F・A・ハイエクとは、20世紀に活躍したオーストリアの経済学者、哲学者である。
概要
- オーストラリア学派の代表的学者の一人。
- 20世紀を代表するリバタリアニズム(自由主義の中でも個人と経済の自由を重視する考え。自由至上主義者)思想家。
- 1974年ノーベル経済学賞を受賞。
- 著書には「隷従への道」などがある。本屋ではヒトラーが表紙で目立っている。
- 1930年代にアメリカで大恐慌が起きた際、ケインズと激しい論争を繰り広げた。これに関しては秀逸な動画があるのでこちらを見て欲しい。
- ハイエクは一貫して政府が経済に積極的に関わる事に反対し、借金をしてでも政府が財政支出をすべきとするケインズとは真っ向から対立した。
- 恐慌時の議論では結果的にケインズに敗北したが、70年代には捲土重来しノーベル経済学賞を受賞、80年代からの新自由主義に大きな影響を与えた。例えば、新自由主義の第一人者、ミルトン・フリードマンもハイエクの思想の一部を受け継いでいる。
隷従への道
- 戦争が計画経済を強いる。敵国に対抗する為に、多くの自由が失われ、利用可能な自国の資源が総動員される。
- 多くの人々が安定した計画を望む。終戦の兆しが見えた頃、平和と生産の議論が生まれる。戦時の計画者は権力の維持を望み固執する。
- 議員は「理想郷」を約束する。農民には農民の、工員には工員の、都市部には都市部の「理想郷」が計画された。多くの新しい計画者が議員になった。
- しかし多くの「理想郷」は統一できない。新しい議会は「戦争に勝つ」ことには、意見が一致する。しかし、それぞれの理想郷の計画を実現しようとする議員に、妥協はない。議会は乱闘の場になる。
- 市民にも不満がある。議員達の数ヶ月の後に示した、妥協の産物である暫定計画は、市民にとって妥協できるものではない。農民が望む物は工員が嫌うものである。
- 議員は強行することを嫌う。殆どの議員は理想主義者であった。彼らは強制を嫌った。彼らは寄せ集めの妥協案で何とか民衆の合意が得られる事を望んだ。
- 全ての人に計画を押し付けようとする。同じ価値観を人々に教育するために、巨大な政府の広告機構が構築される。独裁者には便利な道具になる。
- 騙され易い人から飲み込まれる。国家の争乱を回避するために集会は禁じられる。政党は扇情的で強烈なスローガンを掲げる。一方で教育は最低限しか行わない。
- 議員は消えていく。議員は取り繕えば取り繕う程、混乱は拡大する。誰もが苦しんだ。民衆は最早議員には何も実行出来ないと感じていた。
- 強者に権力が与えられた。自暴自棄になった議員達は、新しい政党の指導者に計画とそれを強制的に実行する権限を与える。そして議員は、その指導者の犬となる。
- 政党が国家を支配する。新しい指導者に従わなければならない程、世の中は混乱する。貴方自身が新政党に加わるのはこの時だ。
- 少数派の弾圧が政党の結束を強める。独裁者が最初にすることは、民衆の多数派を煽るために少数派を弾圧することだ。ドイツにおいてはユダヤ人迫害だった。
- 指導者の計画に反対することは自殺行為だ。秘密警察は冷酷だ。権力に服従することが計画経済において求められる最高の美徳である。自由は消えた。
- 貴方の仕事は計画されている。するべき仕事のない議員が職業を割り当てる。彼らには、人を見て仕事を選ぶ事など出来ない。
- 貴方の賃金は計画されている。賃金の配分は独断的に厳格に定められた。計画経済によって国家が定める賃金は、現場にそぐわず不公平でかつ非効率である。
- 貴方の思考は計画されている。独裁者のものでは、無意識のうちに意見は集約される。ポスターも、ラジオも、新聞も皆同じウソを語る。
- 貴方のの娯楽も計画されている。もちろん、娯楽もスポーツも入念に統制され、厳格に国家が管理する。一度始めれば止める事はできない。
- 貴方の懲罰も計画されている。貴方が仕事を解雇されたら、銃殺される。かつては間違いで済まされた事が、国家に対する犯罪になる。そうして隷従への道は終わるのである。
これは、ドイツにおいてナチスが台頭していく様子を描写したものであるが、現在の日本にも通じるものがあるだろう。
関連動画
関連商品

![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
関連項目
- 資本主義
- 共産主義
- 経済学
- 哲学
- ナチス
- ケインズ
- 経済学部