが一部の店で売り切れの状態となった。
今回はだいたい2週間ほどで一人当たりのトイレットペーパーの購買金額は元に戻っている[3]。
2020年2月ごろから日本で新型コロナウイルスが広まった。その際、2月末にトイレットペーパーの買い占めが発生している。
きっかけはTwitterでのあるツイートとされており、「新型コロナウイルスが蔓延する中国からの輸入が減少するため不足する」という噂が広まったとされる。しかし、そもそもトイレットペーパーは国内での生産が大半である(参考:p.5-6)上、原料のパルプ・木材も複数の国から輸入しており(参考:パルプ)、中国に輸入を頼っているわけでは全くない。
今回の騒動の原因はデマに加え、極力外出を控えるために、今のうちに日用品を準備しておこうという心理が働いた可能性も挙げられる。また、メルカリなどのフリマアプリでの転売目的の買い占めも影響した可能性がある。
2020年2月末現在、トイレットペーパーについては日本で通常通りの量が生産されている。実際、店頭でもすぐに供給されるという張り紙が多く張り出されており、トイレットペーパーが供給された地域も出始めている(参考)。
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最終更新:2025/12/07(日) 06:00
最終更新:2025/12/07(日) 05:00
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