レーダーとは (レーダーとは) [単語記事]

レーダー（Radar：Radio Detecting and Ranging）とは

電波を用いて相手の距離と方位を知る装置である。電波探知機とも呼ばれる。

概要

電磁波のパルスを打ち出し、それが目標にあたって跳ね返ってくるまでの時間を測定することで目標までの距離を算出する。その時にレーダーアンテナが向いている方向が目標の方位となる。

原理の発明自体は古く１８８７年（明治２０年）まで遡るが、実際に使い物になるまでにはかなりの年数を費やしている。性能の良い電波送信機に受信アンテナ、そして得られた情報を管理するシステムまで揃って初めて機能するためである。

送信機に関しては日本の岡部金治郎も開発に関わっているマグネトロン、受信アンテナに至っては同じく日本の宇田新太郎・八木秀次が関わった八木アンテナ（現在ではアレイレーダーに用いられる）がレーダーの質向上に大きく貢献しているもっとも、我々がよくレーダーとしてイメージするパラボラアンテナのついたレーダーはイギリス軍開発であるが。

その日本では電探（電波探知機）の略称で呼ばれたりする。また「〇〇を探すのが上手」的な用法で人に対して「〇〇レーダー」と用いられることもある。

大抵は空港や軍事基地、船の上部などでくるくる回っているものが多い。
受け取ったデータを元に、管制塔から針路や高度変更の指示などにも用いられる。
航空機に対して用いるイメージだが、水上・地上で用いるものもある。

用途

空中の航空機の位置を把握し、安全な航行に寄与する。
水上の船舶等の位置を把握し、安全な航行に寄与する。（水上レーダー）
- ただし、あくまで水上のみで、暗唱など水面下に隠れた障害物は探知できない。
  - 水中障害物に関しては障害物を示す浮標・方位標識などを読む必要がある。（→船舶）

民間機・（戦争・訓練中以外の）軍用機などはトランスポンダーと呼ばれる応答装置が定期的に固有番号や方角・高度などを発信し、レーダー側では見えるようになっている。

軍事用途

早期警戒・情報収集手段。
- １秒でも早く遠距離の敵機を発見し、発進・迎撃・地上部隊の退避といった手を打つ。
- 戦闘機などは非常に高速であり、モタモタしていれば攻撃を受けてしまうため。
敵機を捕捉し、地対空ミサイル・空対空ミサイルを誘導する。（→ミサイル #誘導方式）
警戒範囲の拡大や破壊された際の代替手段として、車両等に搭載されたレーダー車もある。
戦闘機など、機首に搭載し敵味方の識別や空対空戦闘などに用いる。
大型のレーダーを航空機に搭載し上空を哨戒、早期警戒・味方への情報支援を行う。
- さらに空中から指揮管制を行えるものもある。（→早期警戒管制機）

敵の歩兵や車両の存在・接近を感知する地上レーダーもある。
迫撃砲・榴弾砲といった長距離兵器の発射位置を特定する装置もある。
- 対迫レーダー・対砲レーダー・対砲兵レーダーと呼ばれるもの。
- 巨大な板を立てたような装置で、こちらは回転しない。
- 現代は砲撃したあとは陣地転換しないと位置が特定され、逆に砲撃される。

戦闘機など、敵のレーダー波を検知してパイロットに警告する機能もある。

敵を盲目にするため、戦争が始まると真っ先に破壊される場合も多い。

レーダーサイト

レーダー施設。遠くまで探知できるよう山頂に設置される場合が多い。

巨大な白いサッカーボールのようなものがレーダー。
※レーダーは内部でくるくる回っているため、外観は回転していない。

大型で探知範囲が広く、日常的に使いやすい。
航空機のように空を飛ぶわけではないため、（探知能力に対して）運用コストも安い。
水平線より下は探知できない。（※早期警戒機なら可能）
動けないので攻撃に対して脆弱。
- 前述のように優先的に破壊目標にされやすい。
- 山奥にあるため破壊工作員が隠密に接近・侵入しやすい。
  - 基地の警備部隊はあるが、特殊工作員とやりあえる程の戦闘力があるかといえば微妙。
  - 山奥なので味方の増援を呼んでもすぐ来ない。
レーダーサイトを運用する人員および居住環境が必要。
- 山奥なので街まで遠い、福利厚生に限界がある場合が多い。（売店が小さいなど）

おまねこくんの居る御前崎分屯基地もレーダーサイトである。

ゲームにおいて

空中戦やFPS・TPSなどにおいては定番。

味方・地形と共に画面隅に小さく表示される場合も多い。（ミニマップとも）
- 全体図として表示できる場合、全画面表示してしまうため隙となりやすい。
敵の発砲・味方の視認やマーキングによって敵の位置が表示される場合も多々。
偵察機などで能動的に敵の位置を表示したり、電波妨害やEMP攻撃によって使用不能になる場合もある。
スキルや特殊技能・サプレッサーの使用、低空飛行によってレーダーに映らなくするといった相殺策も。
レーダーに映らない敵や、電波妨害を行う敵の捜索・破壊が面倒なことも。
- 特殊な装備の搭載によって、ステルス仕様の敵も通常通りに表示できる作品もある。
ゲームモードや設定によって元からレーダー自体を非表示にできる場合も。

その他

水中の魚群や潜水艦などを探知し、レーダーのように表示するものはソナーと呼ばれる。
- そちらは音波を使用する。漁船や軍用艦艇に搭載されるほか、対潜哨戒機から投下するものもある。
レーダーが元で電子レンジの発明につながった。
- 技師がポケットに入れていたチョコバーが溶けたことから、電磁波が加熱に使える事が判明。
- 逆を言えば、高出力のレーダーの前で棒立ちしていると加熱されてしまう。
  - 大型のレーダーを装備した早期警戒機など、安全のため地上でレーダーはOFFにされる。