マクシミリアン・ヨーゼフ2世とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
ゴールデンバウム朝銀河帝国第23代皇帝。先々々帝フリードリヒ3世の第二男子。
「晴眼帝」として、あるいは「再建帝」、「清掃帝」として、後世まで名君の誉れ高き皇帝として名が挙がる人物である。
ゴールデンバウム王朝の血脈がもっとも混迷した時期に皇嗣に生まれた人物。
皇太子である長兄グスタフが生来病弱で不安視されていたため、その前半生は皇太子の座を巡って異母弟ヘルベルト大公、リヒャルト大公の二名が憎み合う情勢下にあったが、次男マクシミリアン・ヨーゼフは母親が下級貴族の出であったために皇位継承権が無いものと考えられており、本人もその意思を全く見せなかったために争いに巻き込まれることもなくほとんど無視される存在であった。
しかし、遠征軍総司令官に任じられたことで帝位継承待ったなしと思われたヘルベルト大公の勢力がダゴン星域の惨敗によって失墜すると、継承権争いはさらなる混迷を極めることとなる。フリードリヒ3世が崩御すると帝冠は兄弟争いを避けてフリードリヒ3世の異母兄マクシミリアン・ヨーゼフ1世の手に移り、まもなく皇太子グスタフへと受け継がれた。そしてそのグスタフも、ヘルベルトの策謀により、在位約3ヶ月にして毒殺される憂き目に遭ったのだった。
グスタフは、死の床で次弟マクシミリアン・ヨーゼフを後継者に指名し、自らその帝冠を彼の頭に載せる。
ゴールデンバウム朝中興の祖として世に名高きマクシミリアン・ヨーゼフ2世”晴眼帝”の誕生であった。
マクシミリアン・ヨーゼフ2世に奉られた「晴眼帝」の異名は、むろん彼が数代ぶりの清新な皇帝として賢明に統治し、先々々帝フリードリヒ3世以来体制の端々にわだかまっていた汚職・陰謀といった無数の澱みを一掃して王朝を立て直したその治世を抜きにしては存在しなかったであろうが、それでもあえて「晴眼」であるのには理由があった。
彼は未だ帝位を狙う異母弟の陰謀により毒を盛られ、後半生を半盲の身体で送ったのである。
不随の身体となりながらも、彼は皇帝としての義務を投げ出すこと無く、かつてダゴン星域での敗戦の責を取らされ軍法会議に掛けられたゴッドリープ・フォン・インゴルシュタット中将の弁護人として格調高い弁論で起訴の不法性を糾弾して左遷された「弾劾者」ミュンツァーを司法尚書に迎え、勝ち気な侍女上がりの皇后ジークリンデの補佐によって20年近くにわたって統治を続けた。
その半盲の障碍故か、彼はそれまで顧みられることの少なかった民生にも力を入れ、かの「劣悪遺伝子排除法」を有名無実化した。後天的な半盲である彼は劣悪遺伝子排除法に抵触することはないが、病弱な兄グスタフは帝室に生まれていなければ迫害されていたであろうし、彼の手による有名無実化が無かったならば、のちにパウル・フォン・オーベルシュタインがローエングラム朝の成立に関わることもなかったかもしれない。
マクシミリアン・ヨーゼフ2世はその統治中に既に名君と呼ばれており、その死後も名声は高まるばかりであった。
養嗣子として帝位を継いだ第24代皇帝コルネリアス1世は後継者として充分に賢君であり、内政においては養父の路線をほぼ引き継いだ。しかし、偉大過ぎる養父の後継者たるに悩まされた彼は、先々々々帝の時代に失敗した自由惑星同盟の併呑を目指す事になる。これが、自由惑星同盟に最大の危機をもたらしつつもついに失敗に終わった「コルネリアス1世の親征」である。
さらに150年の年月が流れたフリードリヒ4世の治世においても彼の名声が忘れられることはなく、ラインハルト・フォン・ローエングラムがゴールデンバウム王朝の暗君を挙げて血統による継承を否定した時にも、ゴールデンバウム王朝史上の名君として引き合いに出されている。
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最終更新:2025/12/12(金) 17:00
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