ミハイル・カラシニコフとは (ミハイルカラシニコフとは) [単語記事]

ミハイル・カラシニコフ（1919年11月10日～2013年12月23日）とは、ロシアの軍人・銃器設計者である。

概要

　ミハイル・カラシニコフはロシアの軍人、銃器設計者である。AK-47を筆頭とするAKシリーズの突撃銃を開発したことで非常に有名であり、「（ロシアの）突撃銃はワシが育てた」と豪語してもおそらく許されただろう人物。

　AKシリーズ開発の功績によりソ連とそれを継承したロシア政府から多数の勲章を授与されたが、AK-47はソ連の政治的意図から特許取得がなされず、カラシニコフは特許料などの収入は得られなかった。この点は、勲章はもらえなかったが特許収入で巨万の富を得たユージン・ストーナー（M16の開発車）と対比されたりする。当のカラシニコフ本人は「銃は祖国を守るために開発した」というスタンスであり、特に気にはしなかったようである。

経歴

　1919年11月10日、西シベリアの中心都市ノボシビルスク近郊のクーリャ村で裕福な農家の家に生まれる。
病弱だったカラシニコフ少年は機械に対しては強い興味を持っていたが、それ以上に詩が好きで、将来は詩人になりたいと夢見るほどであった。

しかし1930年、転機が訪れる。

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　　　　|┃　　　　 |　　 　＝'" 　 　 | 　　　＜　　　話は全部聞かせて貰ったぞ！
　　　　|┃　　　 　 iﾞ ､_　　ﾞ,,,　 ,,　' {　　　　　＼　 カラシニコフはシベリア送りだ！
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　　　　|┃　　　　 ヽ､oヽ/ ＼　 /o/　 | 　　 ガラッ

　当時ソ連を吹き荒れていた「裕福な農家は死ね」運動により、カラシニコフは一家丸ごとシベリア送りにされてしまい、それまでの裕福な生活から一転、自分たちで農作業や狩りをして生きねばならなくなったのである。

　しかし、シベリアでくすぶっているような奴じゃあないカラシニコフは学校卒業と同時にシベリアを脱出。故郷のクーリャ村に戻ってトラクターの修理工の仕事につく。この仕事で機械に関する知識を蓄積させていった結果、1938年にソ連軍に徴兵された際、カラシニコフは戦車の整備士に任命される。後に第108戦車師団第24戦車連隊に配属され、T-34の戦車長となる。1941年6月に勃発した独ソ戦ではブロディ（現ウクライナ領）における戦車戦などに参戦し、同年10月のブリャンスクにおける戦いで負傷、1942年4月まで入院を余儀なくされた。

　この入院中、同志たちがソ連製小火器に対する不満をぶちまけているのをたびたび聞いたカラシニコフは、なんと病床で新型サブマシンガンを設計する。残念ながらこの銃がソ連軍に採用されることは無かったが、カラシニコフの銃器設計の才能は認められ、退院以降は前線に戻らず、銃器開発の道を歩むこととなる。

1944年、StG44の影響を受けて7.62x39mm弾を使用するガス圧利用式の自動小銃を開発して提出するが、この時はシモノフが設計した半自動小銃SKSにコンペで敗北する。その後の1946年、この銃をベースに敗戦したドイツから拉致ってきたドイツ人銃器設計者ヒューゴ・シュマイザーのアドバイスを受けつつ、堅牢かつ簡素で誰にでも扱える新型自動小銃を設計する。この銃こそがかの有名なAK-47であり、1949年にソ連軍に制式採用される。

　AK-47が採用された後もソ連軍において武器開発に携わり、AK-47の生産性を向上させたAKM、AKMベースの分隊支援火器であるRPK軽機関銃、汎用機関銃のPK、小口径高速弾を採用したAK-74等々を設計し、ロシア製小火器の多くが彼の手によるものである。ただし、彼としてはこれらの銃器は祖国のために作ったのであって、現状のAKシリーズが世界中にばら撒かれている事に対しては強い不満を抱いていた。

　1990年にはアメリカに渡り、M16の設計者であるユージン・ストーナーと対談。素材としてのチタンは云々、加工方法がどうこう、軍の要求を満たす銃を設計する難しさが・・・、「耐久性をテストするために銃を高いところから落としたよ」（ストーナー）、「私も製品に欠陥が見つかった時は責任者を高いところから落としたよ」（カラシニコフ）などなど互いに銃器設計者として語り合い、互いの設計した銃を試射したりして交友を深めた。

　引退時の階級は技術中将。ソ連崩壊後はイジェフスクでAKベースの民間用スポーツライフルの設計などを行っていたが、ロシア軍向けのAK-200（AK-12）の設計にも関わった。このほかにも、「カラシニコフ」のブランドでウォッカや傘、ナイフ、時計などを売りだしてたりする。

　2013年12月23日、イジェフスクで死去。享年94歳。